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探究学習プログラム #10 -探究ラボ キヤノン “PowerShot V10” プロジェクト-

プロジェクトの概要

5-7月にかけてキヤノンマーケティングジャパン株式会社様(以下キヤノンMJ)にご協力いただき、MONO-COTO PROGRAM 探究ラボ「キヤノン “PowerShot V10” プロジェクト」を実施しました。

MONO-COTO PROGRAM 探究ラボは、課外時間に探究活動を行いたい生徒が集い、自分で追究したいテーマや企業からの課題に取り組むプログラムです。

今回は逗子開成中学校・高等学校、田園調布学園中等部・高等部、富士見中学校高等学校から生徒が参加し、キヤノンMJからいただいた「自分たち(Z世代) or 自分たちの周りの人が、より豊かな生活をするための新たな体験(サービス or 使い方)を提案する」というテーマに対して、アイデアを提案しました。

プロジェクトの流れ

⑴キックオフ

5月27日(土)に、田園調布学園にてプロジェクトのキックオフを行いました。逗子開成中学校・高等学校、田園調布学園中等部・高等部、富士見中学校高等学校が参加し、キヤノンMJ担当者からプロジェクトやVlogカメラ「PowerShot V10」についてご説明いただきました。

今回のプロジェクトでは、キヤノンMJより各チームに「PowerShot V10」をご提供いただきました。生徒たちは「PowerShot V10」を受け取ると、様々な角度から写真を撮ったり、スマートフォンと撮り比べたりして「PowerShot V10」に触れることで、アイデアを模索していました。

プロジェクトの説明

⑵グループワーク

MONO-COTO PROGRAM 探究ラボは、生徒主体でプロジェクトを進めていきます。週1回放課後にCURIO SCHOOLスタッフとミーティングを行い、進捗確認や状況に対するフィードバックなどを行なってきました。そのため、プロジェクトの進め方はチームによって異なります。

富士見中学校高等学校では、ユーザーから決めるチームもあれば、アイデア発想から始めるチームもありました。ユーザー決めから始めたチームは、体育祭で友達を撮影したり、先生に「PowerShot V10」を使っていただきインタビューしたりしました。生徒たちは休み時間や放課後、休日に集まり、「PowerShot V10」を使いながら、アイデアを検討していきました。

PowerShot V10とiPadを繋げている

⑶ 第1回 中間プレゼンテーション

6月17日(土) の第1回中間プレゼンテーションでは、「PowerShot V10」で撮影した画像や映像を使いながら、チームの進捗状況や今後の方針、現時点でのアイデアを共有しました。キヤノンMJ社員の方々からも、生徒たちが使用した「PowerShot V10」の機能や動画の撮影意図などの質問がでるなど、意見を交換し合いました。社員の方々からマーケティング視点のフィードバックをいただいたことで、生徒たちは次やるべきことが見えてきたようでした。

中間発表に向けた練習

⑶ グループワーク

生徒たちはいただいたフィードバックを元にアイデアを検討していきました。「PowerShot V10」を使ったストレス発散サービスを考えたチーム(富士見中学校高等学校 F1チーム)は、「ストレスの原因によって見たい動画が違うのではないか」というフィードバックから、自分たちがどんな時にストレスを感じ、どんな動画を見れば解消できるのか、分析していました。また今回のテーマ「自分たち(Z世代) or 自分たちの周りの人が、より豊かな生活をするための新たな体験(サービス or 使い方)を提案する」に立ち戻り、自分たちが本当にこのアイデアを使いたいと思うか、再検討するチームもありました。

担当先生とアイデアを検討

⑷ 第2回 中間プレゼンテーション

第2回中間プレゼンテーションは、各校ごとに実施しました。富士見中学校高等学校では、7月14日(金)に行われました。生徒たちは作成した動画を共有しながら3分間でアイデアを発表します。キヤノンMJの社員の方々に質問できる最後の機会ということもあり、生徒からは活発に質問が出ました。社員の方々からは、アイデアを具体的なビジネスプランに起こし込むことや「PowerShot V10」だからこそできる点をわかりやすくすること、などのフィードバックをいただきました。

キヤノンMJ社員の方々からのフィードバック

⑷ グループワーク

生徒たちは最終プレゼンテーションに向けて、自分たちのアイデアをブラッシュアップしていきました。Vlog作成スタンプラリーを考えたチーム(富士見中学校高等学校 F3チーム)は、自治体や企業を巻き込めるような具体的なビジネスモデルにアイデアを落とし込んでいきました。発表スライド作成する過程で、先生やCURIOスタッフのフィードバックを受け、1からスライドを作り直すチームもありました。

