買ってよかった漫画(令和元年度版 23 作品!)

コロナの影響で仕事が激減した為、私は毎日ひたすらスレッド式メモ帳アプリ『CBnotesカウンタ式メモ帳アプリ『CountablePadなどの新しいアプリを開発している。

そして休憩に漫画を読む。その繰り返しだ。

2018 年版2019 年版(前篇)2019 年版(後篇)、と計 72 作品を紹介してきて、実は 2019 年版に書き洩れたものがあったので、今年 2020 年の年度末までに読んだ面白くて心に残った漫画を併せて、以下に改めて紹介したい。

(1)比古地朔弥『けだもののように』

田舎の中学校に転校して来た美しい顔と体を持つ少女・ヨリ子は無口で無作法ながら艶かしい魅力で周囲を翻弄していく。何からも束縛されない少女が生きたイノセントな季節――。

どこまでも自由で奔放なヨリ子に振り回されて、それでも彼女を手放すことが出来なくて、大人の無力さと、子供の無力さが、違う次元でありながらピッタリと重なり合うようで、読んでいて本当に胸が苦しくなった。今の自分の人生を、完全に否定されたような気さえした。自分はいつの間にか、何に縛られて生きているのかって。大人になっても無力なのは変わらないのじゃないかって。「イノセント」なんて表現は生易しい、それを越えたら「けだもの」だから。この作品を読んで強い嫌悪感を抱く人は、きっと「真っ当に」生きてきた人なんだと思う。2020 年、忘れられない一作になった。

(2)金田一蓮十郎『ラララ』

自宅ではいつもおっぱい丸出し素っ裸状態の石村亜衣。バーで酔っ払っていた桐島に婚姻届にサインをさせ、その翌日いきなり離婚届けにサインを迫るそのワケとは?

設定は『逃げるは恥だが役に立つ』の逆バージョンと表現すると分かりやすいかもしれない。酔っている内に「専業主夫」としての契約結婚をさせられた桐島は、戸惑いながらも、日々を過ごす中で、亜衣の常識離れだが真っ直ぐで純粋な感性に徐々に惹かれていく。恋愛の機微が全く分からない亜衣、何事にも本気になったことがなかった桐島。どこか生きる上での大事なことが大きく欠けている二人が、この二人だからこそ、お互いに刺激し合って補い合って成長できている様は、理想の夫婦像なのかもしれない

(3)加納梨衣『スローモーションをもう一度』

クラスではイケてるグループに属している、一見リア充な高校一年生・大滝くん。だけど実は彼には、誰にも言えない「秘密」があった…それは、アイドルや歌、おもちゃなどの「80年代文化」が大好きということ!自分が大好きなものを誰とも共有できず、一人だけで楽しむ毎日を送っている大滝くん。そんなある日、クラスで隣の席の地味な女の子・薬師丸ちゃんが自分と同じ「秘密」を持っていることを知って!?

学生時代に本当の趣味が合う人と出会えることなんて、それ自体が奇跡みたいなもので、二人がどれだけ幸せか、微笑ましくて、読んでいてヒシヒシと伝わってくるようだった。学校とは本当に残酷なコミュニティで、地味な薬師丸ちゃんは本当に地味なのか、学校では決して見せられない、大滝だけに向けるその顔に、どんどん心を奪われる。

(4)葵せきな×高橋つばさ『ゲーマーズ!』

モブキャラぼっちゲーマーな高校生、雨野景太。そんな彼が、「……私に付き合って、ゲーム部に、入ってみない?」学園一の美少女、天道花憐に声をかけられるという驚くほどのラブコメテンプレ展開に遭遇。ゲーム好きな美少女たちとのキャッキャウフフなラブコメの始まりかと思いきや――!?

「ゲーマー」という属性は学校内では日陰の存在でそういう暗い展開かと想像していたのだが、凄く前向きな微笑ましいラブコメ展開で、プロゲーマーが認知された昨今はもう偏見でしかないのかもしれない。それ以上に読んでいて感心したのは、「男女の友情」に凄く説得力があったことだ。男女が仲良くなれば、そこに恋愛感情が芽生えてしまうのは若人には当たり前の性だと思って生きてきたが、お互いを真摯に尊重するからこその男女を越えた「友情」というのが、本当に胸を打った。

(5)艶々『ふたりのおうち』

味気ない日々を送る青年が心密かに憧れる年上の女性…若さあふれる青年
と酸いも甘いも?み分けたワケあり熟女。歳の離れた2人が運命的な出会
いを果たし…!?

