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限界集落「山古志」の現在地と未来

こんにちは、クリプトヴィレッジのコミュニティマネージャーをしておりますryuと申します。この記事では、山古志がNFTを発行してから約2年が経過したその現在地と未来ついて紹介していきます。また、さらなる挑戦に向けて「ネオ山古志村」の設立を計画しており、その可否に関する投票を実施しています。今までのNishikigoi NFTの取り組みの変遷を再確認しながら、ぜひ投票にご参加ください。

守り続けたい山古志の暮らし

山古志の棚田「響演」Photo by 廣瀨 翔 / Sho Hirose

山古志は新潟県長岡市の山間部に位置する小さな地域です。日本の原風景がそのままの姿で残っており、美しい自然に囲まれています。なお、2005年の平成の大合併により、現在は長岡市の一部となっております。
山古志というのは、元々は4つの村(種苧原村・太田村・竹沢村・東竹沢村)の集合によって発足しました。その地形からか、山古志はもともと自然災害が多い地域でしたが、その想定を超えた新潟県中越地震が2004年10月23日に発生。この地震によって、家が壊れ、電気や水道といったインフラが破壊され、いたるところで土砂災害が引き起こったせいで通行できる道路がなくなり、山古志は完全な陸の孤島と化してしまったのでした。

当時の震災直後

「山が崩れ、道は消えた。」これは山古志の玄関口とも言える復興メモリアル施設である「やまこし復興交流館おらたる」にある言葉です。この言葉が物語るように、まさに自然の猛威は突然にして村を襲ったのでした。窮地に立たされた山古志が出した決断は、全村民の避難。
住民はふるさとから離れ、市街地での3年2カ月の仮設住宅暮らしを余儀なくされました。震災発生時には、約2,200人の住民が暮らしていましたが、避難指示が解除されたあとも、生活拠点を移した元住民の多くが山古志地区に戻らなかったことから、人口は年々減少し、現在は770人ほどになっています。それでも山古志は、現在にいたるまで、歴史的な文化遺産を守り抜き、暮らしを続けてきました。

守り抜く伝統文化と止まらない人口減少

泳ぐ宝石「錦鯉」

山古志というと震災のイメージが強いかもしれませんが、山古志は泳ぐ宝石とも呼ばれる「錦鯉」の発祥の地であり、丘陵地の斜面に広がる「棚田」に加えて「棚池」の景観が有名です。さらには、千年の歴史を持つと言われる国の重要無形民俗文化財の「牛の角突き」でも有名な地域です。
元々、鯉を飼うようになったのは、数世紀前に遡るのですが、棚田に池を作り、食用の鯉を飼ったのがその始まりでした。その後、食用鯉から錦鯉に鑑賞魚として性質を変えていき、世界にその愛好家がいて山古志を代表する産業になっています。
しかし、そんな錦鯉の養鯉業も、地震によって壊滅的な被害を受けました。養鯉池の多くは壊れてしまい、水が涸れ、電気の供給がなくなったために残った池でも酸欠状態となり、ほとんどすべての錦鯉が死んでしまったという状況であったと言います。

牛の角突き

また、牛の角突きに関しても、地震で牛舎の下敷きとなり死んでしまった牛、地震のショックによって闘争心を失ってしまった牛がたくさんいました。震災前には約80頭いた牛たちですが、再び牛の角突きに戻れたのはその約半数だったそうです。
村の伝統文化は壊滅しかけ、人口は年々減少し、高齢化は進行していく。このままでは村が消滅する可能性すらあったのです。その中で、2007年に住民主体の地域づくり団体「山古志住民会議」を設立し、村の復興や地域課題の解決に住民とともに一心不乱に取り組まれてきました。山古志の暮らしを紹介する動画や冊子の作成、特産品の魅力を伝えるイベントを開催するなど移住者の増加を目指しました。
しかし、山古志の人口は減りつづけました。

