バルコニーの奥行きについて
建築設計者である私が未来のためにできること。
それは今ある住宅を少しだけ良くしていく。
たとえばバルコニーという空間があります。
東京だとほとんどの人がバルコニーを物干し以外で使っていないのではないでしょうか?
わたしは400棟以上住宅をつくってきましたが、これを強く感じています。
日本では建ぺい率の緩和で跳ね出し1mを超えなければ建築面積に含めなくてよいという法律があります。
この法律を活用してバルコニーを跳ね出し、奥行きの小さいバルコニーが増えました。
そんなバルコニーは外壁の厚みを考慮すると使える奥行きは70センチ程度です。
70センチの奥行きで横に長い空間ですごそうとは思わないですね。
バルコニーは部屋の一部であり自然を感じられる貴重な空間です。
私が設計する場合は奥行きを可能な限り確保するようにしています。
理想は奥行き2m以上。
取れないときは1.5m以上。
それでも難しい場合はせめて1.2m程度は確保したい。
1.2mあればちょっとしたテーブルや椅子を置けたりします。
これは某ホテルのバルコニーですが、温泉につかれる湯船はおいといて、奥行きがあるのでのんびりすごすことができました。
やはり奥行きは大事です。
もう一つ重要なポイントとして、リビングの延長空間としてつくることです。
バルコニーを作ると防水上の理由でまたぎができます。
人間心理的にそういうものがあると隔たりを感じて空間の連続性が途切れてしまいます。
なので高さに余裕があるのなら、バルコニーの床を下げてデッキを敷いてリビングの延長空間のようにつくることを推奨しています。
例えばこんなふうに!
こうすることでストレスなくバルコニーに出ることができるので一気に親しみやすくなります。
こちらも余裕があるのなら視線が干渉しないように壁を立ち上げてみるのもおすすめです。
囲われた空間になり、よりいっそうすごしやすくなります。
バルコニーには庇を付けてみてもよいかもしれません。
それだけでバルコニーが更に内部化します。
外部なのに内部のような空間は縁側や庇の下の軒下空間など日本の歴史的な建築でもよく見られます。
広いリビングは確かに魅力的ですが、必要な広さを確保できればバルコニーを魅力的な空間とするのもよいかと思います。
法律を守っただけの建築は魅力を感じないものです。
ものを供給するだけの時代は終わりました。
これからは付加価値がないと物は売れない時代です。
ここではバルコニーを少しだけよくすることを提案しましたが、他にもたくさんあると思います。
そんなことを今後も紹介していければと思います。
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