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三回目のデート【脚本】

●夜中、居酒屋
A・B、居酒屋を出て駅まで歩く

B「美味かったね」
A「そうですね!特に」
A・B「イカフライ」

A・B、笑い合う

B「もうすぐ終電だっけ」
A「覚えてくれたんですか?」
B「まあね、もう二回目だし」
A「あ、二回目」

A、微笑む

B「次いつにしよっか。来週末空いてる?」
A「あー……」
AN「まずい」

A、微笑む

A「来週末は、ちょっとバタバタしてますかね」
B「Aさん来週から部署移動だっけ、そりゃバタバタだよねごめん」
A「あ、いやいや」
AN「そうじゃなくて」
B「俺はAさんが良い日で全然、大丈夫だから」
AN「やっぱりそうなのかな」
B「予定埋まってても、空けるし、さ」
AN「やっぱりそうなんだな」
B「俺、さ」
AN「まずい」
A「あっ」
B「え?」
A「あの、えっと」
A、空を見上げる
A「月、が、綺麗だなーって」
B「月?」

沈黙

B「え、月……?」
A「はい、月。あっ」
AN「しまった、月が綺麗ですねって」
B「え?わざと?」

B、少し笑う

A「いや、あの、本当に!綺麗ですよね!ほら、見てください、星も、今日は綺麗だなあ」
AN「どれもフォローになってない」
B「Aさん」
A「あれってなんて言うんでしたっけ、夏の大三角形?まだ出ないか、春ですもんね」
B「Aさん」
A「あ」

沈黙

A「あ、すいません……」
B「終電無くなっちゃう。帰ろう」
A「はい……」

B、Aより少し前に歩く
A、Bの歩幅に合わせるように少し小走りになる

AN「どうしてもダメだ。三回目だけは阻止したい。三回目はきっと、」
人1「好きです」
A・B「えっ」

A・B、立ち止まる
人1・人2、A・Bの目の前に立っている

人2「良かった。私に気持ち無いのかと思った」
人1「そんなことないよ、だって今日三回目のデートだし」
A「三回目」
B「Aさん、行こう」
A「あ、はい……」

A・B、歩き出す

A「私は二回目のデートでいつもこうなる。三回目を疑ってしまう」

●夜中、電車の改札
A、改札の前
B、Aを見送る

B「それじゃあまた」
A「ありがとうございました」

B、Aに手を振る
A、Bに手を振って改札を抜ける

●夜中、電車のホーム
A、立って電車を待つ

AN「私は、三回目のデートには辿り着いてはいけない」

電車が来る

AN「私を必要とする人が、自分のものにするために出す本性を見るのが怖いからだ」
A「やめよう」

A、電車に乗る

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