見出し画像

LIFE SHIFTは直感から⛵️

以前は、グローバル企業でスピード感を持ってバリバリと働いていたといういろりさんこと青木聡美さん。内側の声に従うことでこれまでとは全く違う日常を創り出してきました。直感をリソースにすると人生に本質的変化が起きるストーリーです。

Co-Activeストーリー Vol.11 青木聡美さん
飛騨高山で生まれる。自然の美しさや厳しさと、人の心の暖かさの中で育つ。20代前半に高山市役所で市長付きの通訳。その後グローバル企業のマッキンゼーでエグゼクティブ・アシスタントを15年、その後現在まで(2021)CTIジャパンのファカルティとして、CTIの各コース立ち上げ時の翻訳、通訳始め、上級を含むコーチングコース全般のリーダー(トレーナー)を務める。 2013年よりリーダーシップ ・プログラムのリーダー。 CPCC, PCC
 2016、2018年は内閣府次世代グローバルリーダー事業でリーダーシップ ・セミナーを担当。
 プロコーチ以外では、ネイティブ・アメリカンの師から受け継いだ、人がより良く生きるために自然から学べる叡智の体系(デリケットロッジ・ティーチング)のガイドとしてワークショップやビジョンクエストを開催。

【訳書】「コーアクティブ・バイブル第2版」(東洋経済新報社、2008年)共訳 

  
―今日はよろしくお願いします。まずは、コーチングに出合ったきっかけを聞かせてください。

以前はアメリカ系のビジネスコンサルティングの会社、マッキンゼーでエグゼクティブ・アシスタントをしていたんですね。当時、二人部屋で仕事をしていた同じ部屋の方の友達が、コーチングを紹介してくれたんです。彼女がある日「昨日、私の友達の『コーチ』ということをしている人に会ったんですよ。青木さんがされているお仕事と似ているような気もいたします」みたいなそんなコメントを笑。それで「そうですか」と。
でも、当時は本当に忙しく仕事をしていたので、「インターパーソナルスキルの向上につながるでしょうね。コーチングってよく知らないけど、そんな印象があります」みたいなことを言いながらね。でも、気になったんだよね、多分ね。だから、もうちょっと調べてみましょうと思って、当時コーチ・トゥエンティワン(現コーチ・エィ)とCTIと大きく2つだったんだけど。コーチ・トゥエンティワンの説明会にも行ったし、CTIは説明会というかホームページすらなかったので、その彼女の友達にも会いに行きました。それで、その彼曰く「聡美さんは、CTIな気がする」って言ったわけ。


―直感的にですか?

直感みたいな感じなんでしょうね。だって、私はその友達の紹介で彼に初めて会いに行ったから。それで、「なんか合っている気がする」って言われて。「そうか、合っているんだったら行くか」と思って。
コーチ・トゥエンティワンの説明会に行った時のなんとなくの感覚として、それはもうすでにマッキンゼーでやっているような、データドリブンな感じ。分析をして、その分析に従ってクライアントさんに対応していくみたいなアプローチで、自分が社内で受けていたトレーニングと同じようなマテリアルがあって。それはそれでいいと思うんだけど、「なんかちょっと知っている感じがする」と思ったので、CTIにしました。


―ちなみに、受けに行ったのは何年ですか?

2002年ですね。2002年に40歳の時なんですけど、思い立って。また、思い立つともう早くやらないと気が済まないタチなので、彼に意見を聞きに行ったのが、2002年の6月で。その年の8月には基礎コースを受けました。あと、2000年問題ってあったじゃないですか。だから、すべての次元が変わっていくんだっていうマインドになっている中で、「マッキンゼーでいろいろ経験もしてきて、次のフェイズなのか?」と今にしてみれば、思っていたんでしょう。それでいい機会だし、人間関係って大事なことだって思っていたから、深めるためにと思って「CTIのコースを受けたいです」って連絡したら、「日本では来年までないです」って言われたんですよ。


―笑。どういうことですか?

