マルタ語講座第0回

 マルタって、英語の語学留学が盛んで、ひとつの基幹産業でもあると言えると思います。イギリスの植民地であったため、英語も公用語として用いられています。ところが、マルタ語というのも存在します。マルタ語はあんまり知られていないので、あまり見当がつかない言語かもしれません。地理的近さから、イタリア語に似てるの?とよく訊かれます。

 実は、マルタ語はセム語族の言語で、ヨーロッパの公用語のなかで唯一のセム語族です。また、文字はローマ・アルファベットを使用し、そこにいくつか特殊文字が加わります。言語としては、ざっくりいうと、アラビア語、それ以外はイタリア語(シチリア)、英語、それに加えて少しのフランス語が混ざっているものです。

 少し具体的に見てみましょう。例えば、基本的な動詞や動詞の活用変化、人称などは明らかにアラビア語に近いものがあります。チュニジア・アラビア語が一番近いと思います。マルタ語で「書く」というのは、「kiteb」で、k-t-bが語根。実際には、私は書く= Nikteb (ニクテプ)、君が書く= tikteb (ティクテプ)のように活用します。日常で使用される動詞には、英語とイタリア語から借用されたものも混ざっていますが、同じように活用変化をさせます。また、神=Alla (アッラー)ですが、ここではカトリックにおける言葉です。詳細は割愛しますが、マルタはカトリックが非常に根強い場所です。

 イタリア語からの借用語彙でも、現代のイタリア語と意味が違うものもあります。karozza (カロッツァ)はその典型でしょう。マルタ語では、「車」を意味しますが、イタリア語でcarrozza は、「馬車」という意味かと思います。

 さて、もしかするとカオスとも表現しうるマルタ語ですが、せっかくなのでマルタ語に少しでも触れるために、マルタ語の基本的なもの(人称や語彙、基本的な単語など)について、今後、書いていこうと思います。

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