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【虚構のアイランド】短編2・ミュージックメモリー《5》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

店主は鼻の下あたりにちょび髭を生やしたおじさんである。
年齢柄、急に動く時に声を漏らすのだろう。

店主は私の隣に並ぶと、ジュークボックス前面の銀色の装飾を触った。
至近距離で眺めると、店主の触った装飾は、機械を作動させる為のボタンだった。

慣れた手つきでポチポチとボタンを数個押して、右側の、これまた銀色に染められたツマミを回した。
ツマミは音量だと、一目でわかった。
ジュークボックスから流れてくる音が大きくなったからである。

ピアノのみで奏でられた曲を、店主は流した。
キン、と鳴る高音と、ボーンと鳴る低音が心地良かった。

世界各国が災害級の豪雨で沈んでいき、小さな島がポツポツ出来上がってしまったこの地球で、木製のピアノの音が聴けるのに感動した。

「すごい、綺麗な音ですね。」
「これは大昔のジャズピアノさ。何でもかんでも機械で音色を似せようとする時代になったが、懐メロを感じたいセンチメンタルな時もある。
だから、このジュークボックスに過去の曲をため込んでるんだ。」

長編は、下記のサイトでつぶやき形式で公開中!

明日もお楽しみに!

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