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社長の浜野がデザイナーのみそさんにいろいろと聞いてみた。

今回も私、浜野がインタビューを担当いたします。お相手はデザイナーのみそさんです。みそさん背はデカイんですけど、腰は低いです。あとオフィスの猫をすごい愛でてくれます。

デザイナーとして、ビジネスで成果を出す。

ーいきなりですが、最初にデザイナーの目標設定や評価制度について教えて下さい。

はい。デザイナーの目標は会社の全体目標に沿って設定されていて、その達成率によって評価されてます。例を挙げると、検索エンジンからの自然流入を増やすとか、細かいところだとクレジットカード決済比率を高めるとか、そういったものです。目標の難易度は個人の給与グレードによって異なりますね。グレードが高いほど、難易度の高い目標を持つことになります。この制度の良いところは各メンバーの役割と会社全体への貢献度が分かることだと思います。自分はこれをすれば貢献できるんだ、っていうのが分かりやすくなっているのが良いところだと思っています。ただ、実際には目標を達成できていないというか、成果を出せていない部分もあるので、そういう意味ではうまくいってないと思っているんですが、それも正しくうまくいっていない感じがしていて。

ーなるほど。「正しくうまくいっていない」とは、どういう意味でしょうか。

正しいところで詰まってしまっているというか。全体として正しく目標設定はできていて、それに対して、やるべきことは明確になっているので、あとは成果を出すだけという状態な気がしています。

ー「自然流入を増やす」みたいな目標って難しくないですか?デザインだけでは解決しにくいというか。

そうですね、厳しいです。ただ、デザイナーとしてビジネスで成果を出すとなると、当然やっていかないといけないと思っていて。表面的なデザインとはかけ離れていますが、こういう役割もデザイナーとしてやっていかないといけないと自分は思っています。例えば、UX的な観点で言うと、ユーザーが検索した時点からユーザー体験が始まっているので、検索結果にくらマがどのように表示されるかをデザインすることもデザイナーの仕事だと思っています。

ー業務のワークフローや使用しているツールについておしえてください。

ツールは主にAdobe製品を使っていますが、AdobeXDがFigmaに一本化されるというニュースも出ているので、今後はFigmaになると思います。ワークフローは、まず、各デザイナーが目標達成のために施策を考えて、私がフィードバックをする、というのを何度か繰り返します。施策が固まったら私がプロダクト全体の責任者から承認をもらって、そこから実装してリリースという流れになっていますね。

ー当社のデザイナーにコーディングやプログラミングのスキルは求められますか?

はい。必須ではないんですが、自分で実装できる範囲が広いと、アイデアを実現できる可能性も高くなるので、コーディングはできた方が良いですね。ちなみに今いるデザイナーは全員コーディングできます。プログラミングのスキルは必要ありませんが、自分のアイデアを実現できるかどうか毎回エンジニアに確認するのもお互いに手間なので、ある程度の知識があって、自分で判断できた方が有利という感じですね。

ー業務でエンジニアと直接関わることは多いですか?

はい、かなり多いですね。プロジェクトによってはデザイナーで完結するものもありますが、基本的にはアサインされたエンジニアと二人三脚で一緒に実装していく感じですね。先にデザインを作って実装していくんですが、いざ作ってみるとプロダクトが想定通りに動かなかったりするので、その都度、エンジニアに相談して調整や変更を入れていますね。

ーエンジニアと関わるときに気をつけていることは?

エンジニアのHTML/CSSのスキルにも差があるので、まずは動くものを作ってもらってからデザインを当てていくパターンと、先にデザインを作ってしまって後から動くようにしてもらうパターン、相手によって実装の進め方を使い分けていますね。エンジニアが二度手間にならないように気をつけています。

休憩中のみそさん

データを見て定量的にユーザー心理や行動パターンを捉える。

ー仕事でマーケティングの知識って必要ですか?

