芦原妃名子さんが亡くなられたことに関して思うこと

ドラマ化された「セクシー田中さん」の原作者である人気漫画家の芦原妃名子さんが亡くなられたことは、非常につらく悲しい出来事です。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

今回のことで自分の経験を振り返ってみました。
私は漫画家ではなく、ビジネス書籍の執筆や雑誌連載をしていますが、今回と同様に著作物に対して何のリスペクトもない編集者や校正者に会ったことがあります。

私は、執筆の際には、言葉ひとつひとつに最大限の工夫をして、読者の方にわかりやすく伝わるように努力をしています。
つまり、執筆したものは自分自身が投影されたものであり、著書は自分の子供のようなものと言っても過言ではありません。

しかし、雑誌などの場合、締め切りの関係もありますが、校正の過程で事前の連絡もなしに、ある部分をバッサリ削除したり、また、私の原稿を土台にして、まるでパッチワークのように書き換えられるこがありました。
あまりにひどい改変が行われた際には、連載の中止を要求したこともあります。

「そんなに独創的に書きたいなら、自分でゼロから書いてみればいいのではありませんか?」

このように私が主張したところ、渋々、元の文章に戻しましたが、編集者は「連載をやらせてやってる」というスタンスであったことがわかり、その後は、かなり険悪な状況になったことは言うまでもありません。

著者は、ゼロから作品を生み出すため、身を削る思いですが、その大変さの先には、読者に喜んでいただけるというゴールがあるので、苦しくても頑張るのです。
著者と出版社(芦原さんのケースではテレビ局)が協力して、良い作品を生み出すためには、著作権とか著作者人格権のような法律の議論が重要なのではなく、著作物を扱う方が、著者に最大限の敬意を払うことが大切だと考えます。

また、出版業界(テレビ業界)は、契約書が存在しなかったり、原稿の校正が行われた後に契約書を交わすことがあります。
まだまだ、著者の立場は弱いのが現状で、今回の事件を教訓にして、見直されると良いと思いますが、簡単ではないでしょう。

現状、著者サイドは、自分を守るためには、きちんとした契約書を交わし、必要に応じて弁護士を同席させるなどの対抗措置が必要かと思います。

尚、現在、弊社で出版している中央経済社さまには、私の考えをご理解いただいて、きちんとした対応をしていただいております。

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