CSキャリア”インタビューリレー”第十九弾
これまでの成功体験と自己分析から「自分に合っているのはカスタマーサクセス」という想いで異動を願い出て、CSのキャリアを歩むことになった尾田(おだ)謙真さん。
現在は株式会社CareMakerでカスタマーサクセス責任者をされている尾田さんの仕事内容やキャリアチェンジのきっかけ、「CS業界を盛り上げたい!」という熱い想いについてお話を聞いてきました!
はじめに
-こんにちは。今回は、株式会社KOMMONSが企画する”CSキャリアインタビューリレー”の第十九弾です。
株式会社KOMMONSは、カスタマーサクセスに特化したサービスを提供する会社です。企業向けのカスタマーサクセス支援サービスやカスタマーサクセスを職業とする方たちのコミュニティを運営しながら、カスタマーサクセスの方たちが自信を持って働ける世界を目指しています。
インタビュー内容
【1】尾田さんのご経歴
新卒でHR系SaaS企業で営業を経験後、EC系SaaS企業に転職。
新規営業として入社後、自ら願い出てカスタマーサクセスへ異動。
その後、新卒で出会った先輩との縁もあり株式会社CareMakerへ入社。
現在はCS責任者を務める。
カスタマーサクセスを盛り上げることをライフワークとして掲げ、日々つぶやくSNSはこちら
【2】超高齢化社会に挑む現職に出会うまで
尾田さん、本日はよろしくお願いします。最初に自己紹介をお願いします。
大阪出身で大学までは関西で過ごしていました。現在はCareMakerというスタートアップでCSの責任者をしています。プライベートでは最近、子供が生まれて一児の親になりました。趣味は娘の成長をみることと、サウナでリフレッシュすることです。
今回のインタビューを受けてくださった背景を伺えますか?
そうですね。今後やっていきたいことや自身の想いとして、CSを盛り上げたいというのがまずありました。
なので自分で発信できることは些細なことでも色々と、想いや仕事上のプラクティスも含めて、できる限り発信していこうと考えていたところに機会をいただけたので受けることにしました。
熱い想いをお持ちなんですね!素敵です。これまでもCSをされてきたんですか?
現在は3社目なんですが、新卒でHR系のSaaSを提供している会社に入り、2社目でEC系のSaaSを提供している会社に入った後、今が3社目です。
すべてSaaS系の企業で経験を積んできて、職種は前の5年が営業で、直近1年半くらいがカスタマーサクセスなので、営業の方が長いですが、直近はCSに重きを置いたキャリアですね。
現職の会社とサービスについてもご紹介いただけますか。
株式会社CareMakerは、医療介護領域のバーティカルSaaSを提供しているスタートアップです。新卒で入社した1社目の会社で出会った先輩が起業して、今代表をやっています。
サービスは社名と同じCareMakerというSaaSプロダクトを提供しています。
具体的には訪問看護や訪問介護の領域で、AIを使って訪問ルートを最適化するシステムを主軸にしつつ、業界向けのCRMやBIといった専門性の高い方向けの管理ツールをコンパウンドに展開しています。
サービスを本格的にリリースしてからまだ2年弱くらいしか経過していないので、まだまだこれからのフェーズです。
少子高齢化・超高齢化社会においてはすごくいい着眼点のサービスですね。
自宅で最期を迎えたい高齢者の方は過半数以上いると言われています。ですが最期を自宅で迎えるよりも、病院で迎えるケースや、親戚がおらず施設に入った後に迎えることも多いのが実情です。
本当は住み慣れた自宅で最期を迎えたいけれど、現実はそうなっていない実態があり、そうした高齢者の課題に対しても切り込んでいる会社ではあります。
【3】今がCS主導で事業開発にコミットできる面白いフェーズ
現職のCS体制や、責任者としての役割・業務内容についてもお聞かせいただけますか。
チームは自分を含めて3人いますが、スモールチームなので分業もしておらず、1社1担当制でオンボーディングからエクスパンションまでをすべて同じ担当がやっています。
自分は責任者としてCSを率いているので、もちろん戦略を考えたり計画を練ることや、チームマネジメントをやっていますが、小規模なのでがっつりクライアントワークもしています。CSとしての現場感を踏まえたプロダクトの改善といった事業開発の部分にも、かなりコミットしています。
プレイングマネージャーとして多忙な日々だと思うのですが、仕事のやりがいや面白さはどんなところだと感じていますか?
2つあるのですが、1つ目は事業開発に大きく貢献できる点です。
特に今のフェーズでは本当に、CSが顧客から最前線で得てくるインサイトをもとにプロダクトを洗練させていくことができるフェーズです。
自分もCSを始めてから特に意識しているのですが、いわゆるプロダクトフィードバックグループを最先端で回すことで、実際にインパクトがある機能開発を実現できていると思います。
あとは機能改善に留まらず、プロダクトフィードバックグループを通して、自社の戦略的なターゲット顧客がどんどんブラッシュアップされてきていると感じます。
そうしたCS主導でプロダクトやターゲットをブラッシュアップできるところは、今だからこそやれる面白さかなと思います。
もう1つは、これもこのフェーズならではだと思いますが、高速でPDCAを回せるフットワークの軽さですね。
自身が責任者だからというのも相まってではありますが、CSの知見としてインプットしてきたことをとにかく自社に落とし込んで検証する取り組みをはじめ、色々なことを次から次へとスピーディにやっています。
自分の体感として1年が1.5年から2年くらい経過しているような濃密な感覚がありますね。もちろん失敗もありますが、日々ブラッシュアップを重ねています。
また、この1年やってきたことの詳細を書いたnoteがあるので、もしご興味がある方がいたらぜひ見ていただきたいです。
【4】相手の視点にとことん寄り添う伴走を編み出した経緯
反対に今の仕事の大変さはどんなところだと感じていますか?
