これからの「働き方」を考えるための ハンナ・アレント『人間の条件』Zoom読書会 5/10後記, 5/17告知

執筆:ぬま(ビジネスパーソン)

去る5/10に第2回を開催しました。
2時間の予定でしたが、今回も大幅に延長することになりましたorz
次回からは、デフォルトで3時間にすることになりました。
最後までお付き合いいただいた参加者のみなさんには本当に感謝です。

第3節 永遠対不死 〜 第5節 ポリスと家族

前回、駆け足になってしまった第1章 第3節 「永遠対不死」の解説に始まり、第二章 第5節 「ポリスと家族」までを丁寧に読みました。

解説者(たし)に教えてもらいましたが、節番号は、章ごとに1から振り直されるのではなく通番になっているそうですね。
なので、今回読んだのは3節分になります。

今回から解説者(たし)のPowerPointがパワーアップしまして、パラグラフを順番に追って要約する形になりました。とてもわかりやすかったです。

具体的な内容としては、
まず、「第3節」では、古代のギリシア人たちが、自然や神々の生や自分たちの生をどのように理解していたのか、そしてどのように不死を目指したのか、ということが議論されていました。「不死」と言われると仰々しい感じがしましたが、「名を残す」や「死後も人々の間で語り継がれるように生きる」というように理解すれば、少しわかる気がしました。
 「第4節」と「第5節」では、「公的/私的/社会的」という基本的な区別が順々に導入されつつ、古代ギリシアの没落以降、古代ローマや近代においてポリス的な(政治的)経験がいかに失われていったか、という話でした。economyなど、様々な言葉の語源も辿れて面白かったです。

古代ギリシアとローマの比較が中心で、どちらも遠い時代の話なのでそうだったんだなと思うしかない部分が大きかったです。
まだまだ修行が足りませんね。

読みタグ

下記記事でご紹介したとおり、今回から「読みタグ」というものを始めました!

やり方は簡単で、参加者で Google Jamboard を共同編集し、読みながら思ったことを自由に付箋(タグ)に書いてボードに貼るだけです。
今回はこのようになりました!

読みタグ_『人間の条件』第二章_読書会_20200510 のコピー 1

「不死への偉業」からいろんなマンガの主人公を連想したことと、「社会による私的領域の侵食」というテーマから、テレワークによって監視社会的なテクノロジーが発達しているというタイムリーな話にまで及んだことが印象的でした。

下記リンクに誰でも匿名で編集できる読みタグをご用意しましたので、
是非『人間の条件』を読みながら思ったことを自由に書き込んでください
ある程度まとまったら画像化してこのnoteに貼り付けようと思います!

個人的に印象に残ったところ

個体の維持が男の任務であり、種の生存が女の任務であるというのは明らかであって、この両方の自然的機能、つまり栄養を与える男の労働と生を与える女の労働とは、生命が同じように必要とするものであった。したがって、家族という自然共同体は必要〔必然〕から生まれたものであり、その中で行われるすべての行動は、必要〔必然〕によって支配される。
 これに反して、ポリスの領域は自由の領域であった。そして、この二つの領域の間になにか関係があるとすれば、当然それは、家族内における生命の必要〔必然〕を克服することがポリスの自由のための条件である、という関係になる。(『人間の条件』51頁)

ちょっと長いので、今回はこの1箇所だけにします。

まず自由とは何かについて言及されているので気になりました。「家族内における生命の必要〔必然〕を克服」してポリスに出て行くことで自由になる。では、ポリスの自由とは何であったのか、これから出てくると思いますが、現代人にとっての自由を考える上でのヒントがあるはずなので楽しみです。

そして、はやり忘れてはならないのは、あくまで古代ギリシアの文脈ですが、男女の機会の不平等という点かと思います。女性は家で生命の必要に縛られ、男はポリスに出かけて行き、そこで「自由」になる。この自由は、誰かの自由を犠牲にして成り立っていた自由なのかなと思いました。現代でも、自由になるにはどうすればよいかを考えると同時に、自分が自由になることで、他者の自由を奪っていないか、これも併せて考えないといけないと思いました。

次回予告

5/17(日) 14:00~17:00に開催します。(2時間から3時間に延ばしました。)
第6節「社会的なるものの勃興」から第7節「公的領域ー共通なるもの」の終わりまでを読む予定です。

次回のテーマですが、前回のテーマが消化できなかったので、引き続き下記になります。

・社会の画一主義
・プライバシー/プライベート

社会的な領域が勃興し、それによっていかに公的領域と私的領域が侵されていったかが中心テーマになります。
友情や愛といった普遍的なテーマも取り上げられているので注目です。

なお、途中入会者を絶賛募集中です!
毎回冒頭で前回までのおさらいをしますので、おいてけぼりもありません!
ご興味ある方は、是非、下記noteの入会フォームよりご応募ください!

解説スライド

今回も読書会用のスライドをご購入いただけます。取り上げた範囲について、パラグラフごとに丁寧に要約したものになります。理解の助けとしてご活用いただければと思います。10枚ちょっとのスライドになっています。

よろしくお願いいたします。
(以下、Google Slide を埋め込んでいます。)

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