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その「背景」を知ろうとしないと失敗する|小さきアプリ屋の悩み

アプリ開発においてオフショアはよく経験したが、成功したケースはひとつも無かった。言語の壁は非常に大きい。

勿論、仕様書ベースで開発は進められて、仕様書から全てが開発されることが望ましいのだが、仕様書も人間が作成したものなので、どうしても抜け穴はある。そこは責める点ではない。

日本人同士なら、不明点をコミュニケーションで解決するのが当たり前なのだが、海外のエンジニアは、仕様書の記載が間違っていてもその間違ったままアプリを開発して納品してくる。

例えば、

「Saved.」

という文言が、

「Savd.」

と仕様書に誤記されていた場合、この誤記の状態で律儀に納品してくる。

明らかに、動作的に「保存」行為であって、そのときにユーザへ示されるべき文言は「Saved.」なのに、敢えて、「Savd.」と納品してくる。

空気を読んで「Saved.」にしたり、「これって誤記ですよね?」とコミュニケーションもしない。いきなり納品にこれをブッ込んでくる。

結局、日本側で修正するか、再発注するハメになり、オフショアはコスト削減を狙っていたはずなのに、コスト高になってしまうことが殆どだった。

尤も、能力の低い日本人のエンジニアも同様で、いつまでも下っ端のプログラマーでいる輩は、こうやってコミュニケーションは取らないし、その仕様がどういった背景から決定されたものなのかを、想像しようとしない。だから思い掛けない低レベルな不具合を生む。

真相は全く知らないが、セブンペイの事件で「二段階認証」を設けていなかったという話は不思議でならなかった。真っ当な日本人のエンジニアならば、「二段階認証」を設けない危険性にいち早く気がついて、対応を上に迫ったはずだ。

だからそれをリリース日から逆算して、もみ消した人間がいるか、本当に、言われたことしかできない低レベルなエンジニアしか揃っていなかったかだ。

今、エンジニア不足で、IT 関連製品の品質は非常に低下している。医者を増やすと、医療の質が低下すると言われていて国家試験のレベルを下げるなんて話はいつも即座に否定されるが、それと同様で、未経験の誰でもいいからエンジニアになってくれと言って、数だけを揃えた結果だ。

エンジニア不足の正体は、能力者不足、なので、数を揃えても何の意味もない。

最近、日本人の文章読解力が著しく低下したというニュースを見たが、それは物事の背景を想像できないことにも繋がっていると思う。目に入り、即座に理解できる情報で溢れている今、それは良いことも多いだろうが、捨ててしまっている能力も多いはずだ。

何故、その発言に至ったのか、その決定に至ったのか、背景を想像できない、知ろうとしないのが当たり前になってしまったら、この国もいよいよ終わりだろう。

食費入力のみ家計簿アプリ「食費簿」、自慰管理アプリ「アイナーノ」、どちらも御陰様で好調です。より良いアプリ開発に役立てます。