アイデア検討

⑸ 最終プレゼンテーション

7月22日(土)の最終プレゼンテーションはキヤノンマーケティングジャパン本社ホールにて実施しました。各校から計10チームが参加し、自分たちが考えたアイデアを審査員の方々に提案しました。生徒たちからは「交換日記のように使い、思い出を撮り溜めていくアイデア」や「学校でカメラを貸し出せるアイデア」などが出ました。

逗子開成チーム

キヤノンMJの審査員が5つの観点から審査をし、1位から3位と特別賞が選ばれました。

審査基準

結果は以下の通りです。

総合1位 富士見中学校高等学校 チームF4
総合2位 田園調布学園中等部・高等部 チームD3
総合3位 富士見中学校高等学校 チームF3
特別賞   富士見中学校高等学校 チームF1

▼各チームのプロジェクト動画は、こちらからご覧ください。
https://news.mynavi.jp/lp/2023/digital/kaden/canon_powershotv10/

▼プロジェクトについてマイナビニュース様の「デジタルプラス」にて紹介していただきました。各チームのアイデアの詳細はこちらからご覧ください。https://news.mynavi.jp/article/20230725-2733786/

生徒インタビュー

参加チームから、富士見中学高等学校のチームF3(Aさん、Bさん、Cさん)に弊社の角田がインタビューを行いました。

プロジェクト概要

チームF3は「Vlogを作りたいけれど撮影や編集が面倒」と考えるZ世代をユーザーに設定し、観光地やテーマパークでV10を貸し出して、動画素材やテンプレートをシェアしながら簡単に楽しくVlogを作成できる「スタンプラリーカメラ」を考え、提案しました。

最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド
最終発表スライド

インタビュー

インタビューに答える3人

角田 まずは、どのように皆さんのプロジェクトが進んでいったのかを教えてください。

Aさん まずアイデア出しからです。 テーマが難しかったので「カメラと何かを掛け合わせる」というのが簡単かと思い、掛け合わせるものを考えました。ナンシーさん(※CURIO SCHOOL社員)の「脱出ゲームを掛け合わせたら面白いんじゃないか」という助言からヒントを得て、スタンプラリーを思いつきました。

Bさん 最初の中間発表に向けて、実際に自分たちで試してみようということになりました。それで、TikTokerやYoutuberのVlogを観ながら「こういう動画を撮ったらおしゃれになるんじゃないか」ということをリサーチしていいきました。

Aさん 「こういう動画を家で撮ろう」というのを3人で話し合って、その通りに撮ってみるという感じで、中間発表の動画をつくりました。

Cさん その基本的なベースを変えずに、中身をちょっとずつ試して内容を詰めていったような感じです。

角田  では、スタンプラリーのアイデアは中間発表の前に決まっていたんですね。スタンプラリーにした決め手は、何だったんでしょうか。

Bさん 最初はそんなにアイデアが出ていなくて…。元々「買ってもらうんじゃなくて貸し出した方がいい」という気持ちをずっと持っていました。それに合う形を考えたときに、観光地に1台ずつカメラを置いて次々に撮ってもらうということを考えたんです。ただ、それだと撮る人が限られてくるし、知らないとやっぱり撮らないので。 型があったうえで撮ってもらった方がやりやすいということでスタンプラリーになりました。

Cさん インパクトもあるし、聞いたときにちょっと説明するだけでも「多分こういうイメージでやるんだろうな」っていうのを想像できると思って。

スタンプラリーに決まった時の話をする生徒たち

角田  アイデアが決まってからの流れは、どのような感じだったのですか。

Bさん スタンプラリーとカメラを掛け合わせるのはいいけれど、カメラに特化しなければいけない理由がなかなか出なくて。

Aさん 私たちは最初からアイデアが決まっていたから、肉付けをする時間がすごく長くあったんですよ。だから、それを5分間に収めるのが難しくて原稿作りで結構時間を使っていました。

