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【イベントレポート】くるむと"共創"をまなぶ

デザインスタジオCULUMUでは、多様な分野・業界についてそれぞれの専門家、知識人を招き、その分野、領域の知識を広げていくイベント、「くるむとまなぶ」を開催しています。

vol.1では、デザイン研究者の上平先生をお招きし、「共創」について学びました。




くるむとまなぶとは


くるむとまなぶは、デザインスタジオCULUMUの、開かれた社内勉強会です。
私たちは『障壁を生まない豊かな社会をデザインする』ために、
人々が共創する可能性をもっと深めたいと考えました。

CULUMUのメンバーが今学びたいことについて、様々な領域で活躍されている方々をお招きして学んでいきます。


デジタルプロダクト、建築、インダストリアルデザイン、メタバース、AI…

複雑性の高まりが見えてきた今このタイミングだからこそ、改めて『障壁を生まない豊かな社会をデザインする』ために、学びを深めていきたいと思います。



vol.1はくるむと"共創"をまなぶ

vol.1では、デザイン研究者の上平先生をお招きし、「共創」についてCULUMUのメンバーと一緒に学んでいきました。

ゲスト講師:上平崇仁(デザイン研究者 / 専修大学教授)

上平崇仁先生

鹿児島県阿久根市生まれ。1997年筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻修了。グラフィックデザイナー、東京工芸大学芸術学部助手、コペンハーゲンIT大学インタラクションデザイン・リサーチグループ客員研究員等を経て、現在、専修大学ネットワーク情報学部教授。2000年の草創期から情報デザインの研究や実務に取り組み、情報教育界における先導者として活動する。

近年は社会性や当事者性への視点を強め、デザイナーだけでは手に負えない複雑/厄介な問題に取り組むためのコ・デザインの仕組みづくりや、人類学の視点を取り入れた自律的なデザイン理論について研究している。

日本デザイン学会理事、大阪大学エスノグラフィラボ招聘研究員、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー、㈱ACTANTデザインパートナーとしても活動。

著書に「情報デザインの教室」(丸善出版/共著)、「コ・デザイン―デザインすることをみんなの手に」(NTT出版/単著)など。


くるむメンバーのまなび

今回の講義を経て、メンバーが得た学びや感想をまとめました。

毒薬でも治療薬でもある「デザインの両犠牲」について

デザインの両義性「毒薬でも治療薬でもある」は、デザインを評価する時に意識すべきポイントだと感じました。立場によって見え方が変わり、制作者側からは治療薬が大きく見え、第三者側から見ると毒薬が目に付きやすい。そのため、正しく評価するためにどちらの側面もあることを認識し、見えにくい裏側を想像することを大事にしようと思いました。

UI/UXデザイナー 渡邉

デザインに終わりはなく、変化と切り離さずに使いながらその都度解決していく必要性を再認識しました。問題解決したように見えても次の別の問題が引き起こされる「デザインの両儀性」はこれからも忘れずに握っていたいです。

UIデザイナー 川島

デザインの両犠牲は、特に新しいものを作るときにとても大切な視点ではあるものの、意識していないとなかなか気付けない部分でもあるので、常に意識していくことはもちろんその視点を身につけられるよう身の回りのもの/ことを見てみようと思いました。

UI/UXデザイナー 山崎



リサーチをリサーチのままで終わらせないためにできることとは

河辺さんの事例の中であった、リサーチを通して当事者の態度も(良い方向に)変化していく話を聞いて、デザインをする側だけでなくて、関与者に対してはデザインの過程の中でも大きな影響を与えることがあると知って、障害の有無に関わらず、過程の一つ一つを大事にしたいと思いました。

UIデザイナー 三河

最近、なかなかリサーチ、インタビューだけでは難しさを感じることが多くあるので、プロトタイピングにおける多層的対話、デザイナーだけがつくるのではなく、もっとさまざまな人と取り組んでいけるような取り組みをよりしていきたいと思いました。
デザインされたものをさらにデザインする、作ったものに対して実際に使っている人たちが手を加えられるような余白、余地をもったものを作っていけるようにしていきたいと思いました。仕組みにする行為、気づかう行為、その相互補完でいい関係を作る、ちょうどいいところを生み出していけるようにしていきたいと思いました。

