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英国が日本より遥かに多い理由

英国は2度目のロックダウン真っ只中。

といっても、我がテディントン村は落ち着いている。街のレストランやカフェも、それぞれ工夫を凝らしてテイクアウェーを提供しているし、公共交通機関も、スーパーやインド人が経営する雑貨屋やニュースエージェントも、通常通りオープンしている。ロックダウンも2度目ともなれば慣れたものだ。中にはシャッターを閉めた店もあるが、1ヶ月の束の間のヴァカンスにでも出掛けるつもりか、ルンルンムードが漂っている。ちなみに街行く人々の半分はマスクをしていない。ソーシャルディスタンスを気にする様子もない。とくに若者たちは通りのあちこちであいも変わらず騒ぎまくっている。

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地域的には、北イングランドの地方都市に多く発生していると言われるが、ロンドンもかなりの感染率である。とくに僕が住む西ロンドンの感染率が高い。10月、日本での疎開生活をひとまず終えて、ロックダウンに突入する直前、N95マスクに除菌ウェットティッシュを常備して、戦地に戻るつもりでやってきたのに、街や友人たちが極めて穏やかなのは拍子抜けであった。そして恐怖の(?)ロックダウンに入っても、大きな変化は見られなかった。

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ちなみに英国の感染者数はついに百万人を超え、毎日数万人ペースで増え続けている。死者数は5万人を超えた。日本の人口のほぼ半分のこの島国が、なぜこのようなパンデミック大流行となってしまったのか。考えてみた。フランスやスペイン、イタリアにも共通し、おそらく日本とは決定的に違う、あまり語られていない7つの理由を考えてみた。日本にお住まいの方々には朗報となるが、僕はこの7つの理由を根拠として、日本は決して欧州規模でのコロナ大流行という大事には至らないと信じている。あくまでも直感的、感覚的、かつ無責任な考察であることをお許し願いたい。

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コロナが英国で流行っても日本で流行らない理由


理由(その1)他人の目
群れから離れることを嫌う村意識の強い日本人。周囲から後ろ指を刺される行動は絶対に慎まなければならない。人目を気にしながら生きなければならないが、それさえしていればなんとか生きていける。一方、自分の獲物は自分でとってこなければいけない狩猟民族の英国人は一匹狼であり、冒険というリスクを取らないと生きていけない。人目を気にしていられない。

理由(その2)宗教と死生観の違い
いずれは天国に召されると信じている英国人。大多数の日本人は宗教心が薄いから死んだ後の行き場がない。極楽浄土もイメージできないし・・・死ぬことへの不安や恐怖は、英国人よりも日本人の方が強いのではないだろうか。

理由(その3)英国人はルールを守るかどうか自分で考える
英国はお上に対してモノ申す国。納得いかなければチャレンジするし自己主張する。そのような姿を見て日本人は、英国人は潔くないと見る。お上が決めたルールには納得がいかなくても忠実な日本人を見て、英国人はDesciplined な国民だと言うだろうが、内心どう思っていることか。英国のパンデミック大流行は自己責任原則が招いた連帯感の欠如にも大きな原因がありそうだ。

理由(その4)生き方の違い
自由で好きに生きたいと願い、人生かくあるべきと強く思っている英国人。堪(コラ)え性がないとも言える。日本人は耐えて凌いで、それが人生だと思っている。だからコロナのような試練に耐えられる。その点、英国人は自分勝手な理屈をつけて開き直る。ともかく10ヶ月も続くコロナ防衛に、欧州の人たちはホトホト飽きてしまった。

理由(その5)育ちや慣習
欧州社会ではキスやハグのスキンシップは日常のこと。人と接してはいけません、しかも2メートルの距離を保ちなさい、というのは、日本人にとって「箸を右手で持つのはやめなさい」と言われているようなもので、かなり酷なことである。癖なのだから、ついついハグしてしまうという人も多いはず。”See you soon!” ハグや握手なしの別れ際は、いまだに戸惑いそのものである。

理由(その6)目に見えない恐怖
かなり直感的な観察だが、英国人は目に見える脅威を恐れる。ゾンビやフランケンシュタイン、エイリアンなどが代表例。対して日本人は目に見えないもの、例えば幽霊とか怨念といった方がもっと怖い。だから目に見えないヴィールスは、英国人にとってはreality がなく、日本人にとっては恐怖なのだ。コロナが紫色の粉状だったら、英国人はもっと怖がっているに違いない。

理由(その7)マスク
マスク慣れしている日本人。鬱陶しくてやってられないよとマスクを投げつける英国人。これは仕方のないことだ。生まれてこの方マスクなどつけたことがなかった人ばかりの英国。しかも鼻が高のが災いしてか、マスク姿が隙間だらけでだらしない。「口元に当てておけば良いんでしょ」という程度の代物で、コロナ予防にはあまり役に立っていないように思う。

以上の7つの理由。僕の考察は当たっているだろうか? 第3波が収まらないというが、賢明な日本人は、また水際でなんとか乗り切るに違いない。楽観的な発言、ご容赦を。


|松任谷愛介 Aisuke Matsutoya|
英国在住32年。慶應大学経済学部卒・シカゴ大学卒(MBA)ミュージシャン/銀行マン/留学を経て英国マーチャントバンクGuinness Mahon社に入社。取締役副会長歴任後、音楽・映像・イベント制作・リサーチ・執筆等を主業務とする自身の会社をロンドンに設立。|Cross Culture Holdings Ltd.代表|

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