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第十七話 Espai Barça プロジェクト①;驕れる者は久しからず 「不信」

メッシとアビダルの確執やバルトメウがメディアを使って選手の印象操作を行っていた(?)など、ここ最近良い噂を聞かないバルサ。コロナショックの影響で選手とのサラリー交渉でゴタゴタがあったとかないとか。さらに泣きっ面に蜂のこのニュース。いい加減落ち着いてくれ、そして安心して残りの授業と最終プロジェクトをさせてくれ…。みんなが疑心暗鬼、誰も信用できない環境…。精神衛生的に良くないですね。経験上こういう時は「結果を出す」「抜本的な改革」「解体」しかないと思います。

ビジネス臭=スポンサーとお金重視

バルサにとって大きな改革があり、転機になったのは間違いなく2003年でしょう。ジョアン・ラポルタが会長に就任、ライカールトが監督に。そして何よりもチキ・ベギリスタイン(テクニカル・ディレクター)とフェラン・ソリアーノ(副会長)のこの2人の存在が大きかったと思われます。

ソリアーノによると、この著書のタイトル通り、ゴール(結果)を導くためには運ではなく、努力し、経験や理論に基づき実践することが不可欠。これまでも、クライファート始め多くのオランダ代表、リバウドにリケルメ、サビオラなど優秀な選手がいたにもかかわらず結果が出ず、負債も€186M(200億円以上)に膨れ上がっていた状態。しかし、給与体制や人材登用基準、またマーケティング戦略の見直し、そしてチームコンセプトの再定義を行い見事4年で再生。05/06シーズンには14年ぶりの欧州制覇。その年はロナウジーニョ、エトー、デコなどを擁しリーガ、カップ戦も含め3冠。その後ペップを迎え、メッシ、チャビ、イニエスタ、「ティキ・タカ」で知られる黄金期に。今年1月のDeloitte Football Money Leagueではクラブ収入世界一にもなり、名実ともに世界一のクラブになっている。

みなさんがご存知のこのバルサの輝かしい成功は、実はこの15年ほどに生み出されたイメージで、それまではけっこう苦しんでいたんですよね。ただ、始めに述べたようにここ最近どこか歯車が噛み合っていない様子のバルサ。バルサ関係者によると、現在大きなチャレンジが3つあるという;

① Espai Barca
② 選手がフットボール以外の活動により貢献すること
③ メッシを保有し続けること

これらの目的は、安定した収入を得ること(計算できる資産運用)だと考えられます。ベギリスタイン、ソリアーノの2人は現在マンCにおり、ペップもそこに加わりマンCの黄金期を生み出していることを考えると、やはり成功にはメソッドや理論があるように感じます。ただ、運の要素も無視できないのが正直な所でしょう。ベッカム狙いだったがレアル・マドリードにかっさらわれてロナウジーニョにシフトチェンジ。ライカールト後任をモウリーニョではなくトップ経験のないペップに賭けたことなど。今までそういう運にも恵まれ大きな成功を収めたきたバルサ、しかし現在は運に頼らず自分たちの手でコントロールできる方法で収入を得ようと試みています

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18/19シーズンにおけるバルサの収入に関する情報です(deloitte Football Money Leagueより引用)。円グラフ黄色のCommercialが一番大きく、マーケティング・ブランディング担当によると、バルサは今ここに力を入れています。スポンサー収入やグッズ販売などによる収入を指し、これらは自分たちの戦略によって比較的コントール・計算できる収入です。これは前年の17/18シーズンより€60.9M(19%)増。2位のレアル・マドリードより€83.5Mも大きい。一方で試合結果に大きく左右される、不安定な放映権収入(円グラフ緑)への依存を減らす方針。バルサは100年以上ユニフォームに企業名を入れないことを貫いてきました。初めて名前が入ったのは2006年、胸にUNICEF(企業ではないが)の名前が刻まれたのは有名です。それ以降はカタール財団、カタール航空、そして楽天と至ります。バルサは「クラブ以上の存在」としてどこかビジネス色を敬遠していた節がありますが、近年の移籍金・選手給与の高騰もあってか、バルサにビジネス臭が漂い出しました。そのビジネス臭というのはスポンサーとの関係を重視したCommercial収入への依存を高める政策と考えます。クラブ経営を安定させるために、安定した収入を得たいと考えるのは当たり前の流れかなとは思います。ただ、ファンのクラブではなくスポンサーのクラブという本末転倒の政策と捉えられかねないため、ソシオや経営陣にも受け入れられない人が多くおり、今回のような幹部の退職があったのだと思います。レアル・マドリード =「勝利至上主義」ならまだしも、バルサ =「クラブ以上の存在(美しいフットボールかつ勝利&ブランドの美しさ)」の中でどういう舵をとるか?バルサ経営陣は非常に難しいゲームを強いられています。

Espai Barça

大学の最終プロジェクトは日本の日建設計が担当する新カンプ・ノウ改修工事も含む、バルサが保有する土地やレス・コルツ地区の開発計画に関わります。概要はこんな感じ;

また、大学のプロジェクトはこんな感じ;

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現在カンプ・ノウとパラウ・ブラウグラナ(室内コート)の間にミュージアムやメガショップ、カフェやちょっとしたフードエリアなどがあります(上記写真の黄色い枠のエリア)。今回のプロジェクトでは、そのエリアでのファンに対するホスピタリティの充実やスポンサー誘致など、マネタイズ戦略を考案します。新カンプノウ含むこのEspai Barça計画の第一陣として昨年9月にEstadi Johan Cruyffが完成しました。

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収容人数6,000人のコンパクトなスタジアム。非常にキレイでピッチとの距離が近く観戦しやすい作りになっています。女子チーム・バルサB専用スタジアム。これを体験すると、やはり新カンプノウやその他の施設への期待は自ずと高まります。

今後、周辺の通りの改修、カンプノウ横にバルサをテーマとしたホテルやオフィス、そして新パラウの建設などが予定されています。

上述した最近のコマーシャル主義への転換(カタール航空スポンサー辺りから)はこの15年の遺産やメッシの恩恵を受けての驕りであり、ファンやソシオを無視したものだと感じていました。が、このEspai Barçaプロジェクトはしっかりと地域に根ざし、現状に甘んじるのではなく、今後も発展していこうという前向きな姿勢だと感じています。

次回はもう少しバルサのホスピタリティ、ファンサービスをリサーチし、まとめる。さらに、自分が担当することになったプレミアクラブのスタジアム運用方法やホスピタリティ・ファンサービスをリサーチし、バルサのものと比較したいと思います。

ロックダウン生活1ヶ月、さすがに飽きてきましたね…。ずっとパソコンに向かって、本読んでいるだけでも体にこたえます。粛々とやるべきことをやるにはもってこいですが、刺激が欲しい…。マイブームは日光浴。朝起きて活動していますが、昼寝 or 夕方寝してしまい体内時計が乱れています。最後は愚痴っぽくなってしまった。今週はもうちょいYoutubeダラダラ時間を削りたい!それではAdéu!

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