UXデザイナー 大村


「気づかう行為」と「仕組みにする行為」のあいだで考える

「デザインは『気づかい』と『仕組み』の間で、ちょうどいい関係を保つこと」ということに関して、デザインは基本的に多くの人が体験を再現できる「仕組み」を作る場合が多いと思いますが、そこにちょっとした余白、ユーザーがアドリブできる余地を作ることで「気づかい」を発生させられるのではないかと感じました。

UI/UXデザイナー 渡邉

共創の魅力は、民主的なデザインプロセスを通じて、「自分もこのプロジェクトに関わっている」という感覚や自己効力感を市民に広く提供することで、デザインの民主化を実現する点にあると考えられます。
しかし、デザインが過度に『仕組み』化されると、オーナーシップや自己効力感を奪い、人を操作したり束縛したりするのだという事実は考えさせられるものでした。
たとえ共創のデザインプロセスを経て作られたクリエイティブであっても、『仕組み』になってしまうと、それは共創の結果として正しいのだろうか(たとえばそれが”不特定多数の市民の安全”のための『仕組み』であれば良いのか?)、という疑問が湧きました。

コンサルタント 佐藤



ビジネス領域におけるデザイナーやデザイン会社の役割とは

デザインがfor→with→byと変遷していくと言われているなかで、ビジネスセクターにおけるデザイナーやデザイン会社の役割をどのように変化させていくべきなのかについて、もやもやと悩んでいました。そうした時代だからこそ、デザイナーは可視化する、タンジブル化する役割を担うことで存在論的デザインのループのきっかけやサイクルを作る役割を担うことが重要なのではないかと思いました。
私自身がコミュニティ(非営利)領域とビジネス領域におけるデザインを行き来するなかで、自分の一側面がもう一側面を否定しているような、自己矛盾的な感覚を持っていたのですが、上平先生のお話を聞いて、2つの側面は共存可能であり、むしろするべきだと思えたことが、1番の学びでした!
(あと、ラトゥールを読もうと思いました)

UXデザイナー 石井



改めて「共創」ってなんだっけ?に立ち返る

共創って難しいな、どんな状態になれば共創の取り組みを入れてよかった!になるんだろう、「気づきにくかったものがいろんな人の視点が入ることで気づけたこと」か「巻き込んだことで私でもデザインができるんだ!とか考え方が変わること」なのか、デザインってゴールじゃないよねっていう話があったので、共創の成功って何だろうと思いました。

共創を今のクライアント案件にどういう形で取り入れることができるだろう、プロトタイプを作るような案件やアイディア出しをいっぱいする案件だと取り入れやすい?、スピード感が求められるプロジェクトだとこちらが作業して提案していくことが多いので、コンパクトな形でうまく取り込めたりする方法考えたいなと思いました。

共創ってなんだっけ?を改めて考えることができました、案件支援のやり方を自分なりに考え直すきっかけになってよかったです、理解できてない部分が多いので書籍ももう一度読み直します!

UIデザイナー 菊池



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次回のご案内

vol.2では、UXデザイナーの中島亮太郎さんをお招きし、「行動経済学」について学びます。

vol.2:くるむと「行動経済学」をまなぶ

デザインにとどまらず様々な分野で注目を集める「行動経済学」。その信憑性に疑問が投げかけられることもありますが、今回は数々の視点がある中でも依然として変わらない「行動経済学」そのものの魅力をともに学ぶ時間にしたいと考えています。

「ビジネスデザインのための行動経済学ノート」の著者でもある中島 亮太郎さんをお招きし、くるむと一緒に“行動経済学”を学んでみませんか?

詳細、お申し込みはこちらのイベントページをご覧ください!


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