高市早苗大臣ファンのおもしろ発言にツッコミを入れてみた


こんばんは、烏丸百九です。

本日は、少々遅きに失した感じもありつつ、相変わらず国会とネット(のごく一部)で盛り上がりを見せている、自民党の高市早苗経済安全保障担当大臣による、所謂放送法文書」問題について言及してみます。

コニタン信者ではない私の目から見ても、主張が二転三転を続ける高市大臣に比べ、本件についての小西ひろゆき議員の追求は終始論理的に一貫しており、予め総務省の許可を取った上での文書の公開に踏み切ったという手際の良さも含めて、これはいくらなんでも高市支持派も観念するだろう……と思っていたんですが、私の考えが甘かったことを思い知らされるここ数週間でした。

ということで、今回は(ツイッターで見つけた)高市ファンのおもしろ発言に、小西≒総務省側の主張の論理整合性を認める立場から、色々とツッコミを入れてみたいと思います。


1.『通話内容記録が本物だったら総務省の役人の首が吹き飛ぶぞ!』

はい、所謂盗聴陰謀論の典型的な例です。

このツイートは3月4日付けですが、今回の「文書騒ぎ」ではかなり早い段階から「放送法文書の一部は高市大臣の会話を盗聴して作られている」という疑惑が流布され、「文書自体が小西議員の捏造」との主張と合わさって、「総務省もしくは小西が、高市を貶めるために彼女の通話を盗聴した文書を作成した」などという陰謀説が形成されました。

この説の根拠は、高市大臣が「私の電話を誰かが盗聴でもしているのか(そうでないと書きようがない)」とコメントしたことによります。

「どういう作り方をしたらあんな変な文書ができるのか。私のしゃべり方とも全然違う」
「日時不明で私が安倍首相と(放送法の解釈について)会話したと書いてあるが、私の電話を誰かが盗聴でもしているのか。驚くべき内容だ」

夕刊フジ - 辞職覚悟の高市早苗氏 内部文書めぐる安倍氏との電話会談内容「捏造だ」 立民・小西議員の追及を否定「私のしゃべり方と全然違う!」”より

で、この陰謀説が流行した理由なんですが、はっきり言えば「高市擁護派が肝心の文書に目を通していない」ことが原因だと思います。(註:一応公平に記しておくと、文書の一般公表は7日なので、高市発言とは3日ほどのタイムラグがあります)
だから、「高市大臣と安倍元総理とが電話した情報が書かれている」などというマスコミ報道のみを聞いて、「誰かが盗聴したのでは!?」と疑ったわけです。

しかし、実際の文書に目を通せばこれが誤解である事は一目瞭然です。総務省が発表した文書(註:PDF)の70ページを見ると……

「政治的公平」に関する放送法の解釈について(磯崎補佐官関連) ”総務省HPより。「政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話」とある。

上の画像の通り、文書の内容は「総務省大臣室の平川参事官(当時)が、安藤総務局長(当時)に「高市大臣が安倍総理に電話したよ」と報告した」というものであって、常識的に考えれば、高市大臣本人かその側近からそういう話を聞いたのでそれを上司に報告したという、ただそれだけの内容でしかありません。当然、日時不明でも特に不自然ではないですし、「陰謀」の関与する余地もないでしょう。

ところで、問題のツイート主はプロのラノベ作家らしいのですが、このツイート自体が壮大なフィクションだったというオチではないんでしょうか。

2.『ChatGPTに聞いてみたら小西の方が捏造してるって言ってた』

ChatGPTの方が一部の人間よりも賢いのはまあ事実かと思いますが、だからといってテキトーな入力でAIに文書の真偽を判断させるのは(ジョークのつもりであっても)かなり面白い行動と言わざるを得ません。成田悠輔じゃないんだから……。

AIが実際に「報道」の内容を読み込んでいるのかは不明ですが、先に挙げた夕刊フジをはじめ、マスコミの報道もかなり偏っていた証拠にはなるかも知れません。

3.『真偽デタラメな行政文書を作る話はムネオハウスの時からある』

プロの学者である木村先生に向かって何故超絶上から目線なのか聞いてみたいですが、プロフィールに「シス日本人。トランス仏教徒」とか記載している人に何を言っても無駄かも知れません。