やっていたんだけど、「今年はもう終わりました」みたいなこと言われて笑。「何で半年も待つ?」みたいな。もうほら、それが理解できないようなスピード感で仕事をしていたので、「えーー?!」みたいな。

―そのころの、受ける前までのいろりさんはどんな人だったんですか?

マッキンゼーってプロジェクトごとにチームで仕事をするんですね。自分は、支社長とかやっているパートナーに付く、エグゼクティブ・アシスタントなわけですよ。そうなると、彼自身に関することももちろんやるんだけど、彼がやっているプロジェクト5つくらいのチームメンバーのことも同時に意識の中に入れながら、かつそれぞれのコンサルティングのフェイズのどこにあるかも理解しながら、クライアントの秘書のフロントの人とのやりとりは全部私だし。大企業がクライアントさんだったので、秘書さんのボスが来た時なんかで、私のパートナーがいない時は、私が私のボスの間を取り持つみたいなあらゆることをやっていました。同時並行で、いろんなことをやっていて。例えば、ジュニアなアシスタントやコンサルタントに「これどうしたらいいですか?」って聞かれたら、「それは、こんな対処とこんな対処ぐらいはあるんじゃない?」と随時10くらいのオプションは述べられるみたいな状態を保持しながら聞く、とか。


―マルチタスクで、プロジェクトマネジメントであり、もうバリバリ働いている。

そうね、バリバリって感じですね。それが、東京だけのことじゃなくてグローバルファームなので、夕方になるとヨーロッパが開くし、朝だったらアメリカがまだ開いている時間帯だしみたいな感じで。不思議なんだけど、私は東京のオフィスにいても、地球のあそこのオフィスが今開いたなとかその感覚は常に持っている。そうしないと追いつかない感じ。「なんかシカゴのオフィスマネジャーが話したいんだって」「え、それって、どれくらい緊急なんだろう?」とかそれってクライアントに関わることなのか、社内の委員会もいろいろあったから、社内の委員会の話なのかとか。


―話すスピードも今みたいにゆったりではなく、以前はもっと早かったのですか?

今、これゆったりじゃない?ゆったりになりましたよ。ははは。
コーチングのコースをリードし始めた頃「アメリカ人ですよね」ってよく言われたの。それぐらいバババババーって話していたんだな、って。でも、それが自分の当たり前だったので。でも、それだと相手に伝わらない。


―そういう意味ではそれも大きな変化だと思うんですけど、日本ではしばらく開催されないのでUSのコースを受講しに行ったわけですよね。

そう、USの基礎コース。(2002年に)私の夏休みが取れる8月の具体的な1週間があって、そこにはまるのが唯一ロサンゼルスのハリウッドのホテルで行われた基礎コースだった。「よかったぁ。合う日程があった」と思って、チャイニーズシアターの隣のホテルを取ってそれで行きました。


―受けた時の感想は?

もう、それが本当にちょっと穴があったら入りたいっていう感じなんですけど。


―えぇー、そうなんですか?

もう、あのね…そう。私、TOEIC880点とか一応クリアしていまして。マッキンゼーってそのレベルじゃないと仕事できなかったので。なんだけど、コーチングのコースへ行って、マテリアルが200ページくらいの資料、それも全部英語。それを「明日までにここまで読んでおいてください」みたいなことを平気で言われて。行ってから「うわぁ、全部英語なんだ」ってことに気づいて。使っている単語が全然違う。人間の感情を表す単語とか、ボキャブラリーが普段のボキャブラリーと全く違うということに直面するとか。遅いんですけどね、英語で受けるっていうのは当たり前なはずなのに、行ってから気づいて。2日目の夜のコーチングのクライアントさんをお願いしないといけないじゃない?当時、マッキンゼーの世界の社長の秘書をやっていた人が友達だったので、英語でやった方がいいのかなと思って彼女にお願いしたら、快く「いいわよ」って言ってくれて、そして、迎えた基礎コースだったんですね。


―基礎コースを受けた時の印象に残っていることはどんなことですか?


