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先輩『日記:2024.5.7』

久しぶりに先輩と飲む。

先輩の誕生日は3月だったけれど、3月に会えなかったから準備したプレゼントは今日渡すことにした。

最終兵器を買いに行く為に街に出た。中々見つからない。赤のポーチが欲しかったのに。

歩いた。めちゃくちゃ歩いて、可愛いハート型の小さなポーチを見つけた。先輩は赤は自分には似合わないと言っていたけれど、先輩が赤を付けなければいけない理由が何個もある。私はそれを購入してラッピングしてもらった。

その時点で10分遅刻することは確定していたけれどすぐに連絡したので良しとされた。


先輩との飲み会は久しぶりだ。夢のようだった。

大学時代に働いていたバイト先の先輩。私にとっては、人生の、人としての、女性としての先輩である。コロナ禍を跨いだ大学生だった私の唯一の先輩だった。

半年くらいぶりに会った先輩は、多分何も変わってなかった。正確に言うとよく覚えていない。先輩と飲み明かした時代も、酒のあてには何を頼んでいたかも、先輩が酒にはご飯物か逸品物かも覚えていなかった。

開始してからはそんなこと忘れた。忘れて自分達の趣味の話に移行した。

やっぱり何も変わってなかった。何も変わらず私を待ってくれていた。熟、彼女は私の核を作りあげてくれた人間だなと思う。

先輩はそこまでオーバーリアクションではないので、誕生日プレゼントは、人間の3分の1くらい、彼女の最大のリアクションで終わった。


酔っ払った。

彼女とその元同僚達は、私に居酒屋での過ごし方と酒の飲み方を教えてくれたのだが、私のポテンシャルが高いからと謙遜してくれていた。でも私は確実に彼女達に育てられたし、大学に通っていたからこそこの人達に出会えていたのかと思うと、右手に持っていた梅酒がグラスを伝って結露が水滴になった。

今日は天気が悪かった。

お互いに寄っているのに、家の近くの居酒屋にしたせいで歩きで帰る。

先輩は私に頼んでいた通販の買い物の代金を支払う為にコンビニに寄ってお金を崩したいと言ったけれど、飲み屋の代金や今までお世話になっている分を含めると普通に私の方がお金を掛けてくれているので拒否した。「ご馳走様でした、そういえば通販代貰って良いすか」という後輩は、多分離れた方が良い方の人間に分類されると思った。私は先輩にそんな分類されたくないと思った。

雨の中、自分の傘と先輩のフードでお互いの顔が見えないままさよならした。「また行こうよ」そう誘われた時、私はこの人には一生ついて行こうと誓った。先輩はこんな後輩嫌がるだろうけど、私は嫌われても好きでい続ける。

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