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サイエーンス!

長い間、カセットデッキについていたドルビー・ノイズリダクション・システムやドルビーサラウンドのドルビーとこの人を同一人物だと思っていた友達がいた。

トーマス・ドルビー(THOMAS DOLBY)
ロンドン出身とプロフィールに書いてあるが、エジプトのカイロで生まれたイギリス人、父はロンドン大とオックスフォード大の教授。
ホンダ・シティのCMソングに起用されていた「彼女はサイエンス(SHE BLINDED ME WITH SCIENCE)」や「HYPERACTIVE!」は聞いたことがあるだろう。

そのトーマス・ドルビー、1984年にリリースした2ndアルバム「THE FLAT EARTH」の発売40周年を記念した、“40thアニヴァーサリー・エディション”の発売にあわせ、「HYPERACTIVE!」が元々マイケル・ジャクソン(MICHAEL JACKSON)のために書かれた曲で、自ら歌うことになった経緯を振り返っている。

ちなみにトーマス・ドルビーは、冒頭のサウンドシステムを開発した「ドルビー・ラボラトリーズ」から取ったステージネームだそう。もちろん同一人物ではないが、ちょっとまぎらわしいよね。
その由来は、少年時代のトーマス・ドルビーが、キーボードだけでなくカセットデッキやテープに親しんでいたことから「ドルビー・ラボラトリーズ」のロゴにちなんで友人が付けたニックネームで、本名はトーマス・モーガン・ロバートソンという。
電子技術者系ミュージシャンというと、マサチューセッツ工科大学卒業~元ポラロイド社技術者で、エフェクターを自ら製作してしまうボストンのトム・ショルツは有名だが、トーマス・ドルビーは18歳でシンセサイザーを自分で組立てたという“オタク”。

シンセサイザーオタクの彼は、多くのジャンルの音楽に精通し、若き頃から最先端のシンセサイザー・プレイヤーとしてもセッションに引っ張りだこの音楽オタクでもあったそうだ。
同じくコアなイギリスのバンドXTCのメンバーにより見いだされデビュー、ニューウェイヴブームに乗りイギリスだけでなくアメリカでも人気になる。
その後は、坂本龍一との共演や、プリファブ・スプラウト(PREFAB SPROUT)などのプロデュース、映画やゲーム音楽などを手がけ、むしろ裏方として評価を受けている天才音楽科学者なのである。

1982年リリースの「彼女はサイエンス」が大ヒットし有名になった頃、ドルビー・ラボラトリーズ側から“ドルビー”の使用差し止めの訴訟を起こされたことがあった。条件付きで和解しているのだが、その和解条件とはトーマス・ドルビーが製作、販売する電子機器や楽器に“ドルビー”という商標を使わない事だった。

多方面にわたって評価されながらも、一発屋のように扱われてしまう彼、どこからついた異名か、「狂気の科学者“Mad Scientist”」と呼ばれている。しかし、これは彼にとって最大の褒め言葉かもしれない。

最後に、人違いされたドルビーラボラトリーズの創始者はレイ・ドルビー博士、アメリカ人である。

♪SHE BLINDED ME WITH SCIENCE | THOMAS DOLBY
1982年 ビルボード最高5位、UKチャート最高49位

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