「官能浪漫」と銘打たれているが、「純愛」と表現しても悪いことは何もないと思う。若い純粋な心に惹かれて、少女のような感覚を取り戻すこと、それを読んでいて恥ずかしいと感じず、美しいと感じる、それは素敵なことではないだろうか。勿論、艶々の濃艷な描写はさすがの一言。二人の心と身体の安らかな微笑みが、決して後ろ向きではない未来への温かい感情が、リアルに伝わってくるようだ。

(6)リチャード・ウー×コウノコウジ『クロコーチ』

「彼は県警最悪の警察官です」県警・捜査二課に所属する黒河内圭太警部補。彼は政治家や実業家らの醜聞を握ることで、莫大な権力を得た汚れデカ。若きキャリア・清家はそんな彼を嫌悪するが、実は黒河内には、誰もが想像しえない巨大な目的があった……!

「三億円事件」や「オウム真理教」などの有名な大事件を独自の大胆な解釈・仮説で展開し解決(?)していくのが妙に爽快で小気味好い。本当に政治の裏ではそうだったのかもしれないと思わず納得させられてしまう。それはこの悪徳警官・黒河内の存在もそう。都合の良い「悪党」を担うダークヒーローが現実に暗躍していてもおかしくないのではないだろうか。

(7)萩原あさ美『娘の友達』

家庭では「父親」として、会社では「係長」として、「理想的な自分」を演じるように生きてきた主人公・晃介。だが、娘の友達である美少女・古都との出会いにより、彼の人生は 180 度変化する。社会的には「決して抱いてはいけない感情」に支配されながらも、古都の前では自己を開放でき、社会の中で疲弊した心は癒やされていく……。

家庭では子を持つ父親、会社では部下を持つ上司、いつの間にか「役割」を与えられ、いつの間にかそこから逃げられなくなっている。それが当たり前だと自分に言い聞かせて、耐えて生きてきた。その眼の前に現れる、無邪気な少女。社会を知らない少女だからこそ口にできる「逃げ」という甘言に、縋りたくなるほど疲弊している一人の大人の男。副題の「悪女」だが、本当にそうだろうかと思ってしまう。無邪気な少女を悪女に仕立て上げてしまうほど、疲弊するこの社会は、正常なのだろうか。それを突きつけられているような気がしてならない。

(8)東元俊哉『テセウスの船』

1989 年 6 月 24 日、北海道・音臼村の小学校で、児童含む 21 人が毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28 年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと 1989 年にタイムスリップしていた。

過去と現代を行き来する展開は『僕だけがいない街』を思い起こすが、過去にタイムスリップし自分がまだ生まれていない状態の家族と接する主人公に、「テセウスのパラドックス」を早くも想起させる。事件の真相は何なのか、無邪気に笑い合うこの家族と、自分が生きてきた一切笑いのない家族は同一の存在なのか、葛藤とミステリーにすぐに目が離せなくなる。ドラマ化は、結末が本作と異なっていたから、それもそれで良かった。

(9)古宮海『可愛そうにね、元気くん』

主人公・廣田元気には、周囲に言えないある“性癖”があった。その異常さから、恋をすることすら諦めようとしていた元気だったが、どんくさいクラスメイト・八千緑七子への想いはどんどんくすぶっていき……!?