角田さん 引き算のところが難しかったんですね。 先ほど実際にいろいろな場所で撮影してみた話があったのですが、やってみて見つかった課題はありましたか。

Cさん 公開してもらいたくない人もいるので「ここは映して大丈夫」「ここは映さない方がいい」という、取捨選択が結構難しかったです。

Bさん チームメンバーと一緒に居たし、V10が「カメラです!」って感じがしないので、撮影することへの抵抗は少なかったです。

Aさん やっぱガチのカメラでYoutuberみたいに撮影していると「なんで撮ってるんだろう」と注目して見られると思うんですけど、V10は小さいし、スマホライクなので、気軽に撮れて楽しかったです。

角田  今回のテーマはなかなか難しかったかと思うんですけど、どうですか。

Bさん 毎回「スマホではなくてV10でやる理由を提示してほしい」と言われて、その部分を考えていくのが大変でした。中間発表は、私たちの順番が最後の方だったので、雰囲気は掴めていました。

Aさん 社員の方が優しくアドバイスをしてくださって、その意味では安心でした。もう少し怖いと思っていたので「あれ」みたいな感じで(笑)

Cさん 私たちからも聞きたいことを聞ける雰囲気だったので、やりやすかったです。

社員の方が想像より怖くなかったことを話す様子

角田  受けたフィードバックの中で、役に立ったことはありましたか。

Cさん 自分たちの班だけではなくて、 他の班へのアドバイスからも自分たちの発表スキルが上がった感じがしました。

Aさん 最初は、話し言葉を使わずにがっちりした文章で考えていたのですが、中間発表が終わった後に大門さん(※CURIO SCHOOL社員)に「もっと崩していい」というアドバイスをいただいて、そこから改善していきました。

Bさん 学校のプレゼンは結果が大事だという部分もあるんですけど、今回は自分たちが楽しんでるところを発表で示す感じだったので、やりやすかったです。

角田  最終プレゼンはどうでしたか。

Bさん メディアや校長先生もいたし…緊張しました(笑)

Aさん 中間発表の時点では周りはまだアイデアが思いついていない状態だったのですが、私たちはその時点でアイデアの完成度が高かったので、自信に繋がっていて。最終発表のときも、自信を持っていました。ただ他の班の発表を聞いてみると、完成度が上がったものがたくさんあったので、 3位という結果には納得しました。でも、悔しかったです。

角田 その悔しさが生まれたのは、どうしてでしょう。

Bさん 周りもすごいし、時間が経つともう少しあそこが改善できた、という部分がどんどん浮かんできました。当日は、朝の5時まで考えてたんですよ。

A さん 「最後までやりきる」という気持ちがあって。最後までモチベーションがありました。

C さん 「とことんやりたい」というのが、3人が共通の思いだったので。

角田  どのようなところが「とことんやりたい」という気持ちに繋がりましたか。

Cさん 同じアイデアを出しても、プレゼンの仕方によって印象の受け方が違うので、他の班のプレゼンの仕方は参考になりました。

Bさん V10の良さについてどれか1つに絞ったチームもあれば、V10そのものを生かした提案をしたチームもあって、色々な見方があるというのを感じました。

Aさん 校内での影響が大きかったかもしれないです。部活のときに「今どんな感じで進んでるの」と聞くと「結構撮影終わったよ」とか「アイデアもここまで固まったとかいう」とかそういう言葉を聞いて、ちょっと焦りすることもあったりして。当日までは、「結局あのチームどうなったんだろう」という気持ちを抱えながら過ごしていたのですが、結果を聞いて「わ、すごい」ってなりました。今まで探究を一緒にやってた子たちや美術のプロダクトデザイン授業で一緒にやってきたメンバーだったから、私たちももう少しできたんじゃないかって思っています。

角田  もう少しできたと思う部分は、具体的にどのようなところですか。

B さん 説明したいことがありすぎて、結構ギリギリの発表だったと思うので、もうちょっと余裕をもってうまくまとめてたらなと思います。

Cさん 早口だったよね。

Aさん 私がスライドを作ったんですけど文字を大きくしようと思うと細かくなっちゃうし、1つ1つこだわったのにもったいなかったので、もう少し要点を絞れたかもと思っています。

最終プレゼンの様子

角田 振り返りができていて良いですね、企業とプロジェクトをやることに対しては、面白さや難しさがありましたか。

Bさん 企業と一緒にプロジェクトに取り組むのが初めてだったので、どういうアプローチをすればいいのか全然わからなかったです。喜んでもらいたいけれど、自分たちが持ってるものじゃ 足りないんじゃないか、みたいな不安はあって。

