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【リモートでもできる!】オンラインでカスタマージャーニーマップを作る具体的な方法と注意点

こんにちは。
GMOペパボ株式会社 カスタマーサクセスチームの藤吉です。

今回は、カスタマージャーニーのマップの作り方とオンラインでの実施方法や注意点についてお伝えします。

その前にチラッと自己紹介。

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1.カスタマージャーニーマップとは?

この記事を読んでいる方は、おそらくカスタマーサクセス業務に関連がある方かと思いますが、カスタマージャーニーマップを作ったことはありますか?

そもそもカスタマージャーニーマップとは、

顧客が自社サービスをどのような流れで、どのような気持ちで利用開始から継続利用していくかを整理したもの

になります。


実際に顧客になりきって、

・自社サービスと他サービスとを比較
・自社サービスに決定してからトライアル申込をする
・本契約をする
・その後のサービス活用

などの顧客の流れに対して、様々な切り口で見ていくことにより、新しくやるべきことを発見できたりします。

私は今までカスタマージャーニーマップをゼロから作ったことがなかったのですが、今回実際にチームのみんなと一緒に作ってみて、いくつもの発見がありました。

2.カスタマージャーニーマップをつくるメリットとデメリットとは?


カスタマージャーニーマップを作ってみて、一番のメリットは、普段見落としてしまう点に気づけることです。

カスタマージャーニーマップは、実際に顧客の流れを見える化していくので、それを作ることで、一時的に止まってしまうだろう箇所がわかり、更に自社から顧客へ、止まってしまうだろう箇所に対する適切な情報の有無まで気づけます。

今回やってみて、その点に気づくことができました。

具体的なお話をすると、弊社サービス(カラーミーショップ)の場合、カラーミーショップを利用しているショップ事例や、ネットショップづくりをするための細かいマニュアルや動画はあるものの、ネットショップを作った後にアクセス数を増やして売上をつくるといったステージの情報が極端に少なく、整理もされてないということがわかりました。

カスタマーサクセスチームとしては、顧客のサクセスを売上アップまでを視野に入れているので、アクセスを上げて売上を増やすといった情報をもっと伝えていくことが課題となり、その施策を増やすキッカケとなりました。

一方で、カスタマージャーニーマップをつくるデメリットは、時間がかかる点です。

1時間やそこらでは終わらず、2時間~3時間ぐらいかかったり、1人か2人、司会進行や内容をしっかり理解した人がいないとヌルっとやって終わりになります。実際に、カスタマージャーニーマップをつくる研修に、誰か参加してきて、その内容をチームでやる方がスムーズかもしれません。

3.カスタマージャーニーマップの具体的な内容

具体的にどのようなステップでカスタマージャーニーマップを作っていくかというと、以下のような6つのステップです。

STEP1:ジャーニーの出発点と終点を決める
STEP2:ペルソナを決める
STEP3:ペルソナの行動を洗い出す
STEP4:自社と顧客の接点を洗い出す
STEP5:顧客の感情を考える
STEP6:顧客の感情や顧客の接点から施策案を出す

それぞれ解説していきます。

STEP1:ジャーニーの出発点と終点を決める

まずSTEP1でやることは、自社商品を利用する顧客のスタートの状態とゴールの状態を決めることです。

弊社のサービス(カラーミーショップ)であれば、

スタート状態:どのネットショップサービスで作るかを検討している
ゴール状態 :初めて受注が発生する

となります。


STEP2:ペルソナを決める

次にペルソナを決めます。
自社商品を利用する顧客の中で、一番多いであろう対象をイメージして、
具体的に顧客象を描きます。

弊社の場合であれば、何らかの実店舗をやっている個人事業主の方が多いので、その方の具体的に掘り下げました。

・会社形態:個人店
・所在地 :鹿児島県
・業種  :馬刺し(店舗あり)
・従業員数:2~3人(パパさん・ママさん・バイト1人)
・家族構成:夫婦49歳
・ネットショップを始めた動機:
 実店舗とは別に売上の柱をつくりたい。
・単価:5000円ぐらい
・目標月商:100万円(5000円×200件)
・ITリテラシー:HTMLが少しわかる、youtubeは見れる。
・予算:広告費を出さないわけじゃない。

STEP3:ペルソナの行動を洗い出す

このステップからは、以下の表があると便利です。

カスタマージャーニー資料

ステージ、顧客の行動、顧客の感情変化、顧客接点、新たな施策といったような表をつくって、ステージから順に埋めていく形になります。

この表に洗い出していく作業が、カスタマージャーニーマップになるので、この表を完成させることがカスタマージャーニーマップのゴールになります。顧客の行動や顧客の感情変化などを洗い出すことで、顧客の行動や心の動き、自社の施策の状態などを俯瞰して見ることができるようになります。

STEP3の続きです。

まず、この表の「ステージ」欄を埋めるために、STEP1で決めた顧客のスタート地点とゴール地点をステージ欄に記載します。

次に、スタートからゴールまでをフェイズ分けして入力します。

弊社の場合は、

比較→契約→ショップ構築→集客→初受注

といったようなフェイズがあるため、それをステージとして記載しました。

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そしてSTEP3の本題ですが、フェイズごとに顧客が取るだろうアクションをどんどん書き出していきます。例えば、【比較】というフェイズで顧客はどんな行動をするか?といった具合です。下記の表では、青い付箋です。

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弊社のようなネットショップ構築サービスは、競合他社が多いため、顧客はいろいろなネットショップサービスを試したり比較したりとするアクションが考えられます。他にも、ショップ構築フェイズでは、商品登録をする、マニュアルを読むなど、細かい顧客の行動を洗い出していきます。