はい、めちゃくちゃ必要だと思ってます。本質的な改善をして、成果を出すには必ずマーケティングの知識が必要になってきますね。月並みなんですが、業界のトレンドをしっかり追って、ただそれを表面的に真似るのではなく、なぜそういうトレンドになっているのかというところまで自分で調べて理解していくことで「使える知識」になると思っています。

ーユーザーインタビューってしてるんですか?

してないですね。社内のメンバーからくらマの利用体験レポートが上がってくるので、それを読む程度で。ユーザーインタビューは定性的になってしまうので、データを見ることで定量的にユーザー心理や行動パターンを捉えるようにしていますね。ユーザーが100人いたとして、10人にとっては多少使いづらくても、90人にとってはめちゃくちゃ使いやすいものを作ることを優先しています。

ー限られたリソースの中で優先順位を付けないといけないんですね。それでも「残りの10人」に目が向いてしまうデザイナーもいるんじゃないですか。

そうですね。デザイナーに限らないと思うんですが、何か施策を考えるときに優先順位の観点が抜け落ちてしまっていることはよくあって。言っていることは正しいんですが、その施策のインパクトを考慮したときに、今やるべきことは他にあるんじゃない?ってなることは本当によくありますね。やっぱりそういうときも、データを見て判断する必要があります。

ー当社における「良いデザイン」を定義すると?

まず、ユーザーが文字を読まなくても直感的にやるべきことが分かる状態を目指しています。次に、当たり前のことではあるんですが、ユーザーに見せている情報が正しくて、プロダクトの構造が使いやすいことが大切だと思っていて。例えば、abcという3つの選択肢があって、ユーザーメリットが最大化される選択肢がaだった場合、ユーザーが自然にaを選べるような構造や見え方ができていたら良いデザインだと思っていて。そういう意味で見た目的な美しさを追求したデザインよりも構造的に優れたデザインが大切だと思っています。

距離を置いて猫を見つめるみそさん

必要なのは「意思」と「素直さ」。

ー当社でデザイナーとして成果を出すために必要なことってありますか?

はい。まずは「意思」があるというか、自分がこうしたいっていう意思が根幹にあるかどうかですね。それによって最後までやりきる力も変わってくるというか。プロダクトをデザインするとき、自分の意思がないと、他人の意見を表面的に取り入れ続けることになって、当初の目的からは完全にズレたところに着地してしまうんです。例えば、何らかの課題を解決しようとするときに「現場の意見を聞く」という名目で他部署のメンバーに話しを聞きに行って、その人たちの思いつきのアイデアを真に受けて「トッピング全部盛り」のデザインを完成させてしまう。それではデザイナーが介在している価値がないと思うんです。

ーみそさんのキャラではないと思うのですが、あえてネガティブな質問をさせてください。成果が出ないデザイナーの特徴ってありますか?

それはもう「素直さ」だけですね。素直に聞く耳があるかどうかです。先ほどの「意思」と真逆のことを言ってるように思われるかもしれませんが、何か指摘をされたときにすぐにその本質を捉えられる人は伸びると思っています。

ー素直じゃない人…なんで素直になれないんですか??

そうですね…そういう人は普段から感情で動いてしまうクセがあるのかなと思っていて。例えば、何かの施策について指摘をされたときに、それが施策に対してではなく、自分自身に対する指摘と勘違いして、その思いだけを持って帰ってしまう人っているんです。そういうタイプの人は何度フィードバックをしても、それらを素直に受け取っていないので、結局、ズレたアウトプットをしちゃうんですよね。さらに「なぜ自分の考えが正しいのか」「なぜあなたの指摘が間違っていたのか」と、こちらを論破することにいつまでも執着してしまうので、なんというか、次に進まないんですよね。ちなみに自分の場合、何かフィードバックをされたときは、自分に足りなかった視点を省みるようにしていて、次回は絶対に同じ指摘はされないぞ、っていう思いを持って仕事に取り組むようにしています。

ーたしかに。仕事はディベート大会ではないので「何が正しいか」を論じるよりも、さっさと手を動かす方が結果的に成果につながることがありますね。次にデザイナーのキャリアについて質問させてください。制作会社ではなく事業会社で一つのプロダクトをデザインし続けているとデザイナーとしての幅が狭くなりませんか?