この子たちは「変態」なのだろうか。みんな、自分が頭で理性的に認知できない性癖を「変態」と称して、ただ遠ざけているだけなのではないだろうか。性的倒錯は誰にでもあって当たり前で、単にそのことに自分が気づいていないだけかもしれない。元気は、七子は、暴力に、自分を見出した。踏み込んだその先の深みには何が待っているのか。それはきっと当人にしか分からない幸せだろう。周囲が「変態」と罵るのは無粋だ。

(10)岡田麿里×絵本奈央『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

あなたの “はじめて” を、わたしにください──。和紗たちは文芸部に所属する女子 5 人。部が「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じた「セックス」の一言……。その瞬間から、彼女たちは “性” に振り回され始める。

男子は、それこそ小学生の頃から下世話なシモネタとしてセックスを話題にしているが、女子が同じくらいそれを意識していて、人に依っては渇望しているというのを、大人になって羞恥が薄れてきた年頃の女性と出会ったときに初めて聞いた。それは嘗ての男子には衝撃だった。好きな人ができるだけで世界が一変する。それまでに抱いていた価値観さえも、それまでに築いてきた関係性さえも、変わってしまう。乙女の繊細さは、世界がカラフルに色づいていると思う。絶対にその世界が分からないことが悔しい。羨ましい。その片鱗を覗かせてくれただけで有り難い。

(11)菅原キク『マザーグール』

修学旅行へ向かうお嬢様学校の生徒達を乗せた豪華客船が難破し、一部の生徒達が孤島へ流れ着いた。桐島朔也は無人島の砂浜で目覚めた。そこで彼女を介抱していたのは、学内で落ちこぼれといわれている楓子・なつの・すずの三人。三人を蔑みながらも他の生徒たちと合流するためジャングルの中を歩く朔也が見たのは、同級生を襲う人体に似たパーツを持った異形の化物だった――…!

遭難した女学生たちが無人島でサバイバルする漫画だと『レッツ☆ラグーン』『ソウナンですか?』があるが、これらはその状況を楽しむ姿が微笑ましかった。しかし『マザーグール』の化物が容赦なく襲ってくるパニックは、箱入りの御嬢様たちには耐え難い極めてホラーな状況だ。その緊迫感と生まれ持った気高い心情が余計に神経を擦り減らす。恐怖から逃れる為に信仰に縋ってしまうのは当たり前の精神で、それはいつしか狂気となって、集団になればなる程、死が分からなくなる。怖いのは、化物なのか、結局、人間なのか。純粋で繊細な乙女たちだからこそ、その絶望が葛藤が成長が読んでいて面白い。

(12)桃栗みかん『群青にサイレン』

修二と空はイトコ同士。かつて空のせいで野球をやめた修二は、高校の入学式で空と再会。体の小さな空を見て、「今なら勝てる」と思った修二は野球部に入部することに…。

微エロの河下水希よりも純粋な桃栗みかんの漫画が好きなので、久しぶりにこの名義で描いてくれたことが本当に嬉しかった。思い描く自分、目指す自分、本当の自分……どこに間違いがあって、どうやって折り合いをつけるのか、他人に指摘されて正せることでもない、いつか自分で気がついて、葛藤して、挫折して……そのときにはもう、大人になってしまっている。でも、この青い衝動が、嫉妬が、羨望が、この時代の全てだから、抉れるような気持ちで二人を見守ってしまう

(13)福田晋一『その着せ替え人形は恋をする』

いつも友人の輪の中心にいるギャル系美少女、喜多川海夢。クラスメートの五条新菜は、彼女を “別世界の人間” だと思っていた。雛人形の頭師を目指す新菜が、放課後被服実習室で作業していると、そこに現れたのは…まさかの…!?

一般的に抱いてしまっているギャルへの偏見、そこには多大な誤解があるわけだが、陰キャにも優しいのではないか、という男の妄想を上手く利用していて、ラブコメの王道として真っ当に面白い。だがやはり、一番は、家業が雛人形の職人であるという要素だろう。趣味であるコスプレの衣装を、プロの職人が試行錯誤して仕上げていく過程が、凄く楽しい。ラブ要素なくても、職人の話として、技工を駆使するその奮闘を描いても成立したかもしれない。

(14)竹宮ゆゆこ×絶叫『とらドラ!』

目つきは悪いが普通の高校二年生・高須竜児は、ちっちゃいのに凶暴で獰猛、“手乗りタイガー” と呼ばれる少女・逢坂大河と出会う。しかも竜児は、彼女の知ってはいけない “秘密” を知ってしまい……。

