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『日本の「ゲームセンター」史』の紹介と感想


『日本の「ゲームセンター」史』 川﨑寧生・著、2022年3月発行

日本においてゲームセンターという施設がいかにして根付き、時代ごとに
どのような変貌を遂げていったかを調査し、分析した本です。

学術研究書という事もあり少々お堅い内容ではありますが、一般的な
「ゲームセンター」だけではなく、ビデオゲームを設置した喫茶店や、
子供向けのアミューズメント施設、駄菓子屋といった多様な店舗にまで
調査・分析を行っている点が意欲的です。

ゲームセンターが80年代に受けた風営法などの逆風も、ゲーム業界にとって
必ずしもマイナス面ばかりじゃなかったのではないかという捉え方をして
いたり、ゲームの設置された喫茶店および駄菓子屋の激減理由も単に喫茶店
文化の衰退や少子化といったシンプルな結論に終わらせていない点など、
可能な限り調べて分析しようという姿勢が見受けられます。
それでもまだ検討課題は多いとのことで、引き続き研究すべきテーマを
挙げて締めくくっており、今後の活動にも期待したいところです。

かつてビデオゲームはあらゆる場所で遊ぶ事ができました。
ゲームセンターに風営法が適用される前の80年代前半ごろ、うちの近所には普通の民家にテーブルゲーム筐体をずらりと並べたゲームハウスともいうべき場所が何軒かあり、子供達のたまり場となっていました。
畳の敷かれた和室でムーンクレスタやクレイジークライマー等をプレイする光景はいま思い出すと少し異様でもありますが、可能であればそういった当時ならではの「ゲームセンター」の記憶も後世に残していけたらいいなと本書を読んでいて感じたのでした。

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