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「いじめられてしんどい君へ」あなたのピンチをチャンスに変える言葉が必ずある!

2020年12月にプレジデント社から発刊された著書です。

【はじめに】
皆さん、こんにちは。
私は、ミュージカル俳優出身の落語家、三遊亭究斗と申します。
「ミュージカル俳優」や「落語家」と聞くと、「両者とも華やかそうな職業のようだけれど、俳優と落語家に共通点はあるの?」と、イメージが湧きにくい方もいるかもしれません。

この「はじめに」では、私が落語家になる前に、これまで人生をどのように歩んできたのか、そして、なぜ、いじめをなくすために、落語家として活動を続けているのか、お伝えします。

私は1963年、香川県高松市で、土木建築業を営んでいる父と専業主婦の母の子として生を受けました。
幼少の頃の私は、ブルース・リーと松田優作に強烈な憧れを抱いていましたが、「本当は目立ちたいのに、自分を出すことができない」という、どちらかというと内気な少年でした。

小学校5年生のときに、本当に些細なキッカケでいじめられるようになります。親にも先生にも打ち明けることができず、「こんなつらい日が、いつ終わるんだろう。もう、死んでしまいたい」と絶望して心が折れ、「学校に通うのが、本当にいやだ」、そんな毎日を過ごしていました。

小学校のときにいじめを受けた心の傷は小さなものではなく、中学校、高校を通っていても、特にやりたいこともなく、学校と家を往復するだけの暗い日々を過ごしていました。

ただ、心のどこかに「自分を出したい」という気持ちが炎のようにくすぶっていたのか、内気な性格でありながら、高校生になると「役者になりたい!」という思いが強くなっていきます。

高校を卒業して東京の専門学校に通い、一度、地元に戻って家業の手伝いをしながらも役者への道を諦めきれず、25歳で「劇団四季」の研究生に合格することができました。

それからほぼ10年間、さまざまな役をいただいて俳優として勉強しながら演じている中で、「40歳を過ぎたら、もっと自分の言葉で喋る表現者になりたい」という思いが強くなり、落語家へと転身することを決意しました。

34歳にして、春風亭小朝師匠に弟子入りし、3年間、下積みとして研鑽を積むも破門になり、ご縁あって、三遊亭円丈師匠の門下に移籍させていただくこととなりました。

落語家として修業を重ねながら、ミュージカルと落語の良さを組み合わせて、多くの方に聞いていただこうと「ミュージカル落語」を考案。その中で、幼い頃に私自身が経験した、いじめをテーマとする落語を、ミュージカル落語から派生させた"エデュテイメント"として作り続けてきました。

⚫️貧乏でいじめられてる少年が、おじいさんに助けられる「一口弁当」
⚫️わが子の背中のアザからイメージをふくらませた、いじめに悩む子どもがさまざまな人に出会う「背中に輝く大きな星」
⚫️LINEでのいじめをテーマとした「凍らすLINE」など。

いずれも、「いじめは良くない」「いじめをなくそう」という、単純な考え方を伝えるための落語ではありません。

いじめとひと言で言っても、具体的にどのようなことがいじめに含まれるのかは、時代によって変わってきています。

私が育った昭和の時代は、いやな言葉や、実際に相手を傷つける暴力で、精神的に苦痛を感じさせることが、いじめに該当していました。そして学校が、いじめが起こっていることを認めることによって、初めて「この子はいじめられている」とされたのです。

いじめに苦しんで、悩み、最後には命を絶ってしまう子どもたちもいます。学校が、問題が大事にならないように、「この学校には、いじめはありません」と見て見ぬふりをすることで、いじめの被害者の遺族は深い悲しみの中を生きていく、このような事件も少なくありませんでした。

時代が平成になると、いじめ問題はより深刻なものになります。
言葉や暴力で直接、相手の気持ちを傷つけるいじめは後を絶たず、さらにインターネットやSNSを使った陰口など、いじめの種類は複雑になってきています。

平成25年(2013年)には、いじめ防止対策推進法が作られ、いじめに対して学校がそのように対処するべきか規定されるなどと、社会の中でいじめをなくそうという動きも出てきてます。

現実に、いじめがなくならない世の中で、いじめに悩む人たちの暗黒のような日常から逃れるヒントを、一人でも多くの方に伝えられれば、という思いで落語にしました。

2011年から、全国の小学校、中学校、高校で生徒の皆さんだけでなく、教職員やPTAの会合、自治体の人権講演などでも「ミュージカル落語」を多くの方に聴いていただいてきました。

以前、私が講演した中学校から、次のような感想文をいただいたことがあります。

「私は、いろいろあって、3年間いじめられるかもしれないと、毎日学校に行くのが、とても怖いです。先生たちに相談して、なんとか私を助けてくれましたが、正直まだ不安でいっぱいです。でも三遊亭究斗さんの話を聴いて元気になりました。勇気がわいてきました。
  私は、絶対負けません。たとえ、いやなことがあっても、つらいことがあっても、今日の話を思い出して笑顔でいます。そして誰よりも笑顔で、誰よりも嬉しそうに卒業します。三遊亭究斗さん、たぶん世の中には、私みたいな心の弱い人がたくさんいます。
 だから、あなたの魔法で、そんな人に勇気を与えてもらいたいです。これからも頑張ってください。本当にありがとうございます」

この感想文を一読して、私は涙が止まりませんでした。
この本を書いている間にも、いじめによって子どもたちが死の道を選んでしまったニュースを目にし、心を痛めています。

「いじめについて、一人でも多くの方に真剣に考えてほしい」という思いを込めた私のミュージカル落語を、いじめに苦しんでいるあなたやご家族、生徒との接し方に悩んでいる先生、地域社会の在り方を探索している人、生き方に悩んでいる人、皆さんに贈りたいと思います。

この本を読んでいただいて、一人でも多くの人が、いじめと真正面から向き合い、その方なりの「答え」を見つけるヒントとなれば、著者としてこれ以上嬉しいことはありません。


第一章 いじめで悩み、一人で苦しんだ小学生の頃
第ニ章 劇団四季から学んだエデュテイメント
第三章 34歳で落語家に転身する
第四章 ピンチはチャンス
第五章 ミュージカル落語誕生
第六章 教育の現場へ、いじめ撲滅の落語を
第七章 ありがとうが世界を変える
第八章 真摯にぶっちゃける

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