お互いの存在が掛け替えのないものになっていく、だけど、言葉にした気持ちと、心に抱いた気持ちの違いに、気づくことができない。そして、言葉にした途端、心が折れて、全てが溢れ出てしまう。大人になったらコントロールできたかもしれない感情に、無様に振り回されるからこそ、この青春が眩しい。学生時代に読んでいたら、絶対に影響を受けて、それは良い影響で、もっともっと学生という貴重な時期を大事に目いっぱいに過ごしたかもしれないって、思わせる作品だ。

(15)あかほりさとる×竹内桜『民法改正~日本は一夫多妻制になった~』

西暦202X年──。オリンピック特需は終わり、不況と少子化が進む中、その打開策として一夫多妻制が導入された───。一定の条件を満たした男性は 3 人まで女性と婚姻関係を結ぶことが出来るのである。普通ながらも幸せな毎日を過ごしていた浅尾正平はオホーツクで起こった飛行機事故での功績が認められ、国から一夫多妻の権利を得てしまう。そこからは日常が一変、次から次へと未来の嫁候補が現れて…!?

終始ギャグっぽいテイストだが、主題は大変に面白い。本作の「一夫多妻」だけでなく、「一妻多夫」も読んでいるとアリだと思えてくる。ジェッツコミックス繋がりだと『御石神落とし』で語られる古き日本の性は、現代から見ると非常に奔放で、夜這いも当たり前だった。そしてそれが不健全な社会だとは思えず、むしろ男という生物の性を満たしていて無理がない社会に思えた。つまり雄は子孫をより多く残すことに逆らう必要はなく、雌は優秀だと思う雄と積極的にまぐわうことが正しい社会なのではないだろうか。本作のように、日本の少子化を脱却する大胆な策として、無視できない。

(16)秋本治『Mr.Clice』

任務中に事故死した超 A 級スパイの繰巣陣(くりすじん)は、脳だけ女性の体に移植され復活!上司に認められて早く男の体に戻してもらう為、危険な任務を遂行すべく世界を飛び回る!!

こちら葛飾区亀有公園前派出所』が連載終了を迎え、それを機に本作を読んでみたのだが、読まず嫌いというか、こんなに面白かったとは全く知らなかった。『こち亀』のワールドワイド版のような軽快なギャグだったり、戦うシーンも好きになる。

(17)吾峠呼世晴『鬼滅の刃』

時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!!

今や知らない人はいないくらい大人気で、少年漫画を心から楽しめなくなっていたのだが、折角だから久しぶりにこのジャンプ作品を読んだ。正直、やはり少年の心は失っていて、熱狂するほど楽しめなかったのだが、大人や女性がハマる理由はよく分かった。とにかく優しい。主人公たちも、鬼たちの生前も。優しい彼らが、どんな結末を迎えるのか、それは知りたい。

(18)トネ・コーケン×蟹丹×博『スーパーカブ』

両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る女の子・小熊は、中古のスーパーカブを手に入れる。それは小熊の世界を輝かせる小さくて大きな変化だった。

バイクに、原チャリにすら乗ったことがないが、読んでいると無性に乗りたくなる。勿論、スーパーカブに。少し遠くに行けるようになるだけで、世界が物凄く広がったように思えるのだろう。そのワクワク感は、大人になってしまうと、それは当たり前で、すっかり失ってしまう。だから小熊みたいに、スーパーカブを手に入れれば、忘れてしまったワクワク感を取り戻せるかもしれないと、期待を抱いて読んでしまう。

(19)大童澄瞳『映像研には手を出すな!』

アニメは「設定が命」の浅草みどり、カリスマ読者モでアニメーター志望の水崎ツバメ、金儲けが大好きな美脚の金森さやか。ダンジョンへ、戦場へ、宇宙へ--想像の翼を広げて、電撃 3 人娘が「最強の世界(映像)」を創り出す!

