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映画をキュレーションする


2つの別々の映画をある視点を設定して比較しながら観ることによって、より深く映画を楽しむ試みを紹介したいと思います。

今回紹介するのは、2018年公開の映画「ウィストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」と2015年の映画「日本のいちばん長い日」と2本です。




 まず「ウィストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は、第二次大戦下で英国の首相となったウィストン・チャーチルの苦悩を描いた自伝映画です。英国首相となり、抗戦するか和議を受け入れるかのギリギリの判断を下したチャーチルはその時何を考えていたのかに迫る映画です。「日本のいちばん長い日」は、1967年に公開された岡本喜八の同名映画のリメイクとなり、ポツダム宣言を受領を巡り政府と青年将校たちのクーデター計画とのやり取りを描いた映画です。こちらのリメイク版は「突入せよ!あさま山荘」「クライマーズ・ハイ」など実際の事件事故を映画化することの多い原田眞人が監督しています。




2つの映画は、第二次大戦での出来事を描いた事実に基づく映画でいくつかの共通性を持ち、またいくつかの共通する選択を迫られながらがそれぞれ違う選択をしている点がおもしろいところです。なので、そのポイントを意識しながら見比べることによってより深く映画を楽しめると思います。



ポイント1. 国王と天皇

2つの映画にはそれぞれ国王と天皇が重要な役回りで登場します。彼らは何を望みどう動いたか。

ポイント2. 民衆の声

2つの映画にはそれぞれ民衆の反応が描写されます。それぞれの反応の違いや表現のされ方がどう違うのか。

ポイント3. 戦争継続か降参か

2つの映画の一番大きな違いは戦争継続か降参かという点です。





映画を見た後に

ここからは映画を見た後にお読みください。

この2つの映画はいくつかの共通するポイントを持ちつつ、ほぼ真逆の方向に話が進んでいきましたね。この比較によって当時の日本の行いを正当化する意図はなく、大切なのは2つの映画がそれぞれの結論を今この時代から遡って考えても正しい判断であったとしている点です。逆に言えば反対の選択をして悲劇として描かれる可能性があったわけです。

1つの映画単体だとあまり意識しないことも別の映画と比べてそうではない別の可能性について考えられるのが2つの映画を比較する鑑賞の仕方です。ほかにもいろいろあるのでまたご紹介します。 ちなみに今回ご紹介した2つをさらに深く掘り下げたい方は「ダンゲルク」と「日本のいちばん長い日(1967年版)」を合わせてみるのがおススメです。


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