一応ツッコミを入れておくと、いわゆる鈴木宗男事件で問題になったのは、鈴木失脚を狙ったと思われる外務省が「共産党に国会で質問してもらいたい事柄に関する(外務省の)秘密書類を、質問当日の朝、議員会館に届けた」という事実であり、秘密書類そのものが「捏造」だったわけではありません。

問題の構図が似ていることをして、今回の小西議員(総務省からのリークを認めている)を非難することはまあ可能だと思いますが、その場合「鈴木宗男≒高市早苗」となり、間接的に高市大臣をディスっているような気がしますが……。

4.『「万死に値する」は「一万回死ね」と同じ』

愛国者気取りのくせに文章能力に問題を抱えているのはネトウヨあるあるですが、「万死に値する」とは「何度も繰り返して死ぬくらいの責め苦を負うべき、そのくらい罪深い」という比喩表現であり、「死ね」とストレートに言っているわけではありません。むしろそれよりも重たい表現の言葉だと言えるでしょう。

5.『大臣レクはどうせ非公表なので礒崎を押さえるために総務官僚がでっち上げた』

当初、高市大臣は放送法に関するレクの存在自体を全否定していたために、「レクが存在しないのは確定なので、何故でっち上げの文書が出来たのか?」を考察する人たちが大量に登場しました。

note冒頭の小西議員の動画にあるように、現在では高市大臣本人すらレクがあったこと自体はそれとなく認めているわけですが、「レクは存在しない!」と確信した高市サポーターズの皆さんは珍妙な論理を展開してきます。その一つがこれです。

しかし残念なことに、総務省は当該文書を公表した3月7日の時点で、文書は省内で広く共有されていたものだと認めています。「非公表」とはあくまでも省外秘だったということで、少なくとも作成に関わった官僚はアクセス可能だったはずです。

RT元の人の「レクを捏造して何の得があるのか?」という疑問も尤もなもので、モリカケ問題じゃあるまいし、わざわざ政治家を説得するためだけに自身の役人生命をかけて捏造文書なんて作る動機がありません。そもそも「捏造」と主張しているのは高市大臣ただ一人です。

6.『テレビに政治的介入をするなと言っておきながら、自分はテレビに注文つけるんですか?w』

この人は割と悪質なトロールなので、解っていてわざと言っている可能性もあるんですが、「政府の閣僚が政治的公平性について一番組レベルで判断し介入する」ことと、「いち野党議員が放送法事業者に「まともな人材」を求める」ことを同列視するのは詭弁にしてもバカっぽいのでやめた方が良いかと思います。

7.『文書に記載された通りの大臣レクがあったとは誰も言っておらず証明もされていない!』

現在の高市大臣答弁に近いのがこのツイートですが、要するにこれ、「総務省が」「総務省の管轄によって作成した」「行政文書の内容が」「不正確」「真偽不明」だと言ってるわけで、日本国の行政遂行能力そのものを疑っていると言われても仕方ない内容です。

この人達にとっては、高市大臣に逆らう悪しき総務省がどうなろうと知ったことではないのでしょうが、官僚が作る行政文書すら正確性に信用がならないということになると、国家そのものの信用失墜と共に対外的にも様々な問題が続発するのが目に見えているので、そうした極端な左翼的主張は慎んで頂きたいと思います。

8.『名無し官僚の発言日時不明不明確な証言』

7のツッコミと被りますが、(総務省が自民党に忖度しているのか、曖昧な答弁を続けているのはさておいても)文書一つ一つに作成日や作成者が記載されていないとしても、当該行政文書は手続きに基づいて保管され、総務省内で共有されていたものであり、「5ちゃんねるの名無しさんが作った適当な怪文書」では断じてありません。こういうミスリーディングな書き方で行政の信用を貶める極左デマゴーグには警戒すべきだと思います。

しかし、この手の人々にとって「テレビを通じて多くの国民が見た」ことって本当に重要なんですね。LGBTQ差別の問題でも感じるのですが、何故この手の人たちは『テレビで見たことが真実』だと認識してしまうのでしょうか。
安倍政権と言えば教育基本法の改悪でも悪名高いですが、このツイートに大量の「いいね」が集まる様には、まさに「教育の失敗」が象徴されているように思いました。

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