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「自己肯定感UP⤴」のワナ 

自己否定と自己肯定の本当の関係について深堀りするような情報をシェアします。

「自己肯定感を上げればうまくいく🙌」というようなことをよく聞きます。そのわりには、自己肯定感は低いより高い方がよさそう?くらいのノリで、自己肯定とか自己否定について、実はきちんと考えたことがないという人も多いのではないでしょうか。

一方、トラウマに向き合う等の心理的なアプローチをとるとき、どの感情も根っこにあるのは自己否定ですから、自己否定を諸悪の根源のようにとらえることも多そうです。

そして、世の中には「自己肯定感を上げよう」と「自己否定感をなくそう」として、頑張るものの…なかなか現実をかえられず、ぐるぐるループにはまってる人も多いかもしれません。そのような人に役にも立つ、自己肯定感自己否定感を深堀りし、その本当のところ、一般的理解の誤解について紐解く書籍を2冊紹介をしたいと思います。実は、自己否定感という個人の内面の話と社会構造が密接に結びついているというのもポイントです。


1.「自己否定感」の反対語は「自己肯定感」ではない

「自己否定感」の反対語は「自己肯定感」だと思われており、それを強化するセミナーも多く開かれています。ところが多くの場合それは「自己優越感」と混同されており、「自己否定感」が減じるどころか、逆に強化される悲劇を生んでいます。

天外伺朗『「正義と悪」という幻想』p57

人類の大多数が自己否定感を抱えていること。そして、当然、社会の上層部にいて自信満々にみえる人たちも自己否定感を抱えていること。自信満々にみえるのは、自己優越感であることを指摘しています。さらに、その自己優越感は自己否定の表現のひとつ(裏返し)であり、自己否定感が強いと「自分は正しい」「自分は優れている」という信念を持ってしまったり、自己顕示欲が強くなってしまう、とこの書籍では述べられています。

自己肯定感と自己否定感について定義から改めて深堀し、正義と悪の二元論的な世界観を抜ける方法を模索するのにぴったりの書籍です。

2.「自己否定」を否定しない

いまの社会というのは、努力、頑張り、意欲向上を限りなくポジティブな美徳として伸ばそうとしますが、そのために「怖れと不安」を刺激します。そうすると、限りなくネガティブとみなされている「自己否定感」が自動的に強化され、膨れ上がってしまうという、とんでもない矛盾をはらんでいるのです。これは、いままであまり世の中で知られていません。

だから、いくら、「自己否定感」をなくそうと努力しても「自己肯定感」を高めるセミナーを受けても、人々の「自己否定感」が自然に癒され解消することはあまり期待できません。片手で火に水をかけて消化しようとしても、もう一方の手で火に油を注いでいるようなものだからです。

天外伺朗『自己否定感ー怖れと不安からの解放ー』まえがき

まず、上記のことを知っているだけで、「自己否定」についての見方が若干なりとも変わっていくのではないでしょうか。自分がよく凹むといった個人の問題ではなく、社会全体の問題(社会の基本構造)としてとらえられるようになります。

そして、人類の意識の進化論という副題にもある通り、社会と内面の進化成長について「自己否定感」というキーワードを中心に展開されています。自己否定のポジティブな側面(個人的な側面と、社会文明全体の側面)についても改めて再評価する視点をもたらしてくれます。そして、自己否定を否定しないことで、私たちは自己否定感で培ってきたものを認め、自己否定感を受け入れることで卒業していくような意識の進化の道筋がみえてきます。そして、人々が自己変容を経て自己否定が減ってきたときに登場する次なる社会の片鱗も垣間見られるような書籍です。

3.雑感

ということで、自己肯定感というものは上げるものではなく、社会構造とともにあった個人の自己否定を受け入れて卒業していくものという話でした。

なんだか、自己肯定自己否定という話と免疫がリンクしているように感じました。免疫って、不摂生などをやめれば「本来の状態に戻る」。つまり免疫は上げる必要がなく、元に戻せばいいもの

私たちは、免疫力にしても自己肯定感にしても、もしかして…「低いものを常に上げる努力しなければいけない」と思い込まされ、力まされててきただけなのかもしれません。無駄をそぎ落とし、リラックスして本来の状態に戻るだけ、というシンプルな視点こそ今大事なのかもしれないですね。

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