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翻訳したい本 その6 ヴェネツィアのスパイの歴史本



700ページにも及ぶ大著である。

塩野七生女史の『海の都の物語』を読んだ人ならば、ヴェネツィア共和国が外交にどれだけ比重を置いていたかを知っていると思う。ヴェネツィア共和国の外交官たちが残した文書は、それこそヨーロッパの歴史の貴重な証人となっている。

そして、私の記憶にまちがいがなければ、近代的なシークレットサービスの歴史もヴェネツィアなしでは語れないと塩野女史は書いていたはずである。

『ヴェネツィアのシークレットサービス』という本を見つけた時はだから、迷わず購入してしまった。ヴェネツィアの元首(ドージェ)たちの歴史ならばこれまでも何冊かの本は見てきたけれど、スパイたちが実名で出てくるとなるとわくわく感も倍増する。

スパイが忍び込んだ先は、トルコでありフランスでありイギリス、オーストリア、スペイン、そしてローマ法王庁。ヴェネツィア共和国が衰退し始める18世紀に、スパイたちがよりはなやかに活躍するというのも愉しい。

執筆しているのは、パドヴァ大学の教授パオロ・プレートである。

ちなみに、パドヴァは長らくヴェネツィア領であったから、ヴェネツィアのエリートたちも数多くパドヴァ大学に留学していたのである。

というわけで、全部は読み切っていないのに私にとっては宝物といってよいのがこの本なのである。


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