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深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海 第14章 客人志願 ギリシャ

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キリスト髭の若者 どのような局面でも切り抜けてきた自信 与えられた二つのもの、自身と鈍感さ 命に対する無関心さ 高いという口癖 値切り癖 次にどうしたらいい 国境の笑い声は風にかき消された 日暮れ時の寂しさ これからどうしたらいい ギリシアの国境事務所で寝袋 係官の好意 気詰まり 車に同乗するマナー 宗教的なものに近い静謐さ ヨーロッパの都会 西に進むほど物価が上がってくる 松脂をを入れる酒 世の中の動きから目を離していた 妙な疎外感 何かが物足りない のっぺらぼうの街 野良猫の方が幸せなのでは 乾いた死臭 滅びるものは滅びるに任せておけばいい スパルタの潔い死 ミストラの完璧な廃墟 経済発展におけるテイク・オフ 日本という国はたまたま運が良かっただけ オリンピアでアメリカ人と競争 変わったのは土地ではなく自分自身 旅の終わりとは? 世界一周1日1ドル旅行 紙飛行機 会話ができなかったが、ニコニコしているだけで充分 この一夜が旅の神様が与えてくれた最後の贈り物 

旅の軌跡
香港→マカオ→香港→バンコク→チュンポーン→ソンクラー→ハジャイ→バターワース→ペナン→バターワース→クアラルンプール→マラッカ→ジョホールバル→シンガポール→カルカッタ→キウル→ガヤ→ブッダガヤ→パトナ→ラクソール→ビルガンジ→カトマンズ→ビルガンジ→ラクソール→パトナ→ベナレス→サトナ→カジュラホ→ジャンシー→デリー→アムリトサル→ラホール→ラワルピンディ→タクシラ→ペシャワール→カイバル峠→ジャララバード→カブール→カンダハル→ヘラート→イスラムカラー→カルカレフ→テヘラン→シラーズ→ペルセポリス→イスファハン→テヘラン→コム→バザルガン→エルズルム→トラブゾン→アンカラ→サムスン→イスタンブール→ケシャン→イプサラ→アレクサンドロポリス→テサロニキ→アテネ→ミケーネ→スパルタ→ミストラ→トリポリ→オリンピア→アルゴス

ギリシアに入った、つまり長い間のアジア圏からヨーロッパ間に入った主人公。ヨーロッパ圏に入ったと感じる主な理由は物価の水準が上がったことだ。
西へ、西へと進むにつれて、様々な物の相場が上がっていくことに経済的負担を感じる。
アジアに長い間いたことによる弊害かもしれない。

主人公はアテネに入ったあと、一番初めにアクロポリスの丘に登って、
街の全景を見下ろした。
それ以降もいつもの街と同じようにふらふらと散歩をしていたのだが、
どうも無味乾燥な感想を抱く。
ずっと旅をしていて、世の中の動きから目を離していたからか、
妙な疎外感をも持つようになった。

また面白い逸話もあった。
アジアとヨーロッパの境目はどこなのか?についてだが、
あるカタコトの日本語を話す青年によると、
茶を飲むのがアジアでコーヒーを飲むのがヨーロッパらしい。
さらにはアジアはCで始まる茶を飲み、
ヨーロッパはTで始まる茶を飲むと言っていて、
主人公はある種の納得感を持ったそうだ。
このエピソードはのちのポルトガルにも出てくるので覚えておくと面白い。

ギリシアの途中で主人公のパスポートスタンプで満タンになってしまう。
自分も旅先で出入国するさいのスタンプは貯まるたびに
嬉しくなるのだが、主人公にとっても、何よりも貴重な思い出のようだ。

1980年代当時、パスポートがスタンプで満タンになる人はそうそういなかったであろう、満タンになったらどうすればいいのか主人公は分からなかったため、
日本大使館に寄った。

次に来たのはギリシア・スパルタ。
往年の年であったスパルタは見る影もなくただの田舎町の一つに過ぎなくなっていた。しかしそれが主人公には良かった。
滅びるものに未練は要らない。
滅びるものは滅びるに任せておけば良いという潔い考えが私は好きだ。
スパルタで出会った老人にミストラへ行くといいと促される。
そこは徹底的に完璧な廃墟で、その空虚さに美しいと感じる主人公。

ただ、人だけは必要ということにさっきの老人に気付かされる。

定住の地を持たないジプシーなるものにギリシアのあるバスの中で出くわす。
ここで過去に似たような少年がトルコにいたこと絵を思い出し、彼らもジプシーだったのではと考える。
周りの大人たちは彼らの傍若無人なおふざけに苦りきった表情を浮かべていたのだ。
あまりの失礼な振る舞いに大人に叩かれる少年たち、それでもめげることなく、
大人たちをからかう。
しかし、いくらふざけているとは言っても、
少年たちに暴力を振るうのは大人としてどうなのかとも思うが、
当時のジプシーは差別の対象だったようだ。

旅を続けてきて、既視感を得る機会が多くなる主人公。
旅を生涯で例えることがあるが、
この旅もそろそろ後半に近づき、さまざまな経験を経て、
新鮮で刺激的な出来事が少なくなってきたのではないか?
言ってみれば、旅も「壮年期」を迎えつつあるのではないか?


深夜特急5  トルコ・ギリシャ・地中海 第15章 絹と酒 地中海からの手紙 に続く

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