Nishikigoi NFTの発行から山古志DAOへ

メタバース山古志

そこで、山古志ではこの人口減少の問題の突破口として、あえて山古志自体を開放することにしました。NFTというテクノロジーを活用し、国や物理的制約を越えた共感者コミュニティを形成することにより、山古志の存続を目指すことに決めたのです。これがより世界に開かれた新しい山古志への挑戦です。長く続く文化を守り抜く山古志住民とそこに集まるデジタル住民の知恵やネットワークの融合はまさに前代未聞の試みでした。

Nishikigoi NFTの配布の様子

第一弾のNishikigoi NFTが2021年12月に発行され、ついに「デジタル村民」が誕生しました。Nishikigoi NFTは「関係人口の最大化」が目的です。しかし、デジタル村民だけではこのプロジェクトは成立せず、リアルの山古志住民の方々との連携が最も重要です。
そこで、山古志住民へのNFTの無償配布がデジタル村民から提案されました。デジタル村民に賛成か否かの投票を行ったところ、賛成が100%となり住民への無償配布が実際に行われました。NFTを保有するためのウォレットの開設からサポートを行い、なんとDiscordのコミュニティにまで山古志住民が少しずつ入ってくださるようなったのです。
そんなリアル・デジタル村民のコミュニティはいつしか「山古志DAO」と呼ばれるようになっていきました。

試行錯誤の連続、Nishikigoi NFTの新しい挑戦

私たちの新しい挑戦は、ありがたいことに多くの方々からの反響をいただき、徐々に広がっていきました。一方で、持続的な運営を行うには様々課題があり、葛藤の日々でした。
そこで、新しい枠組みの提案がデジタル村民向けに提示され、採択されることになりました。その詳細に関しては、以下のnoteをご覧ください。

その結果、Nishikigoi NFTは日本各地に点在する貴重な文化や地域の営みを世界とつなげ、発展させるエコシステムに進化することとになりました。そのために、新たな地域でのローカルDAOの立ち上げを積極的に取り組んでいきます。一方で、山古志DAOでは地域とのより密接な連携を図り、山古志を語り継いでいくためのより楽しいコミュニティ作りを目指していくことになりました。
その後、山古志DAO内では暫定的に「評議員会」が立ち上がり、有志によって山古志DAOの継続的な運営について議論がなされてきました。この議論は、約一年に渡って行われ、よりよい山古志DAOの形を模索してきました。この間にも、多くのメディアに取り上げていただき、第一弾を発行した2021年から今年で約2年の月日が経過しようとするなかで、多くの人が山古志DAOを知ってくださいました。そして何を活動するにも、いつもそこにはデジタル村民の皆さんのサポートがありました。
2023年の8月には第三弾のNFTの販売を迎え、現在は約1,600人ものデジタル村民の仲間がいます。

3種のNishikigoi NFT(左からOkazz, raf, ykxotkx)

リアルとデジタル空間の距離

驚かれる人も多いのですが、なんとNishikikigoi NFTではデジタル村民の約3割が実際に山古志に訪れています。先日は、牛の角突きの千秋楽を迎えたのですが、実際に「牛の角突きファンクラブ」というサイドプロジェクトがコミュニティ内で立ち上がり、現地でも盛り上がりました。リアルとデジタルの距離が徐々に近づいてきており、さらには豪雪地域として知られるこの山古志に住む高齢者の家の雪かきを手伝ってくれています。

雪かき道場

地位や立場、年齢や性別に関係なく、「想い」に共感した山古志内外のメンバーが集まり、情報を共有し、相談をし合いながら、共にチャレンジしていく。Nishikigoi NFTを通してお互いに、「仲間」として認め合い、信頼関係を築いていく過程の葛藤や嬉しさ、気づきも体感し合ってきたこの経験が山古志にあるからこそ、デジタルとリアルの融合に挑戦できるのだと感じます。
山古志住民会議代表の竹内さんを含め、Nishikigoi NFT運営チームが葛藤する日々もありましたが、そこにはいつもデジタル村民の皆さんのサポートがありました。だからこそ、今日にいたるまで、強く前に進むことができたのだと思います。
そして、この限界集落の山古志は、新たな地域のかたちに向けて、一歩前進しようとしています。── それが「ネオ山古志村」です。

