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ファンサを貰うには『日記:2024.8.18』

相撲を観に行った。生で、初だ。小さい頃に両親と行ったことのある母と、初めての私で前売り券を握りしめて会場に向かった。

無知のまま挑むと滑稽かと思って、テレビで流れる他県の巡業の様子を観たり、力士大食い選手権を観たりして、顔と名前と番付をある程度覚えておいた。
だがそれらに出演していない力士は分からないので、入場時に配られた番付表と、母が購入したパンフレットの全身写真を照らし合わせながら確認した。

私はこれまで、バスケ観戦と、バンドライブと、アイドルコンサートと、大型フェスと、プロレスに行ったことがある。顔と名前を覚えることが容易な私は、初参戦の場合も古参のような振る舞いが出来る。プロレスに行った際は、さっき覚えた名前を連呼していた。

初めてのものに触れることが好きだ。
やったことのないものをやる、見たことのないものを見る、食べたことのないものを食べる。経験値が上がって自分の立っているアスファルトの高さが体験前の自分より数センチか上にあがった感じがする。何事にも偏見がない母に少し似て、どんなことでも楽しめる体に育ったのだと思う。

相撲も然り。とても楽しかった。

入場して席を見つけて座っていると、端で人集りが出来る。

あ、知っているお相撲さんだ。
ママ、ママの好きなお相撲さんだわ。

私が声を掛けて、二人で立ち上がり向かった。長蛇になる前に並び、写真を撮りたいと瞳を輝かせる母とツーショットを撮ってあげた。

大きい。

こう思った時の私は母と同じように目を輝かせていただろう。お相撲さんや他の観客は光が反射して眩しかったかもしれない。

私達は新参者なので準備をしていなかったが、色紙とマジックペンを用意している人にはサインをくれる。あとで分かったが、色紙とマジックペンは入場入口にも売っている。抜かりなかった。

私は多種多様な現場にお邪魔した。
その中でもお相撲さんはどの現場よりもファンサをくれる。

巡業はそういうものだと言われていたが、あまりにも多過ぎる。数十分もすれば試合が始まるというのに、マダム達と写真を撮り、汗を拭き、サインを書いては、汗を拭き、子どもを片手に抱えて写真を撮り、汗を拭き、後援会の方と話しては、汗を拭いているのだ。

ファンの数、職業毎のファンへの対応はそれぞれだが「ファンサを貰えた」などの話をしたい場合は相撲を観に行くと良いと思った。こんなに近く、ファンに感謝していると言わんばかりのサービスは他の現場では中々頂けない。

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