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これからの「働き方」を考えるための ハンナ・アレント『人間の条件』Zoom読書会 6/14後記, 6/21告知

執筆:ぬま(ビジネスパーソン)

去る6/14に第7回を開催しました。
引き続き第3章「労働」を読みました。
終了後に参加者の方と「働き方」インタビューの企画や第2、第3の読書会の企画についてブレトスしました!
参加者のみなさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

第12節 世界の物的性格 〜 第13節 労働と生命

いつも通り、パラグラフを順に要約したスライドを用いて、ときどき音読も交えながら進めました。

労働の生産物は消費財であり、生命過程の中で消費される。他方、制作の生産物は「使用対象物」であり、作った人よりも長持ちする耐久性がある。このような形で、生や死との関連において労働の特徴を浮き彫りにするような内容でした。

読みタグ

今回も「読みタグ」をやりました!
参加者で Google Jamboard を共同編集し、読みながら思ったことを自由に付箋(タグ)に書いたものです。

読みタグ_『人間の条件』12_13節_読書会_20200614 1 (1)

耐久財/消費財の議論の中で、オープンソースはどっちなんだという話になりました。東京都のコロナ対策サイトがオープンソースとして作られたのが話題になりましたよね。おそらくアレントは物質的な生産物に主眼を置いていたと思うのですが、物質的ではないデジタルな生産物の位置付けは、新しく興味深いテーマだなと思いました。
電子書籍なんかもそうですよね。パッと買ってパッと読んでもう見返さないという場合もあると思うのですが、こういう場合は消費財的だなと思いますし、かといって消えないで半永久的に残り続けるものなので、耐久財とも消費財とも言えないなと、もやっとしながらも、好奇心をくすぐられる議論ができました。

下記リンクに誰でも匿名で編集できる読みタグをご用意しましたので、
是非『人間の条件』を読みながら思ったことを自由に書き込んでください!
ある程度まとまったら画像化してこのnoteに貼り付けようと思います!

印象に残ったところ

...いいかえると、絶えざる消費のために存在する消費財は、たしかに、人間の肉体が欲求するものであり、肉体の労働が生み出すものであるが、それらは、消費されるのではなく使用される物、そして使用するうちに私たちが馴れ親しむようになる物の環境の中に現われ、その中で消滅するのである。こういうものとして後者の使用される物は、世界の親しみ易さのもととなり、人間と人間の間だけでなく人間と物の間の交わりの習慣を作り出す。(『人間の条件』148頁)
人間世界のリアリティと信頼性は、なによりもまず、私たちが、物によって囲まれているという事実に依存している。なぜなら、この物というのは、それを生産する活動力よりも永続的であり、潜在的にはその物の作者の生命よりもはるかに永続的だからである。(『人間の条件』150頁)

今回は2箇所から引用させていただきました。制作によって生み出された物が「世界の親しみ易さ」や「人間世界のリアリティと信頼性」を形作っているという主旨ですが、外出自粛中はずっと家にいて「リアリティ」がかなりの程度失われていたなという感覚があります。
外出して街並みを眺めながら歩いて、カフェなんかで休憩したりしたりすると、見慣れた風景に囲まれて安心感のようなものを感じていたなと思いました。会社に向かう道やオフィスの休憩スペースでもいいかもしれません。
デジタルな「もの」が耐久財なのか消費財なのかという議論もしましたが、たとえば毎朝決まって開くアプリとかあると思うんですね。逆にチェックしないと安心できないみたいなこともあるかと思います。そういうデジタルな「もの」にも世界の「リアリティ」を感じて依存しているなと思いました。
物質的な物とデジタルな「もの」の相違や、デジタルな「もの」を生産することが労働なのか制作なのかといった点について、今後も思考を深めていきたいと思います。

次回予告

次回は6/21(日) 14:00~17:00に開催します。
第14節「労働と繁殖力」を読む予定です。
「繁殖力」が問題になりますので、少し寄り道をしてアレントにおける重要概念の一つである「誕生」についても考えていこうと思います。
身近な話題でもあるので、参加者のみなさんとの議論も盛り上がりそうで楽しみです。

なお、途中入会者を募集中です!
毎回冒頭で前回までのおさらいをしますので、おいてけぼりもありません!
ご興味ある方は、是非、下記noteの入会フォームよりご応募ください!

解説スライド

読書会用のスライドをご購入いただけます。取り上げた範囲について、パラグラフごとに丁寧に要約したものになります。理解の助けとしてご活用いただければと思います。10枚ほどのスライドになっています。

よろしくお願いいたします。
(以下、Google Slide を埋め込んでいます。)

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