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うちの料理について。



仕事で作る料理と比べ、うちの料理で丁寧にすべきことはなんだろうか。時折考えることがあります。

少し話が逸れますが、
子育てが進み、綱渡りの毎日から少し時間の余裕ができたところで、空の巣なのか燃え尽きなのか、はたまた更年期なのか定かではありませんが、いっとき心の風邪のような状況になり、それこそ縋るように毎週土曜、禅寺の早朝座禅に通っていたことがあり
その時の経験をきっかけに、具体的に心がけるようになったことをいくつか、ご紹介します。

*出汁のこと

具体的に何を丁寧にするか、と考えると、
まず浮かぶのは出汁をひくことです。
丁寧に、と言っても、時間をかけるということではありません。
とくに和食の出汁は、フォンドボーやブイヨンなどと違い、あっという間に仕上がります。
前夜に水に漬けたこんぶ、じゃこ、豆、干し椎茸などは、火にかけるだけ。鰹節も、煮立った湯にふわっと加えてひと煮立ちさせるだけ。よい鰹節は、水と一緒にレンジ加熱でも、熱湯を注ぐだけでもしっかり出汁が取れます。
肉系の出汁についても、ささみや胸肉、鶏や豚のひき肉を水から茹でたゆで汁は、捨ててはもったいないほどの旨味がしっかりとれています。また、玉葱やニンジンの皮、セロリの筋や葉などの野菜のくずを茹でた旨味にも驚かされます。ぜひ冷凍でためておくことをお勧めしたいです。
顆粒だしやだしの素を使うのとほぼ変わらない手軽さで、心から安心して頂けるものを丁寧に選び、自然な滋味に親しんでいろいろな料理に展開していくと、楽しみもまた広がって行きます。


*からだに優しいもののこと

料理が好きだから自家製が苦でなく周りにお勧めしている、というよりは、自分や大切な人が何を食べるのか理解していたい、という気持ちのほうが強いです。
身体によいとされるものを摂るのも良いですが、悪いとされるものを選ばないところに、より丁寧さを発揮したいと考えています。
とはいっても、そんなに神経質に吟味するのでなく、例えば、老化防止によいとされる抗酸化力のあるものを摂りながら、酸化を促す活性酸素を発生させるもの(添加物の多い加工食品や残留農薬など)を摂ってしまわない、という程度のことです。

世界でも類を見ない添加物天国と言われる日本で暮らしている中、何が入っているかわからないものを選ばないだけで、自分や周りの健やかさを守ることにつながると信じています。
おいしそうな見た目や食感、強い旨味や香りとともに、低価格で、食中毒の危険なく長期保存できる魅力を謳う商品には、気を付けたいところです。


*四季の行事のこと

食育のお仕事を頂くことも時折ある中で、子供たちを取り巻く食の状況が、昔とはずいぶん変わって来ているのを感じます。
24時間いつでも食べ物が手に入る便利な時代になった一方、朝ごはんをちゃんと食べていない子の割合はけして少なくありません。
また、受験勉強などで、晩ごはんを家族で囲めないご家庭も。
味覚が育つ大切な子供時代のため、という面もありますが、お子さんがいるいないに拘わらず、季節を折にふれ食で楽しむということは、出来るだけ大事にしたいな、と思うのです。


1月…おせち料理、七草がゆ、お汁粉、小豆粥
2月…福豆、恵方巻、節分の鰯、バレンタインデー
3月…ちらし寿司、蛤のお吸い物、白酒、菱餅、ひなあられ
4月…甘茶、花見弁当、桜塩漬けの料理
5月…柏餅、ちまき、しょうぶ湯
6月…半夏生の蛸
7月…七夕そうめん、土用のうなぎ
8月…お盆の飾り(なすときゅうりの精霊馬)
9月…栗ご飯、おはぎ、月見団子
10月…月見団子、きぬかつぎ、ハロウイン
11月…ちとせあめ、きのこの料理
12月…冬至かぼちゃ、柚子湯、年越しそば、クリスマスの料理とデザート

毎回パーティーのように大袈裟にするのでなく、気持ちだけで十分。
お弁当の隅っこに、晩ごはんやおやつの一品でも。そんな程度の気楽な思い出を毎年積み重ねていきたいと思うのです。
味覚育てのような大きなテーマというよりも、
思い出や宝物になるといいな、くらいの心づもりが丁度良いかもしれません。

うちの料理は、毎日ずっと続きます。
特別手の込んだものでも豪華なものでもないのがあたりまえ。
そんなふつうの名もないおかずやスープたちに、
こんなかたちでただ丁寧に心を込める、
ということに尽きるのではないでしょうか。

仕事とは違う分、
買い出しも仕込みも、いずれも自由に楽しんで作りながらも、根っこではそういう思いを抱いて向きあっていたい。というのが、うちのごはんの柱。
そう思っています。


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