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マルタにおけるCOVID-19:時系列

 ここで改めて、マルタのCOVID-19の対策を時系列で追っていき、整理していきたいと思う。すべて政府発表とメディア報道*によった。

2020年
- 1月29日:マーテル・デイ病院に専用病棟設置の報道
 マルタ随一の総合病院であるマーテル・デイ病院に、COVID-19感染が発生した場合の専用病床が儲けられたことが明らかにされた。12床しかベッドがないことが物議を醸した。

- 2月17日:ウェステルダム号乗船のマルタ人夫婦がマルタ帰還
 マルタ帰国後、夫婦は検査も受け、警察の監視下で自宅で14日間の自己検疫を実施。

- 2月24日:空港にサーマルスクリーン設置を発表
 空港に到着するすべての乗客に対して、サーマルスクリーン実施を発表。カメラが2台設置され、その前を到着した乗客が通過するというものであった。

- 2月25日:特定地域からの帰還者に対する14日間の「自主的な」自己検疫の推奨を発表
 この時点では、日本や中国、韓国、北部イタリア、イラン、シンガポールからの帰還者を対象に、「自主的な」自己検疫を推奨を発表した。旅行者は対象に含まれていなかった上、あくまでも自主的なもので居住者対象と思われる。
 またこの日、いくつかのスーパーマーケットでのパニック・バイ(買い占め)騒動が発生。

- 3月2日:特定地域からの帰還者でCOVID-19の症状がみられる人への検査実施を発表
 14日以内に特定地域への渡航歴があり、発熱、咳、息切れなどがある人々に対する検査の実施を発表。専用ヘルプラインが開設される。

- 3月6日:クルーズ船の入港拒否

- 3月7日:マルタ初の陽性確認、新たなヘルプライン開設
 マルタ内では初のCOVID-19陽性反応。北部イタリアへの家族旅行から帰ってきた12歳。その両親も陽性反応。この時点では特定地域からの帰還者を対象に181件の検査を実施。また、ヘルプラインとして、111を新たに開設した。

- 3月8日:エアマルタ、ミラノへのフライト停止
 イタリアのロックダウンに伴って、エアマルタはミラノへのフライト停止を発表。

- 3月9日:ライアンエア、ベルガモへのフライト欠航
 ライアンエアもベルガモとのフライトを欠航に。また、この時に7つの航空会社が278便の欠航したことをマルタ空港のCEOが明かしている。

- 3月10日:イタリアへのフライト停止
 イタリア北部だけでなく、全イタリアへのフライト停止に。

- 3月11日:ドイツ、フランス、スペイン、スイスへのフライト停止と自己検疫の義務化を発表
 翌日からの上記4カ国とのフライト停止を首相が発表した。この時にはまだ観光客は道にあふれていた。また、特定地域からの帰還者に対して、自己検疫を義務化し、違反した場合の罰則を1,000ユーロとすることを発表した。

- 3月12日:学校の1週間の閉鎖発表
 小学校や中学校などの、すべての学校の翌日から1週間の閉鎖を発表。この発表に伴い、語学学校も休校することを決定。また、司教から、日曜日のミサ出席義務の免除が発表され、教会も扉を閉じることになった。ただし、個人での祈りは可能。またこのことにより、公共放送のチャンネルでミサの中継が行われることに。

- 3月13日:マルタ入国者全員への自己検疫の義務化とバスの乗車人数制限を実施
 14日以降のマルタ到着者に対する義務的な自己検疫が実施されることになった。また外国人(非EU市民)の場合、違反した場合には労働許可証が剥奪されうることとなった。また、公共交通機関であるバスでは、乗客は全員着席することを義務化。ゴゾフェリーでは乗客へのスクリーニング実施。さらには公共での集会を取りやめるよう要請。