はい。自分自身、長いことそう思ってたんですよね。自分は新卒のときから制作会社には行かないと決めていて、それは体力的にキツそうっていうのもあったんですが…、ずっと自社プロダクトを作っている会社で働いてきたので、周囲のデザイナーと比べて「俺って同じことばっかりやってんな…」って思っていて。なので、いろんなプロダクトに触れた方が良いって思ってたんですよ。ただ、最近になって考えが変わったというか、正しい姿勢で仕事に臨んでいなければ、いろんなプロダクトをデザインしたり、副業をしたりしても、デザイナーとしての幅は広がらないって気付いたんですよ。例えば、うちの仕事でも、与えられた目標に対して、どうしたらもっと上流から関われるだろうとか、本質的な改善ってなんだろうとか、突き詰めていくと、必然的に世の中のいろんなデザインに触れていくことになるので。今の仕事、目の前の仕事に100%向き合うことが、結果的にデザイナーとしての幅を広げるんだと、最近はそう思っています。

その方がやってきた苦労を見たい。

ーありがとうございます。次に採用に関して質問させてください。みそさんから見てグッとくるデザイナーの志望動機ってありますか?

やっぱり一番はうちのプロダクトにすごい興味があって、その人の中で伸び代がはっきりと見えている、入社してから自分がやるべきことが分かっているんだなって感じる志望動機にはグッときますね。逆に言うと、業界のトレンドワードやバズワードを並べて表面的に分かったような雰囲気を出しているだけの志望動機は中身がないというか、それってみんな知っていることだよね、っていう感じで終わってしまいますね。

ー候補者の方のポートフォリオはどのように評価していますか?

そうですね。どこかで見たことがあるような美しいフォーマットできれいに揃えられたポートフォリオは少し怪しいと感じてしまうかもしれません…。中身に自信がないことの裏返しかなとも思うので。やっぱりきれいな作品集を見たいわけではないので、その方がやってきた仕事の苦労とか難しさが分かる内容だとすごく良いなと思います。何かしらのビジネスの課題にデザイナーとしてどう向き合ってきたのかを見たいです。あとはチームでデザインを作る場合に、意思決定をする人と手を動かす人が複数人いたりすると思うので、一つの作品であっても、その人が実際に取り組んだ部分が明確に分かると助かりますね。

この会社には「正しい負荷」がある。

ーこの会社のカルチャーってどう表現できますか?

そうですね。やっぱり「地味」であったり「本質的」みたいなカルチャーはあると思いますね。ただ、最近気付いたんですが「正しい負荷がある」っていうのがうちのカルチャーなんじゃないかと思っていて。

ー「正しい負荷」ですか?どういう意味でしょうか?

はい。当社の採用フローの中にオフィスツアーという候補者の方がいろんな部署の社員と10分間ずつ話すことができるというのがあって、私もそれによく参加させてもらっているんですよね。そこで候補者の方に「どんな人がこの会社に合いますか?」とか「長く在籍している理由は?」みたいな質問をされることが多くて、その時に「自分は良い意味でこの会社に合っていないと思ってる」って回答していて。多少合っていないことが良い、っていう伝え方をしているんです。なんというか、自分には合ってないっていう「正しい負荷」があるからこそ、僕はここに居続けていると思っていますし、この正しい負荷があるカルチャーっていうのはずっと変わっていないと思っています。うちの会社で本当に活躍している人って、自分がこの会社に完全にフィットしている感覚ってないと思うんですよね。その人の中で何かしら合わない部分があると思っている。それって普通はネガティブに捉えられがちですけど、それこそ、この会社の魅力なんだと思っていますね。

ーなるほど。只々居心地の良い場所ではなく、何かしらの「差」みたいなものを自分の中で感じて、それを埋めるために頑張り続けるみたいなイメージでしょうか。

まさにそうですね。入社して7年経っても、自分が合わせることが出来ていないっていう感覚があって。だからこそ良いんだなって思っています。

ーデザイナーチームの現状を10段階で評価すると今は何点ですか?

