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【続いてる写経 980日め】〜心霊療法は北海道でニーズが高かった?

千里眼事件の話。千里眼事件の中心人物となる御船千鶴子さんは、義理の兄が催眠術を用いた心霊療法をやっていたことから、その能力が見初められたらしいです。
義兄の元で千里眼による体内透視の「治療」を行なっていたようで、次第に知名度を上げていった模様。中でも石炭の炭鉱を言い当てたことが有名らしいです。

このあたりの逸話は、御船千鶴子→三船千鶴子と名前は変えられていますが、『ゴールデンカムイ』の96話でもうまく取り入れられておりました。
このストーリーではアイヌの占い師であるインカラマッが三船千鶴子と間違えられて、男たちに囚われてしまいます。本人さながらインカラマッが色々と言い当ててしまうのが怖い…。彼女は本物の”千里眼”の持ち主であろうことが示唆されます。

心霊療法が流行ったのは明治後期〜大正時代らしいので、ちょうど日露戦争後を舞台にした『ゴールデンカムイ』にマッチング。

しかも舞台となっている北海道とは、京都の出版社・人文書院さんが前身の日本心霊学会出版部時代に出していた『日本心霊』でも多く取り上げられている場所だったのです。

人文書院さんの上記投稿によると、『日本心霊』には有名な心霊術師が北海道に赴き、一日に50人施術を行った記事などがあったそうです。

北海道を有名な治療家が巡回したとか、小学校の先生が心霊治療をマスターして施術を行っていたとかエピソードがたくさん紹介されていました。

やはり開拓当時の北海道にはお医者様もいなければ、厳しい気候で病気になる人も多かったのでしょう。
当時の交通網から考えると、北海道というのは相当な僻地だったはず。そうなると、お薬も手に入らないし、お医者さんもたくさんいない。病気になるとどうしようもなかったところに、心霊術師が治療に来くることはさぞかし歓迎されただろうと推察されます。

また、当時は通信網も発達していないでしょうから、インカラマッのように取り違えられた可能性も考えられそう。

『ゴールデンカムイ』96話は、北海道での心霊術師の浸透と、時代背景、インカラマッのキャラクターを生かした絶妙な話であった。
やっぱ『金カム』すごい、勉強になる。


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