STEP4:自社と顧客の接点を洗い出す

ある程度、顧客の行動の洗い出しが終わったら、自社と顧客の接点を表に書き出していきます。下記の表では黄色い付箋の箇所です。

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例えば、顧客の行動が【商品登録をする】というものであれば、自社では商品登録のマニュアルやチュートリアルを用意しているので、顧客との接点はマニュアルとチュートリアルといった感じで、書き出していきます。

STEP5:顧客の感情を考える

自社と顧客の接点を洗い出したら、顧客の感情をフェーズごとに想像していきます。以下の表では顔のイラスト箇所です。

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比較段階で顧客がいろいろなサービスを試しているときの感情はポジティブかネガティブか。集客段階でSEO対策をしている顧客は、弊社のSEO設定動画を見て、ポジになるかネガになるかといった具合です。

STEP6:顧客の感情や顧客の接点から施策案を出す

あらかた顧客の感情を書き出してみたら、顧客の感情がネガになっている箇所を重点的に補強できないか?もっと解決できないか?といった視点で施策案を考えていきます。以下の表では、感情がネガティブな箇所が赤い丸の箇所で、新しい対応策が赤い付箋の箇所です。

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4.カスタマージャーニーをオンラインでやる方法と注意点

今は、テレワークや在宅勤務の方が多いので、カスタマージャーニーマップづくりをするのは、結構大変なのですが、オンラインでも意外と簡単に行うことができました。

特に、Googleのジャンボードで進行すると楽です。

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Googleのジャンボードは、複数人が同時に書き込めたり付箋を貼ることができるため、顧客の行動の書き出しや新しい施策案など付箋で同時に表示させることができるので、オンラインでも議論ができます。

(1)当日の流れ

簡単に、オンラインでカスタマージャーニーマップを作る場合の手順をまとめておきます。

・ZOOMやMeetでオンラインMTGを開始
・司会者がジャンボードを画面共有
・このジャンボードを各自、自分のPCで開いておく
・司会者がステップごとに内容を伝えて、付箋や文字で表を仕上げていく

といった具合です。


(2)事前準備

事前準備として、以下のことは最低限やっておきましょう。

・ジャンボードの背景設定で、上記の表を背景設定しておく
・顧客の感情で使う顔のイラスト画像を事前に画像登録しておく
・ペルソナやスタート地点、ゴール地点などの枠組みを文字入力しておく

といった準備で問題ないかと思います。


(3)タイムスケジュール

カスタマージャーニーマップのSTEP1~STEP6までは、2時間半ぐらいで終了することができました。STEP1~STEP3までは1時間程度です。各STEPの時間配分はそれぞれ20分程度でした。

タイムキーパーを置くことで制限時間が明確になるため、STEPごとに15分目標で進めていき、まとまらない場合は延長して最高でも20分で終わらすといった進め方でうまくいきました。

STEP4からSTEP6までは、1時間半程度かかりました。

私たちの場合、2時間半という枠をメンバー全員で合わせることができなかったため、STEP4~STEP6については、別日にやりました。ただ、そのときも1時間しかMTGの時間がとれず、前回の振り返りもしながらSTEP4~STEP6まで終わらせたので、かなり端折ってしましました。

正直、このSTEP6(新しい施策を考える)については、カスタマージャーニーマップをつくったからこそ出てくるものなので、かなり重要です。できれば、1時間半は取っておくのが正解かと思います。

(4)実施してみて課題となった点

各自でアイデア出しをしてもらうフェイズ(STEP3やSTEP4)は、参加人数が多いと付箋が満載になってしまい、1つ1つの付箋内容を把握するのに時間がかかりました。私たちは6人でやりましたが、できれば3人ぐらいでやっていく方がよいかと思います。

人数がどうしても多くなる場合は、STEP3やSTEP4は、各自で付箋にアイデアを書いてもらうのではなく、司会者がメンバーに投げかけをして、1つ1つ全員でコンセンサスをとって、進めていく方がまとまりやすいかと思います。

STEP5(顧客の感情を考える)については、顧客の行動の情報量に気を付けてください。私たちの場合は全体的に情報が散らばってしまいました。

なぜ情報が散らばったかというと、多人数でカスタマージャーニーマップを作ったため、顧客の行動を多く出しすぎてしまったのです。その結果、顧客の行動が近しいものをグルーピングしていき、それぞれに顧客の感情を設定せざるを得ませんでした。このような状態です。

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本来やらなければならないことは、設定したペルソナがどんな感情の起伏でゴールまで動くのかを観察すべきところを、顧客の行動ごとに設定してしまったため、感情が散らかってしまいました。またジャーニーを作っているメンバーの中には、設定したペルソナではない人の顧客の行動を書いてしまっていたりしたので、余計に顧客の行動と顧客の感情の変化の辻褄が合わなくなるという事態になりました。

このとき、私ともう1名で司会進行をしていたのですが、STEP5でやりたかったイメージとかけ離れてしまい、軌道修正に慌ててしまいました。

またSTEP6は、多人数の場合、ステージごとに担当者を決めて施策を入力をしてもらう方が効率的でした。私たちは全員でネガティブになっている人の感情をひっくり返すためのアイデアや施策を考えていたので、大きく時間をロスしました。

以上がカスタマージャーニーマップの具体的な作り方とオンラインでやる方法、並びに注意点です。サクセスをやっていて顧客の動きを知ることやメンバー間で共通認識を持つことは非常に施策出しで重要になったと実感しているので、ぜひ試してみてください。