基礎コースですごく印象に残っているのは、ハリウッドっていう場所柄なんでしょうけど、俳優の卵ですっていう人、弁護士さん、保険会社の人、あとシングルマザーで「プロのコーチになって来週からでも食べていきたいんだ!」みたいな人。で、私みたいに何を考えたのか日本から飛んで行った人、結構いろんな人、多様性のある参加者がいて、それで女性のリーダーが2人前にいて。そもそも輪で座るのがビックリでしたよね。「えー!えぇ!」みたいな感じ。

一番印象に残っているのは2日目の演習のこと。英語ももちろんチャレンジあれだし、今思えばサボ(注:サボタージュ:内面にいる妨害する人の声)にまみれているので、「きちんとやらねば」という完璧サボみたいのに覆われている私がいて。そうすると、2人1組でコーチングをやっていた時にね、何聞いていいのかわかんなくなって「うわ、どうしよう」と思ったら、横をちょうどリーダーが通りかかったので「すいません、質問が出てきません」とか言ったら、そのリーダーが「じゃ、直感使ったら〜」って言い残してスーッといなくなったの。で、「あぁ、そうですか」って思った瞬間に浮かんだ質問、それは「What is the most important thing in your life?」っていう「あなたの人生で一番大事なことは何ですか?」っていう問いが浮かんだから、そのまま言ったら、クライアント役だった彼女が大泣きをし始めて。彼女は、シングルマザーだったんだけど、「一生懸命生きないといけない」「母が頑張らねば」みたいなところにいすぎて、何が大事かっていうことを本当に忘れていて。その問いに「子どもなんだよ」ってスパーンと彼女言って。その言葉に彼女はすごい泣いたし、こっちもやっぱりグッとくるじゃない。本音の対話とも言えるだろうし、そこで「うわ、直感ってすごいな」って思った。その後、あり方の演習も怪しいこともさせられたので、「ちょっとどうなんだ、これ?」って思いながら過ごしましたけど。

コーチングの宿題は、もう何て言うんですか、大失敗な感じ?ふふ。今思い出してもあーって思うんだけど。「コーチングを時間決めてやってください」って言われるじゃない。で、時間決めてやって、そしてコーチングがはい、終わりました、と。そうしたらクライアントをしてくれた彼女に「聡美、今のであなたの役に立った?」って言われて。もうなんか「ガーン」って本当に頭を大きいもので殴られたようなインパクトでしたね。だから、クライアントに気を遣わせるコーチだったわけじゃない。それは、さすがの私も「あ、もう本当にできていないんだね」っていうことを思い知らされた。で、そこからどういうことをすればクライアントの役に立つのかっていうのを探究する旅が始まった感じですかね。


―ある意味でそのフィードバックが次への扉を開いたような?

そうです、そうです。「シャーリーン、ありがとう」って感じかな笑

画像1(基礎コースのクライアントになってくれたマッキンゼーのグローバルの社長秘書をしていたシャーリーンと)


―そこから、応用コースもUSで受けたんですか?

いえいえ、その後の応用の4つは日本で受けられました。フルフィルメント、バランス、プロセス、当時の4つ目はイン・ザ・ボーンズでした。今はシナジーって呼んでいるけど。
フルフィルメントの印象は、「怪しい」。これは本当に怪しいと思って。だけども、応用コースを一括で申し込んでいたし、日々忙しかったので、忘れちゃうわけですよ。で、フルフィルメントに行って「怪しい、怪しい」って思っているんだけど、また日常に戻ると忙しくて忘れてて。ある時、スケジュールを見ると「バランス・コース」って書いてあって「あれ、なんだっけ?あ、そうか。お金払い込んだから、行かなきゃもったいないし」ってそれで行って。
でも、不思議なことにバランスコースの受付で例によって名札にね「あなたの呼ばれたい名前を書いてください」って言われるじゃない。で、それは「あー、めんどくさい。やっぱりCTIってこういうこと言うんだよな」って内心思ったんだけど、その瞬間にまたしても直感的に浮かんだのが「いろり」だったんですよ。


―そこで?

