見出し画像

「コールセンタージャパン300号記念セミナー」講演のレビュー(後編)


前回の続き、弊誌「月刊コールセンター」の300号記念セミナーの採録です。


CTIって何?

コールセンターをコールセンター足らしめた技術、それがCTI(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)です。
今となっては当たり前ですが、いわゆる「相手の電話番号、登録していたら名前が表示される機能」であるナンバー・ディスプレイ(この言葉も懐かしい)に代表される機能です。
ちなみに、コールセンタージャパンの前身である「コンピューターテレフォニー」という媒体名は、当然ですがここから来ています。というか、この名前の月刊誌がアメリカに存在し、その独占翻訳権を弊社が持ったことで「日本版」として創刊したのです。約10年ほど「変える、変えない」の議論が続き、2016年に現在のコールセンタージャパンに改称しました。

かつて、電話を司るPBXは、その堅牢性と引き換えに仕様が各社独自で、いわばブラックボックスに近い技術でした。それが、CTIの登場で「コンピューター(DB)と連携できる環境」が整ったというわけです。一部のソリューションは、Windowsサーバーに音声ボードを組み合わせてPBXの機能を実現、当時は「画期的」とされたものでした。従来のPBXよりもローコスト、かつ情報システム部門が扱える仕組み(電話って昔は総務部門の管轄であることがほとんどでした)――「UnPBX」という、今考えればちょっと変な名称のソリューションカテゴリが成立したくらい。まぁ、たまに落ちることがあって、二重化は必須でしたけど。なかには三重化している事例も取材しましたね。そこまでいくともはや安価でもなんでもないですが^^;

それ以前の「電話窓口」が「コールセンター」と称してもいい条件といってもいいほどの革新的な技術、それがCTIでしたが、実態調査では20年以上も昔から導入率は60%台後半から70%台前半で大して変わっていません。

この謎は、最近についてはちょっと心当たりがあって。おそらく、回答者であるコールセンターのマネジメントの皆様が、「CTI」という言葉を知らないのではないかと推察します。弊誌がかつて「コンピューターテレフォニー」だったことも知らない読者の皆様も増えています。
あまりにも当たり前すぎる技術になってしまった結果、使っているけど「CTI?ウチには入ってないよな」と捉える回答企業が増えているような気がします。

VoIPって何?

僕は、この四半世紀でコールセンターを劇的に進化させたテクノロジーとは、CTI、VoIP、そしてクラウド、期待感を持って生成AIの4つだと考えています。
VoIPは、ボイス・オーバー・アイピーと読みます。読んで字のごとく、「音声をインターネットに乗せる」技術で、これももはや当たり前ですが、2000年代当初は「これが実現するのはいつか」が耳目を集めていました。
コールセンターがこれで変わったの要素はさまざまあります。例えば、「全国の複数拠点に分散しているセンターをあたかもひとつのセンターかのようにマネジメントできる」ということもそうです。それまではそれぞれの拠点にPBXを入れてそれぞれ着信させていたのが、メイン拠点(あるいはデータセンター)に着信させ、それを拠点問わず振り分けることが可能となり、しかも稼働状況を一元管理できるようになりました。これで、マルチサイトが当たり前になりつつあったコールセンター運営が劇的に進化したのです。

クラウド化の動向

そしてクラウド。2013年の「コールセンター白書」で聞いていたクラウド導入状況がこれ。

そして2023年がこれ。

もしかしたら、他のソリューション領域よりはまだ非クラウドのシェアが高いかもしれませんが、それでも大きな変化です。
セールスフォースさんに代表されるように、CRM領域およびポイントソリューション(メール対応とかチャット、FAQなど)のクラウド化はかなり進行していますが、ここ数年、取材してても「増えたなぁ」と実感するのは「PBXなどのプラットフォーム機能のクラウド化」です。

CTIのところでもちょっと書いているように、PBX(電話)とは「落ちることが許されないシステム」でした。クラウドということは、提供事業者のサービスが落ちれば、確実に落ちます。実際、AWSが落ちてX(旧Twitter)でエンジニアを中心に「仕事にならんポスト」の嵐が巻き起こることがたまーにありますよね。利用している事業会社のエンジニアには、手も足も出ない。それがクラウドです。

まぁ、そんなにめったにあることではないということと、「落ちてはいけない」という常識にも変化が起きてるのかな、と。誤解を恐れずに言うと、「しょうがないじゃん」が若干、許される空気感があるというか^^;
「ネットが繋がらない」と同じ、あるいは近い感覚に電話もなってきてる気はします。
というわけで

最後に生成AIですが、これはむっちゃ長くなりそうなので、まったく別の機会にそのうち、書こうと思います。最新情報はコールセンタージャパン・ドットコムをチェキナウ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?