殺害予告にも壊せない夢~クリス・コルファー
前回は、クリス・コルファーさんが、世界の差別的な検閲と闘っていらっしゃることをお伝えしました。
しかし、敵は、それだけではないようなのです。
殺害するとの脅迫
2019年の対談「インパクト・セオリー」にて、実業家のトム・ビリュー氏から、このようなお話がありました。
トム・ビリュー氏:おそらく、こんなことはもう、以前ほどはないんだろうけれど、君の若い頃を振り返ると、意図的なのかその逆なのか、みんなに追いかけ回されていたよね。
でも、そのうちに、そんなこともできなくなると言われている。
君が殺害予告を受けているのは、僕も知っているよ。
そんな中で、どうしたら「世間が間違っていることを証明する」なんていう、勇ましいことができるんだい?
ダークエネルギーとでも呼ぼうか。それをどう使ったら、そんなに素晴らしいものが創り出せるんだろう?
ー クリス・コルファー 2019.11.12 対談「インパクト・セオリー」より
殺害予告…。
もちろん、有名人に対するこのような脅迫やいたずらは、珍しいものではありません。
ただ、クリスさんは、ご自身もゲイとしてLGBTQの権利のために闘っておられ、その影響力は世界中に及んでいます。
LGBTQの方の殺害の実態
▼ 「LGBTへの迫害状況・国別レポート2020」では、死刑や民間人による殺害の事例も、多数報告されています(日本語)。
内容が膨大ですので、冒頭のアフリカの章からほんの一部を抜粋してみました。あまりにも惨酷な部分は、省略しました。
・2019 年2月 10 日に、Facebook で LGBT であることを公表した一人の医学生が大学の寮部屋で殺害されていた。(アルジェリア)
・ 2014 年、ゲイの男性が同性に対して「私は君のことをとても愛しているよ」とテキストメッセージを送ったことで逮捕された後、獄中で死亡した。(カメルーン)
・2013年、ティーンエイジャーのゲイ男性が、シャリーア法に基づき石打ちによる死刑に処された。(ソマリア、2015年にも死刑執行あり)
・ 2013 年、有名なゲイの人権活動家であり、エイズに関する政策提言グループを先導していた Eric Ohena Lembembe 氏が自宅で拷問され、死亡しているのが発見された。(カメルーン)
・2013年、イスラム教過激派勢力 Al-Shabab は、ゲイの男性を石打ちで、死亡させた。Al-Shabab は目隠しをした男性を腰まで埋め、死ぬまで石を投げ続けたという。(ソマリア)
ー 難民研究フォーラム「LGBTへの迫害状況・国別レポート2020」より
クリスさんも以下のように語られていますが、「死ぬまで石打ち」というのは、けっして誇張でも昔の話でもないことがわかります。
クリス:どこか…もしも、どこか他の場所に生まれていたら…
たとえ現代でも、他のどこかに生まれていたら、僕は、屋根から放り投げられるか、死ぬまで石で殴られていたかもしれません。
ただ、「 存在する」たったそれだけのためにです。
ー クリス・コルファー 2019.10 TV番組「 ザ・トゥナイト・ショー」より
2016年、アメリカ史上最悪の銃乱射事件
前述のレポートは、LGBTQが違法とされる国が対象で、アフリカや中近東、アジアが中心でした。
しかし、アメリカに目を向けても、大変な事件が発生しています。
それが、2016年にフロリダ州で起きた、ゲイのナイトクラブにおける銃乱射事件です。
日ごろから同性愛者を憎む発言をしていた犯人は、乱射をしてから店内に立てこもり、3時間後に特殊部隊によって射殺されました。
これを含めて50名が亡くなり、53名が負傷。
銃乱射としてアメリカ史上最多(当時)の被害者を出したこの事件は、ゲイを標的としたものだったのです。
クリス・コルファーさんの回答
このような深刻な背景を持つ、トム・ビリュー氏からの問いかけに対して、クリスさんは、このように答えられています。
クリス:僕には、「死ぬまでにやることリスト」がありますから。
5歳のときからなんです。
(つづく)
クリス:今までの人生で一番素晴らしい恵みは、まさに、頑張り続けるための「 やりたいことリスト」を持っていることだと思います。
こんなリストが、どこから来たのかわかりませんし、なぜそんなに幼い頃に持つようになったのか、わかりません。
ただ、物心つく頃から、僕は演技をやりたいんだとわかっていました。
本を書きたいんだと、わかっていたのです。
何を自分がやりたいのか知っていたおかげで、その後の人生をかなり順調なものにできたのだと思います。
ー クリス・コルファー 2019.11.12 対談「 インパクト・セオリー」より
ドラマ「glee」での演技と数多くの著書によって、LGBTQの方のみならず、圧迫を受けている多くの人々に勇気を与えてきたクリスさん。
自分のやるべきことをやるのみ。気になどかけないし、邪魔はさせない。
そんな覚悟が伝わってくるようです。
▼ 日本語版が発売されたこの『魔法ものがたり・上』でも、「魔法」(ゲイや人から差別される弱みのたとえ)を持つ者、特に子どもが迫害される世界を描いています。
『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ』を読んでいなくても、全くOK
小学校高学年以上。下巻は、2022年春の発刊が予定されています。
▼ 無料マガジン「夢をかなえる」
▼ どの子も夢を追える世界をめざして、闘っていらっしゃるのですね。
▼ こちらにも「死ぬまで闘うつもりですから。」という言葉がありますが、改めてその重みを感じました。