そこで。それはね、フルフィルメントの、今は別の演習をやっているけど、当時は自分自身を象徴するような名前に会いにいく内なる旅があったんだけど、そのシーンに「囲炉裏」があるんですよ。それがすごく印象的でこれはなんか意味があるんだろうなって思って「いろり」ってひらがなで書いて。それが今も使っているニックネームの始まり。
で、今度バランスはすごく面白かった。怪しくないわけ。鍛えた分析力みたいなものをフルに活用できるし、同時にコーアクティブで言っている、beingとdoingのbeingが存在しながらdoingを行うことの感覚、これは楽しいんだっていう刷り込みを勝手に私がされたのがバランスだった。本当に人生って見方を変えることで状況は変わらなくても、「あ、こんなに楽しくできるんだ」っていうのがバランスの体験だったんですよ、私は。
で、プロセスはもう思い切りbeingを深めていく、味わい尽くすみたいなもので、当時は全然できなかったけど、その良さだけは実感して。で、イン・ザ・ボーンズまで行くんだけど、イン・ザ・ボーンズが終わった後も、「コーアクティブが何なのかわかんないなぁ」って思っていて。


―へぇ。

「これはコーアクティブとは何ぞやをもっと深めないと、私はここで終えるわけにはいかない」っていうことはわかり、それでリーダーシッププログラムに行きます。


―上級コースより先にですか?

先に。先にというか、日本の上級コースはまだなかったんです笑


―笑 まだ存在すらしていなかった?

存在すらしていなくて、「今、準備中です」って言われて。ほら、例によってやる気になったら待つの嫌じゃない?でも、日本人がアメリカに行ってやった初のリーダーシップ・プログラムのトライブ(注:リーダーシップ・プログラムのチームの呼称)の締め切りは「もう終わっています」と言われたので、「また、アメリカのに行くしかないのか」と思い、また日本人1人だけ。アメリカ人がたくさんいたし、あとはヨーロッパ人も何人かいる、そんなトライブの一員として私はリーダーシップ・プログラムを受けました。


―それはじゃあ、リーダーシップ・プログラムがどういうことかっていうよりも、コーアクティブが何なのかを知りたかった?

そう。コーアクティブとは何なのか?あのNCRW(注:コーアクティブ・コーチングの4つの礎の一つ『人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である』)と言っているちょっとわかったようでわからないあの感覚は何なんだって。NCRWが一番不可解だったので。

画像2

(USで開催されたリーダーシッププログラムに参加(Tree of Life Tribe))

―へぇ。

「人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在」っていうのは誰も反対しないと思うわけ。反対しない、「だよねー」って言っていた方が楽。「でもね、そんなもんじゃないでしょ、現実」って思いながら私は生きていたから。NCRWはおかしいって思っていたわけ、ずーっと。で、それが違うっていうことを証明するエビデンスを取りに行こうくらいな感じで。はっはははは。
それでリーダーシップ行って、今はもう亡くなったけど、フィル・サンダールとイレイン・ジェンズっていう2人のリーダーだったの。特にフィルが私たち一人ひとりに、リーダーとしてのコーチングをする場面が当時はあったの。今はもうないんだけど。その時の私たち参加者との関わりが「あ、これがコーアクティブか」と初めて私は腑に落ちまして。


―彼のdoingとbeing両方から?

おっしゃる通り。彼のbeingは、本人以上に本人の可能性を信じていました。マッキンゼーの頃ってデータがあって初めて信憑性があるとか、故にあなたを信じるみたいな構造になっていたんだけど。何のエビデンスも、何の情報もないのに、フィルは相手の可能性をとんでもなく信じて関わるんだよ。もう、、今でも泣ける。
それはやっぱり必要なことだなって思ったわけ。beingがあって、その瞬間創り出すから、フィルが人によって言うことが毎回違うのね。ある時はすごく優しく呼び覚ます、ある時は小声で本当に大事に扱うみたいなのもあるし、ある時はもう胸ぐら掴むくらいの勢いで「どうなんだ!」みたいな。やっぱりコーチングってコーチとクライアント両方のダンスだから、コーチのあり方、その人のスタンスがビシーっとあって一緒に目の前にいるだけで、何か起こるんだよね。で、それをコーアクティブ・コーチングと呼ぶんだなって私は理解をした。


―そこで「あ、コーアクティブってこういうことなんだな」ってことを実感した?

