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説明上手

連休中、家族でドライブに行った。

運転席に主人。助手席に私。
後部座席に息子達2人が乗っていた。

我が家は車を持っていないので、ドライブに行く時はレンタカーを借りてくる。

11歳のえいじ、8歳のたつのすけ、久しぶりのドライブでとても楽しそうだ。

だが、楽しそうなのもつかの間。
そのうち車内でする事が無くなり、退屈し、そしてお決まりのように始まる

ケンカだ。

いつものパターンだ。

そのパターンを阻止するため、ドライブをする度に、子供を退屈させないためのアイテムが増えていく。

お菓子、ジュース、ぬいぐるみ、本、みんなでしりとりなどのゲームをする、etc

中でも、一番画期的なアイテムはニンテンドースイッチだ。

すごく集中してくれるし、静かになるし、何より構わなくていいから本当に助かる。

ただ、弱点もある。家には一台しかないのである。

当然、2人はスイッチを取り合う。

えいじ「なんで、たつのすけからゲームやるんだよ!

たつのすけ「にいには、昨日先にやったから今日は僕からなの!」

えいじ「は?何意味わかんない事言ってんの?バカなの?」

たつのすけ「バカって言う人が、バカ!」

えいじ「はい、バカって言った!お前もバカ!」 

と言うように、下らない会話が延々と繰り返されていく感じだ。

ゲーム機を頑なに渡さない弟のたつのすけ。

それを見兼ねたえいじは、

えいじ「わかった。どうしてもゲーム貸さないなら、ジュースもおやつも全部食べるから!」

ハッタリではない。

彼ならやる。


食に関する事で、彼に不可能は無い。

家族4人分のおやつを彼なら食すだろう。

私の甘栗、夫の歌舞伎揚も無くなってしまう(涙)


たつのすけ「いいよ!食べれば。」

えいじ「わかった!全部飲んで、全部食べてやる!」


ペットボトルに入ったスポーツドリンクをゴクゴクと飲みながら、

みんなのおやつであるポテトチップスを頬張りながら、

ポッキーを口にねじ込んだ。

正気の沙汰ではない。

いよいよ、たつのすけ個人のおやつであるキノコの山に手を伸ばした。


その様子を見てようやく、兄貴の本気が分かったたつのすけは、

たつのすけ「やめてよ!僕のお菓子食べないでよ!」

えいじ「は?ゲーム貸さない代わりに全部お菓子とジュース飲んでいいって言ったよな?」

そう言って、キノコの山を奪い、食べようとした時だった。


えいじ「‥ゴホッ!ゴホッ!」


むせってしまったようだ。


慌てて手に持っていたスポーツドリンクを流し込む。

えいじ「ゴホッ!ウッ!」

変な所に入ってしまったのか、余計にむせてしまっていた。

涙目にながら、それでもまだ食べようとしている兄を見て、たつのすけが言った。

たつのすけ「お母さんちょっと聞いてよ!大変!」

いやいや、狭い車内ですよ。全部聞こえてますし、見ていますよ。


「僕にゲームするなって言ってるから、怒って!」
「みんなのおやつを食べてるから、やめさせて!」

とか、言ってくるんだろうなと思っていました。


さぁて、どう伝えてくるのかな?


私「どうしたの?」

と、白々しく聞きました。


たつのすけ「にいにが、無理してる。」


アクエリアスを飲んでいたえいじ。

運転しながらコーヒーを飲んでいた主人。

水を飲んでいた私。

「ブフォっ」

全員吹き出した。

本当にこれ以上、無いくらい的確な言葉だった。


その後、

【無理をしていた】事に気付いた兄貴は、それ以上食べる事を止めた。

【無理をしていた】兄貴を労って、
弟はゲームを貸してあげた。

甘栗も歌舞伎揚も無事だった。

みんな、はっぴ〜。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。


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