-3月15日:病院での増床を発表
 マーテル・デイ病院の内外に、COVID-19感染者専用に、新たに680床を追加したことを発表。

- 3月16日:初の国内感染確認および規制強化の発表
 これより前まではマルタでのCOVID-19の陽性反応はすべて国外から持ち込まれたケースのみであったが、この日、初めての国内感染が確認された。また、さらなる規制強化の発表がされ、17日23:59から、レストランやバー、クラブ、カフェ、映画館、ジム、ビンゴホールなどの閉鎖されることとなった。レストランはテイクアウェイ並びにデリバリーのみ営業可能に。また、自己検疫の違反者への罰金が3,000ユーロに引き上げられた。
 さらには、国外にいるマルタ人に対して、帰国の呼びかけと、国内に止まる旅行者に対して早めにマルタを去るよう呼び掛けた。フライト停止のフラグでもあった。エミレーツ航空はこの日を最後にドバイマルタ間の運航を停止。5月20日に再開予定と発表された。なおこの日にメディアで、「曲線を抑える」解説記事がでた。(元ネタ:http://ithams.com/covid19/index.html )

- 3月18日:マルタ空港が21日からのフライト受け入れ停止を発表
 空港からの声明が発出され、20日23:59から到着便の受け入れ停止を発表。この時点ではターキッシュ・エアラインズとBAは運航スケジュールは未定で、22日以降の出発便に振替なども実施していた。

- 3月19日:政府による事業者並びに失業者への約2,160億円規模での経済支援策発表
 なお、非EU市民(TCN)の新規労働許可証申請の受付停止も発表。高度技術者は受け入れるが、それ以外では新規申請が不可能に。

- 3月20日:空港の到着便受け入れ停止を政府発表
 正式に政府が発表。各航空会社の対応を見ると、ターキッシュ・エアラインズは3月22日から4月17日まで運航停止、ブリティッシュ・エアウェイズも21日、22日の出発便は運航したが、それ以降は欠航。エアマルタは、23日以降もロンドン・ヒースロー、フランクフルト、アムステルダム、ウィーン、ブリュッセルへの運航を表明。ただし、シェンゲン圏内あるいはイギリスの居住者(パスポートあるいは居住許可証が必要)や帰宅するする乗客のみという制限付き。

- 3月22日:不要不急の店舗営業の禁止を発表
 23日8:30からの、不要不急な商業店の営業を禁止。これには、衣料店、家具店、電化製品店、美容院、宝石店、タトゥーショップ、ネイルサロンなどが含まれる。実質的に、スーパーやミニマーケット、郵便局、銀行などのみが営業。違反した場合には、3,000ユーロの罰金。また、いかなる集会も禁止されることとなった。

- 3月24日:政府による追加での経済支援策発表
 フリーランスや自営業、3月9日以降の失業者、ビジネスに影響のあるセクターに対しての経済支援を打ち出した。なかでも、影響を受けた産業として、アート、旅行業などが指定され、フリーランスでも月800ユーロが付与されることとなった。
 なおこの日には自己検疫違反者への罰金は10,000ユーロに引き上げられた。

- 3月25日:エアマルタがスケジュール見直し
 ウィーン、ブリュッセルの運航停止。必要不可欠な物流とマルタから帰国する外国籍の人々のために、ロンドン・ヒースロー、フランクフルト、アムステルダムへのフライトを運航。

- 3月26日:さらなる規制強化を発表
 夕方の記者会見で、28日から新たに施行される規制が発表された。65歳以上の人々、妊婦、特定の慢性疾患がある人々は、原則として外出禁止(買い物は可能)となった。

- 3月28日:教育機関の6月末までの閉鎖を発表

- 3月30日:規制強化:4人以上の集団に罰金
 前週末に人々が多く集まったりピクニックに出かけたことから、公共の場で4人以上が集まることを禁止し、規制策として、4人以上の集団には罰金を課すことを発表。1人につき100ユーロ。適用は31日から。また、公共Wi-Fiを制限することも発表された。


3月31日時点では、感染者数188名、死者0名。検査は10万人あたり1531件が実施されたようだ。最も感染者数が増えたのは3月25日で19名が新規感染者として報告された。

*政府発表とメディア報道=政府の発表以外には、マルタ政府の新型コロナウイルス専用の情報ウェブサイト( https://covid19malta.info/ ) を参照した。また、メディア報道では、Times of Malta, Malta Today, Malta Independent, TVM, Lovin Malta を参照した。3月31日加筆修正。

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