そう、実感したね。でもさ、実感してもできるようにはならないわけですよ。あははは。
だから、自分がその時にいるところとフィルやイレインがいるところのギャップにも気づくことになって。なので、それ以降は本当にコーアクティブな関係っていうかな、コーアクティブなスタンスを体現するのが学びの旅だったなって、今話していて思うかも。で、未だ完成されていない。初めて基礎コースに行ってからもう18年、19年目に入ろうとしているのに。もちろんだいぶわかってはきたなって思うし、同じところにだいぶ長くいなくなったなとは思うけど。だけどね、全然終わらない。
今になっては、2020年コロナのインパクトは世界を巻き込んでいるからさ。本当に終わらない。常に面白いことが出てくるんだなって。そういうスタンスでいられるのも、コーアクティブを学んだからこそだなって思う。そうでなかったら、多分上っ面の情報に右往左往しながら、それも大事なんだよ、上っ面の情報で生きているからそれも大事なんだけど、「何が起こっても意味があるんじゃないの?」っていう風に捉えられる訓練を受けた感じかな。

―それが学んだことでもあるし、自身の大きな変化のひとつですよね。

はい、そうですね。


―それで、仕事を辞めてCTIファカルティになろうと思ったのですか?

はい、そうなんですよ。CTIのCPCCっていう資格とリーダーシップ・プログラムを終えると等しくCTIのフロント・オブ・ザ・ルーム・リーダーって言う、トレーナーのオーディションのご案内が来ます。「オーディションがあるので、もし興味があればどうぞ」みたいな。私、前の会社を辞めるつもりは一切なかったんだけど。ほらNCRWの探究途中だから、「やった!オーディションに行ったら、またコーアクティブが感じられる」みたいに思ってひょいひょいオーディションに行ったんです。はははは。


―ははははは。

それで、ものすごく楽しかったの、オーディションが。「あ〜、面白かった」みたいなオーディションを受けたら、その何週間後かに「あなたが選べば、フロントになりますか?」って答えをもらって。それから、私はすごく悩んだんですよね。「えー?」みたいな。


―現実に戻った感じですね。

マッキンゼー辞めるつもり全然なかったんですけど…みたいな。で、同時にコーアクティブの見えないもの、未確認なものに惹き込まれるような感じもすごくあったし。わからなかったり、「コーアクティブとは○○です」と定義されないことで開かれた私の意識とか体験もしていたから。もう、3ヶ月くらい振り子のように「やっぱり辞めない」「あ、でもやっぱりコーアクティブ…」


―3ヶ月…笑


3ヶ月すごくない?どれだけ強いサボといたんだっていう感じだけど。3ヶ月悩んだ末に、「よし、(この日にどちらかを)決める」ってことを決めたんですね。それでその日になったら「あ、コーアクティブなんだな」ってほんとスーッとわかる感じがしたの。
はっきりしたので、翌日会社へ行って人事の部長に「あの、辞めることにしたよ」って言ったら、「わかった、わかった」って全然取り合ってくれなくて。むしろ、「今日はね、あなたに新しいポジションがある」って言って、コンサルタントのアサインメントをするポジションだったの。「コーチングも始めたし、ファーム全体のグローバルなことも知っているし、ちょうどいいじゃん」みたいな。で、私、そこに答えた自分の声を聞きながら本当にびっくりしたんだけど、「昨日だったら受けた。二つ返事で受けたんだけど、今日はねもうダメなんだ」みたいなことを言っていて。おいおいおいおい、私何言っているだと。本当にこれでなくなるんだよ、おいおいって。でも、不思議なんだよね。決めた時は本当にブレない。ブレなかったんだよね。

