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写真との出会い、そして変化|Artist Interview - 宵月 絃 1/5

What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。2020年11月より、宵月絃さんのインタビューを全6本にて公開します

宵月 絃(@__yoii_to)

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四季の記憶を綴るように好きを集めては写している、何処にでもいる花好きのひとり。透明感のある写真が特徴的で、生花だけではなく、自身でドライフラワーも作りながら撮影しSNSに公開している

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--- 宵月さんとカメラとの出会いは、いつごろ、どんなことがきっかけだったのでしょうか? 教えてください。

もともと写真を撮るのは好きだったけれど、iPhoneなどスマホで撮ったものでも十分だったんです。SNSでも写真が流れてきたりして、見ていました。

そうするうちに、だんだん自分がふだん見ているよりも、世界ってなんだかいろんなものが溢れているんだなと思うようになって。

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身近な友人がカメラを持っていて、春先の桜の写真を撮るっていうので、いっしょに行ったんです。

そしたら、もう毎年見ているような桜を、こんな風に撮れるのだなって感動して。スマホのカメラでも十分撮れるけれども、カメラで撮る世界って違うんだなっていうのをすごくはっきり感じました。

毎日を過ごす中で、「自分のまわりのことを写真に残す」っていう感覚があまりなかったんですよね。

で、こういうふうに身近なものを写真に残していいんだなっていうのに気づいて。それから、「カメラを手にしたらなんとなく変わるんじゃないかな」って思った自分がいたので、カメラを始めました。

---  それはいつ頃のことだったんでしょう?

カメラをはじめたこと自体はもう7年くらい前になります。「本格的」というか、今の自分の感じで撮るようになったのは、ここ1、2年ほどですね。

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---  数年前の自分と、最近の自分では、いったいどんな変化が起きたんでしょうか?

「綺麗だな」って思う感情は一緒です。

でも、カメラで撮り始めた最初の頃は、「好きなものを撮りたい!」という気持ちが強くて、光や天候のことも考えてなくて。そういう撮り方でもいいとは思うんですけど、好きなものを好きなだけ撮るみたいな感じで。

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ここ最近になってからは、光とか天候とかでも全然違うんだなってことに気づきました。ちょっと条件を変えるだけで、同じ花でも全然表情が変わる。

昔は、桜だったら「桜!!」という感じで、ぱっと目に飛び込んできたひとつの表情だけを捉えていました。ほかの表情があるなんて気づいていませんでしたし、探そうともしていなかった。

今では、同じ桜でも「花びらの開き方が違うな」とか「朝方とか夕方の色は桜の色が違うな」というふうに思います。

紫陽花だったら、「ちょっと虫に食べられちゃったような葉っぱ」とか、額の部分だとか、人の目には触れないような部分も見ています。

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そういう色んな表情や側面に「自然と気づけるようになった」という部分は、すごく変わったところかなと思いますね。

---  世界を見る解像度が上がった、みたいな感じでしょうか?

そんな感じかなと思います。

---  宵月さんがお花を好きになったのはいつぐらいから?

昔のデータを見ると、前からお花の写真は撮っていました。

でも、ここ2年ぐらいで、気持ちや体に変化があったんです。なんでしょうね、言葉にするのがむずかしいんですけど。

お花に触れている時間は自分のことを考えなくてもいいし、純粋にすごく落ち着くんです。

この子たちに触れてると、私の中でうまく消化できなかったいろんな感情や記憶が、すこしずつ、ちょっとずつ、シャッターを切っていくたびに整理されていく。

小さな本棚にちょっとずつ感情を整理していくような感覚です。その感覚がすごく好きで。

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花はずっと変わらない分、「自分もそのままで大丈夫なんだ」っていうふうに思えて、安心するのかなあと思います。

---  お花に触れたり、向き合ってシャッターを切る時間を通じて、気持ちが整理されていくんですね。なんだか、わかる気がします。

次回 更新予定記事
光をつかめるようになるまで|Artist Interview - 宵月絃 2/5
Interviewer / Writer :  片渕ゆり(@yuriponzuu
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始。






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