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第五話 リバポーのお財布事情① 「襲撃」

今や世界一との呼び声高いこのクラブ。オーウェン、ジェラード、リーセ、トーレス、バロシュ、チャビ・アロンソなどなど、個人的にも好きな選手が多く在籍していました。昨年度は稀に見る超ハイレベルなデッドヒートの末Man Cに破れ、プレミアは2位。しかしCLを取り、今年度はプレミアで首位を独走、クラブW杯も獲得。南野選手の電撃移籍で日本でもフィーバーが起こっとるようです。話変わって10月末に実施したファイナンスの授業課題、12月31日提出のためしばらく放置してました。完成したので内容整理も兼ねてご紹介します。スイッチ入ってからの自分は我ながらすごい集中力を発揮するのですが、スイッチ入れるまでは雑念・邪念に襲撃されクズ人間になることもしばしば…。反省。

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<課題概要>
・欧州5大リーグから1チーム選び
・そこのCFOアシスタントになったつもりで20/21シーズンのP/L予測
・重要なポイントをまとめ、その予測を導く方法も示せ

3週間前に課題に取り組み始め、Liverpoolをチョイス。ついでにリバプール行きを決め航空券もゲット。南野移籍決定。勝手に興奮してました笑 

そういや、11月に実施したファンエンゲイジメントのイベント(オランダ校と合同)ではLiverpoolのマーケティング&メディア部門のディレクター、Markus Breglecさんの講義を聞きました。

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クラブの好成績に頼るだけではなく、データを駆使し、セグメンテーション(市場・顧客の細分化)を徹底、無駄のないサービス提供を実施しているというのが印象的でした。では実際、このクラブの経営状況はどうなっているのでしょうか?現在手に入れられる情報は2シーズン前まで(17/18シーズン)。主に以下を参照し分析しました、ネット検索で見つかります。

・Deloitte, Jan. 2019, “Foot Ball Money League” 
・Price of Football, “Liverpool 2017/18: Toxteth O’Grady”, 15TH FEBRUARY  2019 BY THE BARON
・The Liverpool Football Club and Athletic Grounds Limited, Annual report  and financial statements 14-15 ~ 2017-18 

過去(14〜17/18)の財務諸表分析 ①P/L:損益計算書

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<基本情報>
・15/16シーズンの途中に監督がRodgers→Kloppに
・14/15シーズンに£100M超の補強も振るわず15~17シーズンは補強消極的
・16/17シーズンにCL出場権を3年ぶりに獲得
・17/18シーズンにCL決勝進出(カリウスがやらかした試合)
・主な移籍;
    IN(14/15 Lovren, 15/16 Firmino, 16/17 Mane, 17/18 Van Dijk, Salah)
    OUT (14/15 Suarez, 15/16 Sterling, 17/18 Coutinho)

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<分析①:1£=135.5円、1€=121円換算、M=百万>
P/Lは1年間の商売の結果(売上は?コストは?利益は?)=収益性を測る
・クラブの戦績向上とともにRevenue(売上)も向上
 → 17/18シーズンは14/15シーズンより£157M[213億円]のRevenueアップ
 → CL決勝に進んだ17/18シーズンは前年より£90.6M[108億円]アップ
 ※ 欧州トップリーグで上げ幅ナンバー1

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<分析②>
・選手への支払い給与も上昇(17/18シーズンは13/14シーズンの倍!)
・売上(revenue)アップにより給与の売上に対する比率は抑えられている

過去(14〜17/18)の財務諸表分析 ②B/S:貸借対照表

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<分析③>
B/Sは財産状況です(現金なんぼ?土地は?借金は?)= 安全性を測る
→ P/Lの結果が良かろうと元の貯金が無い、借金だらけではどうでしょう?
Current Assets + Fixed Assets(資産)
 = Creditors(借金)+ Net Assets(純資産)

 [資産 − 借金 = 自由に使える資産]ってイメージです。
Intangible assets(無形固定資産)≒ 所属選手の購入総額 ≠ 市場価値
Short-term creditors:1年以内に返済予定の負債
Long-term creditors:1年より後に返済予定の負債 

上記の言葉だけひとまず押さえてください。
・Intangible assets 増 → 高額で選手を購入・多くの選手を購入
・Creditors 増 → 選手購入費増。でも現金ですぐ払えないので待ってね

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<分析④>
Current ratio(流動性比率)= Current assets / Current creditors
→ すぐに使える資産(現金など)で1年以内の借金に対応できるかを測る
    100%以上が望ましいが、全て100%を切っている(安全性が低い
 ただし、成績向上→利益を得る→現金も増えるで徐々に改善されている

ざっくり見てきましたが、みなさんご存知の通りクロップ就任以降、マネ、サラー、ファンダイクと大型補強し、お財布事情が改善してきたのはついこの2年程なんです。しかし、いまだに安全性が高いとは言えない。それでは今後どのようにLiverpoolは対応していくべきなのか?現状の問題点と今後のお財布事情の考察は次回のnoteでご紹介します。最後にその考察の際、私が使用したデータを添付しておきます。超お暇な方は正月休みにこの課題を仕上げてみてください。そして面白い分析・指摘等あれば是非お伝えください。パクります(笑)ってことで書き納め、良いお年を。Feliz Año Nuevo!

<資料集>

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