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消費者としてCSAに参加する意義

今回は、私たちが消費者として、CSA(Community Supported Agriculture)に参加する意義について考えてみたいと思います。

1. CSAとは?

最初に、CSAに参加するということ自体についてレビューをしていきたいと思います。
CSAとは、生産者と消費者が、農作物の生産にあたってのリスクと収穫物をシェアする仕組みのことをいい、参加者(=消費者)が申し込み時に一括で前払いをするため、地域生産者のサポートの意味合いが強い取引スキームです。

2. CSAと通常購入との違いとは?

ところで、皆さん普通にスーパーやネットショップで
買い物をするときに、自分が「リスク」を負担していると
感じることはあるでしょうか?
トマトを買ったら実は中身がきゅうりだった、
なんてことはないし、
たまにちょっと傷みかけてた、あんまり熟してなくて
青臭いトマトだった、水っぽかった、ということはありえても、
大抵は自分の期待値の範囲内のはずです。
(つまりリスクとも認識していないし顕在化もしない)

また、支払いをしたら即トマトが受け取れます。
買い物に行ってレジで支払いを済ませ、
トマトを受け取って帰ろうとしたら、
「では、あなたのトマトは今日植えたので受け取りは
 3ヶ月後収穫したときになります。」
...なんて言われることもありません。

CSAに参加することと、普通に購入することの
大きな違いは、
・消費者が(生産者の)リスクを負担しているか
・支払ってから受け取りまでのタイムラグがあるか
 (通常数ヶ月〜1年未満の前払い)
の2つ。
つまりは、消費者側がコミットしているかどうか
という違いがあります。

3. Farmers Marketで買うこととの違いは?

生産者側から考えたとき、CSAに参加してもらう
メリットの1つとして、中間コストを省くことができる
という側面があります。

スーパー等で販売するための物流にのせようとすると、
梱包、運送(トラック)、農業商社、農協、スーパー。
ざっと挙げるだけでも数カ所を経由することになります。
それはすなわち、夫々にコストを支払うということ。
数年前にフルーツアンドベジタブルマイスターの講座を
受講していたときに、農家さんの手取りは8%
という数字を聞いて驚愕した覚えがあります。
スーパーなどで売られている1個100円のトマトが
実は生産者への実入りは8円にしかならない。
ダンボールいっぱいの野菜が数百円にしかならない
という話を現役の農家でもある講師から伺い、何かが
違う、と感じたのを鮮明に覚えています。
それでは、農薬や肥料を使って、ロスを極力少なく
短期間で効率的に収穫しよう、という発想になるのは
当然の結果だと想像します。

では、中間コストをかけない、消費者への直接販売は
どうでしょうか?
ファーマーズマーケットも身近になりましたし、
生産者さんのサイトで直接購入する機会も増えました。
個人的にもお米は農家さんから直接購入していますし、
ファーマーズマーケットにも足繁く通っています。

ただ、こう行った直接販売とCSAの大きな違いは、
ここでも前払いとリスクシェア。
中間コストをかけずに農家さんに正当な支払いをする
という部分での貢献はできますが、この2つの違いは
依然として残ります。

4. なぜFarmers MarketよりもCSAなのか?

Farmers MarketとCSAでは、CSAには消費者の
コミットが求められるという説明をしました。
具体的に消費者が負担するリスクについては
CSAで消費者が負担するリスクとは? 
で説明しているのでそちらを参考にしていただけたらと
思うのですが、端折って説明すると、
リスクが顕在化したときに起こることはAll or Nothing
というよりも、受取例と実際受け取る野菜の種類は
変わることがあり、ある年はピーマンは少なくて
トマトを多く受け取ることになる、といったリスクです。

こういった、生産物の偏りができることについての
リスクをシェアしてくれて、かつ前払いでまだ収入が
ない期間も支えてくれる。
そういったコミットメントをしてくれる消費者をパートナー
に迎えることで、土作りに専念できたり、
無農薬無肥料で自然の力で作物が育つことを手助けしつつ
見守ることができたり、とこだわって生産することが
できることになります。

もちろん、ファーマーズマーケットで直接購入することで
サポーターになることも出来ます。でも、CSAに参加すると
パートナーになることができる。
ここが意義という意味で
一番大きな違いになります。

もちろん、生産者さんはパートナーとなってくれる参加者に
感謝されていますし、期待に答えようと色々な天候にあった
作物を栽培することでリスク分散もしています。
具体的に謳っている生産者さんはあまり見かけませんが、
ファーマーズマーケットなどで購入するよりも
ディスカウントしたベースでシェアの分配をされています。
実際の支払い金額以上に、収穫物を受け取ることが出来る
場合が殆どで、一参加者としても、
「毎週25ドルで、こんなに沢山の野菜を頂けるの?」
と毎回箱を開けるたびに嬉しい驚きがありました。 

5. まとめ

今回はCSAとは?をスーパーなどで購入する場合と
ファーマーズマーケットで購入する場合と比べてみて、
大きな違いが消費者側がコミットしているかどうか
であり、CSAとはパートナーとなることであり、
生産者がオーガニックや自然栽培など拘りの栽培を
すること、その地域の環境を守ることができるという
意義についてみていきました。
CSAに参加する意味を知りたい、CSAについてもっと
知りたい方の考える参考になれば幸いです。

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