バーティカルSaaSゆえにということだと思いますが、これも2つ思い当たることがあります。
1つ目はドメインの解像度ですね。自分の経験がないので、根本的に努力して理解していく必要があります。
ITコンサルタントのような感じで、色々なお客様の現場に足繫く通っては、As isの業務の棚卸からTo beとなり理想の整理を繰り返すなかで、自然と解像度が上がってきたと思います。
具体的には、一週間くらいずっとお客様の現場に滞在し続けるようなこともあります。
横にいるだけではただ邪魔なだけなので、プロダクト以外の部分で、例えばPCの操作やエクセルを教えることでも、何か自分が価値貢献できる部分を探してバリューを出しながら、代わりに仕事をみさせてもらうということをしていました。
もう1つは、レガシーでITリテラシーもあまり高くない傾向が強い業界なので、そうしたお客様に適したカスタマーサクセスとしての伴走のやり方ですね。
自分がペルソナではないなかで、自身のバイアスを外さなければ考えられないのが難しかったポイントです。
具体的には、例えばウェブ会議に参加しても画面共有の仕方がわからなかったり、サービスを利用する以前にコミュニケーションでつまずくことは結構あります。
自分がいつも通りにやっているとお客様の視点に立てないので、お客様の属性をしっかりと理解し、自分ではないお客様側の視点を意識する部分があるだけでも、だいぶ接し方が変わったと思います。
それこそプライベートでも、正直ITリテラシーが高いとは言えない自分の親にスマホを使いこなしてもらうために意図的に何かを教えたり、そこで得た気づきを仕事に持ち込むこともありました。
例えば、ビジネス用語をまったく使わずに喋ろうと努力したり、電子ファイルも紙で印刷する業界なので、マニュアルを紙で印刷することを前提としたつくりにして送付します。見やすさもそうですが、色を多く使い過ぎると印刷代がかさみそうなので、配色も気を付けますね。
最初からうまくいったわけではなく、やるなかでうまくいかない理由と対応を突き詰めながらアンラーニングしてきた結果ですが、自分のバイアスをできる限り外して伴走するというのを考えるようにはしています。
【5】「自分に合っているのはCS」という想いと成功体験
もともと営業の経験が長かったとのことですが、CSにキャリアチェンジしたきっかけについてもぜひ教えてください。
もともとは営業をしていましたが、前職でも途中で自分の意志でCSに異動したいと願い出てCSをしていました。それがきっかけです。
簡単にいうと、自分は新規顧客の開拓よりも、既存顧客の深耕の方が向いているのではないかという仮説を持っていました。
背景として、新卒で入社した会社はHR SaaSの前の事業としてもともとはインターネット広告の代理店事業が主軸で、自分も4年くらいは広告事業の既存向け営業をやっていました。
この時は新規営業ではなく、自身の担当顧客向けに毎月改善提案をしながら、一緒に顧客の成果に向き合うことをやっていたので、CSっぽいことをしていました。
その時にお客様とのリレーションや、信頼関係を築くというのをあまり意識しなくてもできていて、成果もやりがいもあるという成功体験がありました。当時のお客様でいまだに定期的に家に招待していただいたり、飲みに付き合ってくださる関係性の方もいらっしゃいます。
そうした成功体験が下地にあったので、新規営業と比べた時に既存営業だった頃の方がパフォーマンスが出ていた気がしました。
さらに理由を深堀りしていくと、性格的な強みもあると思っています。
例えば、MBTIがESFJ型で、ストレングスファインダーでも上位が「共感性」や「コミュニケーション」なのですが、総じて、人の気持ちを汲み取ったり、共感するのがうまいということなんだと思います。
寄り添うのが性格上得意なので、自身のやりがいとしても数字が上がる感覚よりは、目の前の人に喜んでもらう感覚の方がやりがいを持てるというのがあり、それはフィールドセールスよりもカスタマーサクセスなのではないかというところに行きつきました。
自己分析をしたらカスタマーサクセスに行きついたということなんですね。
過去の成功体験と自己分析を経てCSなんじゃないかという仮説があり、実際にやってみて天職だなと感じています。
【6】これからもCSをライフワークにしていく
最後に、これから個人としても会社の事業としてもやっていきたいことについて、ぜひお聞かせください。
まず会社としては、CS組織拡大と生産性向上を実現したいと思っています。
バーティカルな業界であり、お話したような顧客属性に対して、いかに工数を抑えた効率的な支援モデルをつくるかということと、それをもとに組織拡大していくというのは、非常に難しいですが大きなテーマだと思っています。
またそれに加えて、CSないしはプロダクト主導で既存顧客の売上を最大化できる組織へと成長させていきたいと考えています。
個人としては、冒頭にお伝えした通り、カスタマーサクセスをライフワークにして、CS業界を盛り上げたいなと思っています。
そうした壮大なテーマに対して、目下自分にできることは仕事における学びをSNSでアプトプットしていくことと、業界を自分一人で盛り上げていくことはできないので、KOMMONSさんもそうですが、一緒に盛り上げていけるような社外のCSの方々と積極的に知り合い、お互いを高め合っていくことだと思っているので、日々地道に活動しています。
素敵なお話ですね。我々もこれを機に何かお役に立てることがあれば嬉しいです!本日はありがとうございました!
さいごに
株式会社KOMMONSでは1,200名以上のカスタマーサクセスが集まる日本最大級のコミュニティ『CS KOMMONS』を運営しています。
イベントや交流の機会、キャリアが広がる機会を多く提供していますので「CSの情報交換をしたい方」、「複業・転職の機会を得たい方」などはぜひコミュニティへご参加ください!
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