何かを想像して創り出すというのは、人間の快楽に組み込まれているのだと確信するほどだ。読んでいて物凄く楽しいし、無性に何かを作りたくなってくる。そして作っても作っても彼女らのようなものが満足に作れなくて、挫折して、落胆して、彼女らに嫉妬までしてしまう

(20)萩本創八×森田蓮次『アスペル・カノジョ』

新聞配達で生計を立てている売れない同人作家・横井の家へ、鳥取から突然やってきたのは「ファンだ」という少女・斉藤さん。彼女は見ているもの・感じている事・考えやこだわりが、他の人と違っていて……。これはそんな「生きづらい」ふたりが一緒に暮らして、居場所を探す、日々の記録。

ADHD や鬱の人と実際に交際したことがあるが、その体験からも本作が漫画的な面白さを狙っているだけの作品ではないということが分かる。とても生々しく、その苦悩がリアルで、私には疲弊してしまって出来なかったことだ。正直、自分を否定されているようで目を背けたくなるが、二人の結末を見届けなければならないような気がしてならない。そして社会は「病気」の一言で片付けがちだと感じる。この生き辛さは他人事であっても知っていてほしい。

(21)武蔵野創『灼熱カバディ』

スポーツ嫌いの元サッカー部エース・宵越竜也(高 1)のもとに、ある日『カバディ部』が勧誘に!「カバディなんてネタだろ(笑)」と内心バカにしつつ練習を見に行くと、そこではまるで格闘技のような激しい競技が行われていて……!!!

本当に「カバディなんてネタだろ(笑)」と思って読み始めた。漫画は本当に偉大で、全く知らなかった、微塵も知ろうと思わなかったカバディというスポーツのルールをすっかり知ってしまったし、その面白さにもはっきりと気づいてしまった。

(22)施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』

とうに人類が滅亡した星で、ラップを口ずさむのが大好きな天真爛漫な姉・πと、いつも読書をしている内向的な弟・マッキは、永遠の命による終わらない日々を過ごしていた。そんなある日、愛すべきものの終わりに直面した二人は……。

「永遠の生」から観測した「死」は、とても理解できるものではないだろう。勿論、「死」を自身で経験できる人間はいない。身近な人たちの「死」を繰り返して、自分の姿をそこに重ね、そうして「死」を知り受け入れていくのだろう。これを読んで思ったのは、遠くない未来に、人間は機械化して死ななくなるので、この子共たちと同じ無自覚の虚無感を得るのだろうということ。「死」を迎えられる今が、最も幸せなのかもしれない

(23)小沢としお『ガキ教室』

ガキと面倒くさいことが大嫌いな前代未聞の新米教師・片桐晶。チャラくてテキトーな晶が問題児たちに立ち向かう…!!

教師のあるべき姿とは一体なんなのだろうか。この教師は、現実では絶対に許されないだろう。だけど、求めているのはこういう教師だ。学校というシステムの中の機械的な教師ではなくて、システムから外れた血の通った人間としての教師だ。理想と現実は何故こんなにも乖離してしまっているのか。結局、人生の経験が物を言うのならば、社会経験を積ませて、大卒から即教師にするルートは禁ずるべきだ。

あとがき

このコロナ自粛の中、『ONE PIECE』を超えたと名高い『鬼滅の刃』を一気に読めたのは幸いだった。『よゐこチャンネル』でも紹介されていたし、大人や女性が絶賛するので、一度は読んでおきたかった。だが、少年の心を忘れてしまった私には、熱中できなかったのが少し寂しかった。

紹介したどの漫画も本当に心からオススメできるものばかりだが、『けだもののように』『ラララ』は読んだら本当に衝撃だと思う。どうしても同じような日常を暮らしていると思考が凝り固まってくるので、どちらもそれをハッと自覚させてくれる作品だ。闇に嵌まり込んでいたら、その出口を明るく示してくれるかもしれない。

闇に嵌まり込んでいるのがまさに『娘の友達』の主人公だ。とても他人事とは思えず、客観的に読んでいると、何故こんなにも辛い社会に合わせて生きようとしているのかと、自問自答したくなる。

陰謀渦巻く『クロコーチ』は悪対悪が爽快だ。『テセウスの船』はドラマが面白かったのなら、結末の異なる漫画を是非読んでみてもらいたい。

どの漫画もコロナ自粛の暇つぶしに、息抜きに最適だと思う。如何だろうか。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

食費入力のみ家計簿アプリ「食費簿」、自慰管理アプリ「アイナーノ」、どちらも御陰様で好調です。より良いアプリ開発に役立てます。