5ですね。守りと攻めみたいな表現をすると、守りの部分は出来ている気がしていて。ただ、その先の攻める部分、ビジネスに貢献していく部分が1点も取れていないっていう感じです。デザイナーとして定性的なものではなく定量的な成果を出していかないといけないと思って、もしかしたらそういったマインドを持つところから始めないといけないのかなと思っています。

遠い目をするみそさんと枕にされていることに気付いていない猫

誰かの真似はできない。自らで高めていくしかない。

ー分かりました。今後プロダクトをどのように進化させていきたいですか?

とことんシンプルにしていきたいですね。見た目的なシンプルさっていうのもあるんですけど、うちの場合、モノではなくサービスを扱っているので、ユーザーに多くの情報を提供しないといけないんですけど、ただ説明を増やしていくんじゃなくて。極限まで少なくすることでユーザーにとって使いやすいものにする。シンプルにするって一番難しいと思うんですけど、それを突き詰めていくのがデザイナーの役割だと思っています。モノのECであれば、先行者がたくさんいるのである程度の正解があると思うんですけど、うちはサービスとして先頭を走っているので、誰かの真似ができないというか、自らで高めていくしかないと思っています。

ーみそさんから見て、CTOはどんな人ですか?

私が入社したときは肩書的にもCTOではなかったと思うんですが、あまり前に出るタイプではなく、自分がボスだっていう感じもなくて、どちらかと言うと頼りないと思ってました。ただ取締役という肩書きが付いてから、覚悟が決まった感じというか、リーダーになろうとしている姿勢が垣間見えることが多くなりました。おこがましい話しですが、それまでは戸澤さんを立てるようにしていた部分もあったんですよね。でもここ数年間は自分なんかが立てる必要もないというか、本当の意味でリーダーになっていますし、自分たちのボスとして接するようになりました。

ーそんなCTOにあえて何かリクエストをするなら?

うーん、自分が思っているよりもっと自分のことを晒した方がメンバーの士気を高められるとは思っていて。僕も入社してから7年くらい一緒にいますけど、なかなか素の戸澤さんとは絡めないので…笑。そこがもったいないなと思っている感じです。

インパクトのある成果を出したい。

ーテレビCMの制作にも関わっていると思いますが、どうですか?

関われる範囲が大きくなって嬉しいですね。検索結果に表示される情報もUXの一部という話しをしましたけど、テレビとかYoutubeの広告も見られたときからユーザー体験が始まっていると思うので、CMで何かを訴求するためにはサイトがこうあった方がいいとか、CMを起点としてサービスを改善していくっていうのは新しいプロセスだと思っていて。あとは、CMとして世の中の様々な会社のサービスと並んだ時に、自社に足りない部分も見えてきたりして。普通に楽しんでやってますね。笑

ー月並みな質問ですが今年の抱負はありますか?

そうですね。インパクトのある成果を出したいっていうのはずっと思っていて。簡単ではないことは分かっていますし、手がかりすらないんですけど。やっぱりデザインが変わったから会社の売上が2倍になった、みたいなものを狙っていて。そういうインパクトのある施策を今年こそは出したいと思っています。

ーありがとうございました!

どんな逆境も乗り越えていくポジティブな姿勢、デザイナーとしてビジネスに貢献したいという強い思い。みそさんと一緒に仕事しているとすごく安心感があるんですが、その理由がよく分かりました!