「ネオ山古志村」の設立へ

山古志DAOは「ネオ山古志村」へと名称を変更し、新たにスタートをきりたいと考えています。これは、「山古志の原点に戻るための、山古志DAOの新たな出発」です。ネオ山古志村という名称に変更することで、「DAO」という言葉をなくし、最新のテクノロジーがわからなくても、誰しもが理解し参加できる「地域のかたち」を示したいと考えています。
ネオ山古志村の構想は、中越地震まで遡り、それは震災をきっかけに「山古志の思い描く地域の姿は何なのだろうか」と振り返った結果でもありました。
「やまこし夢プラン」── 当時、山古志住民と共に作成した山古志のグランドプランには「将来の山古志はこのようにありたい」という山古志の未来像が思い描かれていました。それは、山古志住民が震災を経験し、合併を経験してなお、「帰ろう山古志へ」という合言葉をもとに「もう一度村を復活させたい」という山古志住民の強い想いによって描かれた未来地図でした。「ネオ山古志村」とは、山古志に住む住民とその暮らしと文化に共感する住民とで作る新たな村です。

100名以上の山古志住民が賛同してくれた「シール大作戦」

そんな想いによって実現したNishikigoi NFTプロジェクトの約1,600名のデジタル村民の皆さんは山古志住民でなくとも、山古志を思ってくださる「仲間」です。そしてこのネオ山古志村は山古志の住民とデジタル村民とで一緒に歩んでいくものです。
これまでも山古志住民とデジタル村民がお互いを知り、共感し、一緒にものごとを創る機会がうまれてきています。先日はおらたるにて、100名以上の山古志住民が応援の意思を示してくれたのは、私も一人のデジタル村民としてとても嬉しい出来事でした。
最後にはなりますが、ネオ山古志村を設立することで、より一層山古志住民とデジタル村民が共に山古志の一員として、山古志を未来に繋いでいけるような体制をつくっていきたいと考えております。

以下、投票に関する詳細です。


※「ネオ山古志村」および「ネオ山古志村世話人DAO」の設立に関する投票が行われています。

■ 投票概要

「ネオ山古志村」および「ネオ山古志村世話人DAO」の設立可否

■ 投票資格

  • Nishikigoi NFT保有者、または山古志地域住民

■ 投票期間

11月13日(月) 0:00 - 11月19日(日) 23:59(日本時間)
投票はSnapshot(分散型投票システム)によって行われます。

■ 投票リンク

投票のリンクはこちらです。

*投票の手順はこちらをご参照ください。
DAO投票ツール「Snapshot」の使い方 とNishikigoi NFTでの投票手順

■ 提案内容

山古志地域住民の暮らし、精神や価値観に共感する人々とともに、共感に基づいたコミュニティ「ネオ山古志村」を形成し、山古志地域の存続を目指したい。

  • ネオ山古志村の設立及びその規約の制定

    • 「山古志DAO(仮)」を「ネオ山古志村」という名称とし、Nishikigoi NFT保有者と山古志地域住民が参加できるものとする。その規約を「心得」とし、以下に添付する。

  • ネオ山古志村をサポートする「世話人DAO」の設立及びその規約の制定

    • ネオ山古志村とは別に、ネオ山古志村世話人DAO(通称:世話人DAO)を設立し、世話人DAOはネオ山古志村の運営についてのサポートを行う。その規約を「オキテ」とし、以下に添付する。

上記2項目において賛成が過半数を上回る場合には、この提案は可決され、実行に移されます。

■ 資料「ネオ山古志村の心得」

詳細につきましてはこちらの「ネオ山古志村の心得」をご覧ください。

■ネオ山古志村に関する質問会の録音

こちらは11月12日に行われた今回の投票に関する質問会のアーカイブになります。

皆さんの1票をお待ちしております。

■公式リンク

Nishikigoi NFT公式ウェブサイト
Nishikigoi NFT公式X(旧Twitter/英語)
Nishikigoi NFT公式X(旧Twitter/日本語)
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