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陣痛ばりの「尿管結石」という痛みを摘出する日に華を添えるカレーという存在 #13

夫は2018年末に ” 尿管結石 ” に罹患し、結石の摘出手術前の絶食指定日に、レトルトカレーを吸っていた。

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・・・ バカなの?


いつもは「ウソでしょ?」くらいのテンションで笑い飛ばせるが、この時ばかりは「毎日カレーなんて食べなくても死なないから、食べないでくれ…!!!!」と心から毎日連続カレーの終焉を願った。


「女の陣痛、男の尿管結石」と言われるくらいの激痛

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ある日の夕方、普段は具合が悪くても気づかないくらい自分の体にスーパー鈍感な夫の様子が何やらおかしい。

「お腹が痛い…。もしかしたら、尿管結石かもしれない。。」

尿管結石という病名も知らなかった私は、お腹が痛いくらいで私に予告するなんて珍しいなぁ、くらいに思った程度。


ー 翌朝4時頃。

しっかり寝ていたわたしは、脂汗をにじませ顔面蒼白な夫に「お腹が痛すぎるから病院に行った方がいいかも…ぐぅぅう……」とゆすり起こされた。

痛みに鈍感で弱音を吐かない夫が、珍しくわたしに助けを求めている。


!!!! これは異常事態… !!!!!


とはいえ、普段は元気いっぱいなので救急病院がどこにあるか調べたこともない。だが、事態は一刻を争いそうな感じで痛み苦しんでいる夫を横目に、急いで最寄りの病院を調べ、タクシーで恵比寿の病院に向かうことにした。
(この時、タクシー配車アプリがあれば…!!!)

家着のままコートを羽織り、お財布とスマホだけ持って駅前まで行こうとするも、夫は歩くだけでも痛いようで、どうにか支えてあげたいが154cmのわたしが186cmの夫を担ぐこともできず、寄りかかられると重量に耐えきれずよろけてしまうので、ゆっくりゆ〜っくり肩を貸しながら進むことに。

一歩進んでは苦しむの繰り返しで、家から駅まで徒歩5分程度なのに、体に負担がかからないように慎重に歩いたので、この時は20分くらいかかった。

この世の終わりのような不安が押し寄せるような痛がり方に「あれ?夫、死ぬ可能性ある…???」と、えも言われぬ感情が芽生えてきた。

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やっと駅までたどり着いた、が、今度はタクシーが全然とおらない。

タクシー会社に送迎を呼ぶが早いか、駅前を通るタクシーを待つが早いかの冷静な判断ができないくらい痛み悶えている夫を横目に、タクシーを待つことに。

待つ時間も、1分が10分のように感じる。
どのくらい待ったかは定かではないが、やっと反対車線にタクシーが来たので痛がる夫をその場に置いて、タクシーの運転手さんに無理やりUターンしてもらい、やっと病院までたどり着いた!!

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診察してもらうも、時間外救急なので専門の先生が不在でレントゲンなどの詳しい検査ができないとのこと。応急処置として夫の直腸にボルタレンをぶち込み、痛みの緩和を待つことに。

外来が開く朝8時半まで救急外来のベットで、ただただ痛みを我慢する夫を眺めること3時間。
ボルタレンが効き始めて、最初の痛みよりかはマシになったようだが心配しすぎて時間の経過が逆に早くなった。なにこれ。

初めて知ったが、救急で営業開始時間前に病院内にいたとしても、外来予約をしていた人が優先なのね。
結局診察を受けられた時刻は、朝9時だった。


長い夜を超えた診察の結果

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夫の予想どおり、尿管結石。しかも8mm。

診察時に先生に「痛かったでしょう〜、陣痛と同じ痛みって言われてるんですよ」と言われて初めて知ったのだが、人間が感じる最も強い痛み、と表現しているサイトがあるくらい痛いらしい。

「夜中に激痛で目が覚めた」
「痛くて救急車で運ばれた」
結石による痛みは、人間が感じる最も強い痛みの一つとされています。

引用:西南泌尿器科クリニック

そりゃ、悶えるよね。
しかも2回目だっていうんだから、2人出産したようなもんじゃない。すごいな夫。

5mm以下であれば、自然に排出できるらしいが、夫の場合は8mm。
排出を促す薬を飲んで、1週間後までにおしっこに混じって体外排出できたらラッキー、出なかったら超音波で外側からクラッシュさせるか摘出手術でどうにかしよう、という説明を聞いて帰宅。


…え、待って、8mmよ。
改めて定規で8mmを確認して欲しい。
この大きさの石がセンシティブな尿道を通る時点で激痛なんでは…?

あ、あ、考えるだけで痛い尿管結石。


後日、自然排出されていることを祈りつつ再検査したところ、結石は超音波クラッシュができない場所に落ちてしまった為、尿管結石摘出手術をすることに。


問題は、術前入院中の絶食期間

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夫は「毎日連続でカレーを食べる」というルールを己に課している為、絶食指定されても食べざるをえない。

人間ドックでも絶食指定されるが、実際は食べてもそんなに大きな影響はないように感じているので、この手術でも「とはいえ、こっそり食べればいいよね」なんて軽く考えていた。

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手術は術前後を含め、2泊3日予定。
念のため、入院当日に看護師に絶食しなかった時に起こり得るリスクを聞いたところ「腸が破れるかもしれないですねぇ。」

やんわりと怖いことを言われたので、完全にヒヨった。


カレーを食べるだけで腸を破らんでくれ…!!!というわたし。
毎日連続カレー記録は途切れさせたくない…!!という夫。


喧々諤々の議論の結果「絶食開始予定日の夜中0時を回った瞬間に、レトルトカレーを一口吸う」という方法に着地した。

目黒区の病院なので、雅叙園のレトルトカレーをチョイス。
やっぱりご当地だよね。

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無事にカレーを口にした日の午後、そんなに必要?!と訝しがってしまうほど物々しく、手術するぞ!という感じの器具に繋がれた夫は手術室に消えていき、全身麻酔をかけられて小一時間で無事に石を摘出した。

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予定では術後に、夫の大事な部分からステントという管を抜く処置があったのだが、先生の腕が素晴らしくて、術後直後で尿管ステントも全て外れてる状態だったので1工程をスキップして結石とサヨナラすることができた。

術後の病院食は質素だけど普通の食時だったので、こっそりカレーをON。

病院食は味気ないので、カレーは華なんだそう。
入院中にふりかけ常備する人多いよね、そういうことなんだな。

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誰も見ていないし(厳密には私が見ているが)、1日食べなかったからって誰にも叱責されるわけでもないのに、こんなギリギリの状態で意地でも己が定めたルールに忠実だった夫を褒めてあげたい。

健康第一。


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