で、その日は受け合ってもらえず、「考えておいて」なんて言われて。だから、何回か人事の部長とも話をし、結果「わかった、本当に辞めるんだね」って。実は私、1回辞めているんですよ。ふふふ。でも、引き戻された経緯があったので、「また、また。2回目はないわよ」みたいなことを言われ。自分でも不思議なんだけどさ、お給料面とかね、自分の未来のキャリアとかね、違う道を選ぼうと思えばたくさん選べる材料はあるんだけど、何て言うのかな、もう少し奥の方の自分が全然ブレなくて。一旦決めたらこんなにブレないんだなぁって思って。自分も初めて歩む道なので、それがまさにコーアクティブっていう概念を実践していく道なんだなって思って、それを始めた感じ。
だから、フロント・オブ・ザ・ルーム・リーダーっていうトレーナーの仕事を始めたことで、マッキンゼーを辞めるっていうことに。


―へぇ。

いや、なんかね。結構なカルチャーショックですよ。


―違う「国」に住みます」みたいな?

違う「惑星」に住みますくらいかな。当時はオフィスにセミナールームはなくて外部会場を使っていたから、コースが終わるとリーダーがダンボール箱にフリップチャートとか教材なんかを自分たちで梱包して、宅急便の伝票を貼ってオフィスへ戻すみたいな。私、マッキンゼーの頃、そういうところまで全部やるってあんまりしていなかったので。かつ、いま急に思い出したけど、マッキンゼーの頃段ボールを使うんだったらそれは新品の段ボールだったんですよ。CTI始めてから「いかにお金というリソースを大切に扱うか」って私は今理解しているけど、ガムテープで端っこが補強されているんですよね。がくも知っているでしょ?


―使い回す。

そう!使い回して、何度でも使えるような状態になっていて。だから、フリップチャートの台も結構なヨレヨレ具合。前の私は最先端の新しいものを常に使うっていうのが居場所だったから、「買えばいいのに、新しいの」っていうマインドだからさ、そこはすごい戸惑ったよね。で、同時に補強された箱を使っているからって、私自身っていうのは何も変わらないんだな、とかさ。どういう服装をしているからその人の価値がどうだとか、そもそもそういうことじゃないんだよねって気づく、とか。いろんな気づきがありましたよ。ふふ。


―違う惑星での生活がそこで始まったというのは、いろりさんという人の人生において生まれ変わるくらいじゃないですか?

ほんとそうだね。だから、コーアクティブが何をもたらしてくれたってもうちょっと言うとしたら、もちろんがんばっていた自分もいたし、いいなって思うんだけど。それだけじゃない自分、いろんな自分を発見させてくれた。で、発見するごとに自信がついていくわけじゃない。「へぇ、自分こういうこともやっちゃうんだ」っていうね。で、それは完璧にこなすっていうのと同時にすごくおバカな、冗談な、好奇心いっぱいのそう言う自分もあるから、自分も知らなかった新しいものが相手と私の関係において出てくるってことがプロのコーチをもう何年もやっている楽しさでもあり、それはコーアクティブのすごさだよね。


―それは、それまでのマッキンゼーで働くことよりも、こっちの方がおもしろそうだなって思ったんですか?

決めたその瞬間はね、面白そうだとも思ってない。「こっちなんだね」って、何もあまり感情はない感じ。だから、何があってもそれと一緒に生きていく術かな、コーアクティブはね。だから、being・doing両方がやっぱり大事だなっていうその意味はすごく思います。


―あと聞いていると、何かを決断する時は、理屈じゃない直感とか自分のリソースを信じているというか、信じる信じない以前に従うみたいな。それは、コーアクティブで学んだというよりも元々持っていて、それをその通りに止めないようになった、というように聞こえました。

はい、そう思う、そう思う。みんな持っている5つの資質の直感だよね。なんかそうね、フルフィルメントかバランスの時、「コーアクティブは、直感に市民権を与えようと思います!」みたいなことをリーダーが言い放った、榎本英剛さんが言い放った瞬間も今思い出しました。


―ははははは。

「直感に市民権ってどういうことだよ」って当時内側で私は突っ込むんだけど、それがいかに使えるリソースかっていうことを体験させてくれたのもコーアクティブの旅でもありますね。


―今日はありがとうございました。

画像3

(CTI創設者Karen & Henry Kimsey-HouseとCo-Active Days@大阪にて)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?