松任谷愛介 | Cross Culture Holdings Ltd.

英国在住32年。慶應大学経済学部卒・シカゴ大学卒(MBA). ミュージシャン/銀行マン…

松任谷愛介 | Cross Culture Holdings Ltd.

英国在住32年。慶應大学経済学部卒・シカゴ大学卒(MBA). ミュージシャン/銀行マン/留学を経て英国マーチャントバンクGuinness Mahon社に入社。取締役副会長歴任後、音楽・映像・執筆を主業務とする自身の会社をロンドンに設立。日本を俯瞰して豊かで幸せな未来を考える。

最近の記事

ウォーリーを探せ

テレビ番組の制作を手伝っていると、映像の中にたまたま映り込んでしまうことがある。10月18日NHK-BSスペシャルで「2度目のロンドン-エレガンス編」(ナビゲーター仲川希良さん)が再放送される。3年前にロンドンで収録した番組だが、ここでもたまたま(?)映り込んでしまっているようだから、「ウォリー」のように目を皿にして探していただければ、ぼくの3年前の元気な様子をご覧いただける。ほとんどあり得ない番宣.... ある時は食の専門家になって出された食べ物を評価したり、はたまたある

    • 巨人の壁

      【壁シリーズ第2弾】 天空の城ゴルド(Gordes)から広大なプロファンス地方の大地を見下ろすと、昨晩まで宿泊していた赤土にルシヨン(Roussillon) の赤土に囲まれた街が視界に入った。さらに左に3〜4キロほど視線を移したところに、高く連なった不思議な崖を見つけた。ガイドブックにも載っていない場所ではあったが、とくに急ぐ旅でもなかったので、確かめに行くことにした。 オリーブ畑の小道を右へ左へ。凛々しく聳え立つ巨大な崖を目指すことは簡単だった。近づくにつれて、これは大

      • Wall

        【壁シリーズ第1弾】 ベルリンの壁が崩壊した34年前、僕はロンドンでこのニュースを知った。西の世界と東の世界が融和していく姿を想像して、胸が躍ったのを記憶している。しかし、ベルリンの壁はなくなったものの、東側住民の意識の壁は根強く残っているというし、とくに経済格差という壁はいまだに存在するし、安い物価のベルリンにはアーティストも多く渡り住むが、同時に近隣諸国から移民難民が増え続け、見えない壁がますます高くなっている。 四方を海に囲まれている日本にいると、ふだんの暮らしの中

        • 英国が日本より遥かに多い理由

          英国は2度目のロックダウン真っ只中。といっても、我がテディントン村は落ち着いている。街のレストランやカフェも、それぞれ工夫を凝らしてテイクアウェーを提供しているし、公共交通機関も、スーパーやインド人が経営する雑貨屋やニュースエージェントも、通常通りオープンしている。ロックダウンも2度目ともなれば慣れたものだ。中にはシャッターを閉めた店もあるが、1ヶ月の束の間のヴァカンスにでも出掛けるつもりか、ルンルンムードが漂っている。ちなみに街行く人々の半分はマスクをしていない。ソーシャル

          リチャード・トレヴィシックの物語 〜早すぎた天才発明家の生涯〜

          Goin' up Camborne Hill, coming down Goin' up Camborne Hill, coming down The horses stood still; The wheels went around; Going up Camborne Hill coming down..... コーンウォールの炭鉱町カムボーンで歌い継がれている機関車の歌 "Camborne Hill"の歌詞。コーンウォールの人々は、いまも蒸気機関車の生みの親リチャー

          リチャード・トレヴィシックの物語 〜早すぎた天才発明家の生涯〜

          やっぱりヴァージンがいい

          ロンドンと日本を行き来していた僕にとって、飛行機が飛ばなくなると、ここまで不自由になるとは思っていなかった。いま利用している日系航空会社も9月に入って、ようやく定期便が動き始めた。と言っても週2〜3便で、機内はガラガラの状態。いつになったら昔の賑やかさが戻るのだろう。 そんなこんなで、今日は飛行機にまつわる話です。 ヴァージンとのお付き合いはこうして始まったロンドンに住んで30年。当時、日本系2社と英国系2社が直行便を持っていた。どこを選ぼうかなと試してみることにした。エ

          やっぱりヴァージンがいい

          名器ストローヴィオルの謎

          ストローヴィオル=コルネットヴァイオリン楽器店やオーケストラでも目にする機会のないラッパの付いたヴァイオリン。この楽器は「ストローヴィオル」という。日本ではコルネットヴァイオリンという名前で知られている。昭和時代には歌謡曲歌手の横で活躍していたが、今では一部のマニアックな演奏家によって使われる程度で、とくに若い方々は見たこともないのではないだろうか。 ストローヴィオルとの出会いボディーに空洞はなく、弦の振動を金属のコマが拾ってそれを直接ラッパに伝えて拡声する仕組みになってい

          名器ストローヴィオルの謎

          イチジクの思い出

          ロンドン。隣の家のイチジクの木。枝が折れそうなくらい鈴なりになっている。あと1ヶ月もすると実が真っ赤になる。 鳥たちのルールすると、まずムクドリの大群が押し寄せて、ギャーギャー歓喜の声を上げながら、イチジクを突っつき食べ散らかす。彼らが去ると、次にスズメやブラックバード、キジバトが群れでやってきて、残りを食べ干す。決してフライイングはしない。鳥たちにもルールがあるらしい。 畑の中のイチジクイチジクを見ていて思い出した。 昭和30年後半の高井戸(ぼくの実家=東京都杉並区)

          Value-ism のススメ

          数年前から僕は、名刺の右隅に『Value-ism』 という文字を忍ばせている。きれいにデザインし過ぎてしまったせいか、誰も気が付いてくれないので、ここでハッキリさせておこう。 Value-ism の経済学で考えると・・・Value-ism = 価値至上主義とでも訳しておくことにする。 価値は一定ではない。時間とともに変化する。空腹のときのディナーは価値があるが、食後に用意されたディナーには価値を見出せない。同様に、価値は人によって異なる。高級掃除機HOOVERを持っている