見出し画像

【番外編】世にも不思議な国インドの旅①


コロナで生活様式が変わる中で
恋しいものの一つが、海外旅行です。

海外旅行の一番の醍醐味は
現地の人たちとの心の通い合う交流。

それは、実際に現地に足を運ばなくては、
経験しがたいものです。

これまで、20カ国以上旅をしてきましたが
中でもインドへの旅は驚くべき出会いの
連続でした。

「世の中に、こんな人がいるのか!」
と目を開かれる思いでした。

そんな出会いの一つが、Vijayという
シルク商人の男の子との遭遇でした。

もう、9年近く前の話になります。

ラクノウという北インドの街で
同僚の結婚式に出席したのち、
一人でインドを横断することにしました

まず向かったのは、ガンジス川で有名な
バラナシでした。

夜行列車で朝の4時頃バラナシにつき、
ホテルで一眠りしてから、街へと
繰り出しました。

ガンジス河へ向かって歩いていると、
インド人の男の子が日本語で
話しかけてきました。

条件反射的に、
「これ何か売りつけられるだろうな・・」
と思い、私は足早に立ち去ろうとしました。

彼はめげずに、私の後についてきました。

日本語がわからないふりをしてみても、
彼は私が日本人であるということを
一ミリも疑わないようでした。

やがて彼は、何か哲学的なことを
語り始めました。

その日本語は、ただ物を売ろうとするために
覚えたにしては流暢すぎました。

一体どうやって日本語を覚えたのだろう?
と不思議に思いました。


そこで、何も減るものはないし、
少し話をしてみることにしました。

ガンジス河のほとりで腰を下ろすと、
彼は色々と人生について話してきました。

私は内心、まだ警戒感を解くことが
できずにいました。

でも、何だか面白い人だなと思いました。

それから、道端の露天で熱いチャイを飲み
彼が働いているというシルクのお店に
連れて行ってもらうことになりました。

一人旅をしていると、こうしたときに
判断力を問われます。

店にいって本当に安全なのか?
ドアを閉められたら、
何が起きるかわかりません。

ただ、これまでの経験上
しばらく時間をすごすことで
相手の人間性や価値観はそれなりに
予測できると思っていました。

意図的に、そうした判断材料を
集めるような質問をしたり

見知らぬ人に対して
どのように振る舞っているかを
観察したりします。

また、ある程度の年齢になれば
顔にも人柄が現れるものです。

私はまだ完全に彼を信用したわけでは
ありませんでした。

でも、これまでの会話で、危険な人物では
ないだろうと考えていました。

画像1

シルクのお店に入ると、彼はいくつか
箱を取り出して、中を見るように言いました。

箱の中には、日本語が書かれた
たくさんのノートや、アルバムが
入っていました。

ノートに書かれていたのは、
これまでバラナシで彼に出会った
日本の旅人たちからの、
お礼のメッセージの数々でした。

ニューデリーでお財布を取られるなど、
散々な目に在ってからバラナシで彼に出会い
インドへの見方が180度変わったという男の子。

ホーリーと呼ばれる、色とりどりの絵の具を
体中に塗りたくるお祭りを、一緒に楽しんだ
学生たち。

多くの忘れられない思い出を、プレゼントして
もらった日本人の旅人が、溢れんばかりの
感謝をノートに書き残しているのでした。

中にはお礼に、日本へ無料で招待させて
ほしいと申し出る人もいたといいます。

疑って悪かったと思うとともに、
温かなメッセージがぎっしりと書き込まれた
ノートを読み進めるうちに、感動で涙が
出てきました。

私は「なぜ、こうやって旅人の面倒を
見るのか」とたずねました。
 
「僕は、まずは自分の仕事を精一杯やって、
自分や家族が必要なお金を稼ぐ。

そしてその後、あまった時間があったら、
周りの人のことを助けたり、一緒に楽しんだり
するのに使うのがいいと思ってる。」

そんな風に話してくれました。

彼の流暢な日本語は、バラナシで知り合った
日本人から学んだもので、特別に誰かから
教わったものではありませんでした。

彼は7才の頃からカンジス河のほとりで
物売りの仕事をしていて、きちんと学校に
通ったことがないといいます。

日本語の他にも、観光客から英語や
スペイン語、フランス語を学んでいました。

さすがに、日本語の文字を読むことは
少ししかできないようでしたが、
私がノートのメッセージを音読すると、
誰が書いたものか一つ残らず覚えていました。

驚くべき、記憶力です。

その後、お店の中で一緒に神経衰弱をして
遊びましたが、全く歯が立ちませんでした。

画像2

それから3日間、一緒にガンジス河で
朝日を見たり、ご飯を食べたり、
実家に遊びに行ったり、色んなことをして
遊びました。

たった数日一緒に過ごしただけなのに、
まるで10年来の友達であるかのような気が
してしまうほどでした。

そんなこんなで、彼と出会った日本人は、
すぐインド人皆が彼のような人だと
思ってしまい、後で危ない目に遭うことが
あるから気をつけるようにという忠告を
受けました。

最後に一緒にレストランでカレーを食べて、
次の目的地であるコルカタを目指しました。

不思議なことに、コルカタへの夜行列車でも
またコルカタの街でも、次々と新たな出会いが
待ちうけていたのでした。

+―――――――――――――――――+
《ハッとする90分!言いたいことが英語でポンッ! 》
日本と英語がつながる感動の体験をしてみませんか?

お試しセッションの詳細はこちらhttps://peraichi.com/landing_pages/view/nxgv6
+―――――――――――――――――+


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?