Cさん 学校外の人と連携してプロジェクトを進める機会はなかなか無いから、面白そうだと思ったんです。 でも、実際やると自分たちは普段学校内の狭い範囲でやってるので、社会全体に目を向けたときに、自分たちの視点だけでは足りなくて。そこが難しかったです。

Aさん アイデアを出したところで企業の方が理解してくれるかわからないから、目線を一致させることを頑張っていて。 原稿を作るときも、アイデアを出すときも「インスタのストーリー」って言って伝わるかな、みたいな部分にはかなり気を遣いました。

Cさん 企業の方が求めてたのは「学生ならでは」だったから、私たちが出したアイデアをベースにするというのは決めていて。その上で、企業の方からもらったフィードバックについて、自分たちができそうなところだけを取り入れていくようにしました。

角田  そうですよね。皆さんが丁寧に伝えてくれたから、良いプレゼンになったと思います。今回の経験で、これからに活かせそうなことってありますか。

Aさん 私はプロダクトデザインに すごい興味があったので、そこで、チームワークもそうですけど、アイデアの出し方、発表の仕方、スライドの作り方が将来に繋がると感じでいます。

Cさん 私は将来プロダクトデザインやりたいとか、そういうわけじゃなくて、将来やりたいこととはちょっと離れてるんですけど、私たちが普通に使ってたものが、どのような経緯を経て開発されているかを知れたことが、将来役立つと思っています。

Bさん これから卒業探究をやっていくんですけど、そこでの進め方とかアプローチの仕方を参考にできたらいいなって。

プロジェクト経験を今後にどう活かすかを話す様子

角田 皆さんは、部活動も熱心にやっているかと思うんですけど、両立の大変さってありましたか。

Cさん 私は部長をやってるので、できるだけ部活には参加したくて。活動が週4日であるから休みたくないけど休まざるを得ない状況はありました。最初のキックオフも、大会の後にすぐに駆けつけました。体育祭もあったので、カツカツのスケジュールでした。

Bさん 今回、期間が3か月で、中間発表も2回あったのでスライドの準備が大変でした。もう少し期間が長くても良かったです。

Cさん でも、3か月の方がぎゅっと集中できるという面もあるかも。

Bさん 撮影可能な場所を探したんですけど、撮影許可証をもらうのに、多いとこは1ヶ月かかる場所もあって。もっと早くやっておけば良かったと思いました。

角田  チームワークについては、どうですか。

B さん 自分たちの得意なことをそれぞれやった感じです。スタンプラリーを作る人とか、動画を作る人とか、原稿を作る人とか…そこはうまく分担できてたかなって。私はあまり積極的な方ではなくて、普段は家で静かに絵を描いてるようなタイプなんです。

Cさん 私は競争心が強い方だと思います。

Aさん 私は2人のちょうど真ん中くらいのタイプです(笑)

Cさん このチームは今回のプロジェクトだけではなくて、高1のときの美術選択と同じメンバーだったので、一度グループで協力して何かを作ってみた経験があるんです。関係性ができていたことが、良かったかもしれません。昨日、大阪で開かれた大学のワークショップに参加してたのですが、初対面の人とのグループワークでは、意見が出しにくいということを感じました。そのワークショップでは、大学生の人がずっと喋ってくれていて、積極的に喋ってくれる人がいるといいということを感じました。

Aさん 初対面だったら、アイデアはなかなか出ないよね。

角田  改めて良いチームだったことが伝わってきました。杉原先生に質問なのですが、生徒の皆さんを見ていて実感した変化があればお聞きしてもいいですか。

杉原先生 変化として分かりやすく自分が感じたのは、プレゼンテーションの資料がブラッシュアップされているところはもちろん、去年の美術選択から比較すると内容が深まってることを感じますね。

生徒の成長について話をする杉原先生

角田  内容が深まった要因は、どういったところにあるのでしょうか。

杉原先生 やっぱり企業さんからのフィードバックの場面は、大きいです。あとは、ワークタイムでCURIO SCHOOLの社員の方にずっとお世話になってたのですが、違う立場の方から生徒たちが助言がもらえていることは大きいのではないかと思います。
キャノンさんのような企業の方と話す場面は普段なかなか無いので、今回のプロジェクトはまさに僕が彼女たちに提供したかった学びでした。

                  (インタビュー・文章:角田・田中)

本記事の詳細は、弊社担当までお問い合わせください。
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・担当: s-daimon@curioschool.com(大門)

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