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オンラインイベントをスムーズに運営するためにした3つの工夫

こんにちは、株式会社CroMen の吉川です。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響が広がる中、感染された方やご家族の皆さま、生活に影響を受けておられる方々に、心よりお見舞い申し上げます。
また各方面で尽力されている皆さまに感謝申し上げます。

今回、「Cross Mentorship in 九州」という福岡、長崎、東京、大阪からアクセスする60名を超える参加者を対象に

・オリエンテーション
・グループワーク
・1on1セッション(社会人と学生、学生同士の一対一のメンタリング)

をメインコンテンツにしたオンラインプログラムを実施しました。

今回は本イベントの開催報告をするとともに、「これからオンラインイベントをやろうと思っている人」の助けになるような情報を共有させていただきたいです。

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▼工夫したポイント

今回工夫したポイントは全部で3つです。

①適切なツールを選ぶ
②ルール、権限、ホストを明確にする
③ブレイクアウトルームを活用する

それぞれ詳しい内容を記載したので、ぜひご覧ください。
お忙しい方は気になる項目だけ飛ばし読みしても構いません。
ただし、オンラインイベントが初めてという方は②ルール、権限、ホストを明確にするの項目はぜひ読んでいただきたいです。

①適切なツールを選ぶ

オンラインイベントにおいて、ツール選定は最も重要な課題です。
ツールによって得意不得意があるため、イベントの特性に合わせたツールを使用することが肝要です。

結論から書くと、今回は「Zoom」を使用しました。

今回のCross Mentorship in 九州というイベントでは「1on1」や「グループワーク」を実施するため、「部屋を分割する機能」が必要不可欠です。
また、60人以上が参加する中規模イベントであるため、「同時接続人数」も懸念事項となりました。

そこで、「ブレイクアウトルーム」及び「100人までの同時接続」が可能であるZoomを採用しました。
※同時接続人数については、有料オプションを追加すれば100人以上も可能

特に「ブレイクアウトルーム」はZoomの目玉機能と言っても過言ではないです。

下の図のように全体のルームは残しつつも、個別のルームを複数作成(上限50)することが可能であり、
強制的に全体のルームに戻すこともできます。

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しかし、ブレイクアウトルームの注意点もあるので、以下の点に注意して運用する必要があります

・ホストしか作成できない
・ホスト以外は他の部屋を行き来できない
・一度開始すると、ルームの追加ができない

そのため、基本的にホストは「ホストの仕事のみに集中する」「予め余分なルームを作っておく」必要があります。

ブレイクアウトルームの説明は後述致しますので、詳しくはそちらを御覧ください。

②ルール、権限、ホストを明確にする

今回は予めZoomの使い方をリサーチし、どのように活用すれば「スムーズな進行」が出来るかを考えてから開催いたしました。

リアルイベントであれば少しの「」や「もたつき」があったとしても、周囲の人と話す時間を与えれば問題なく進行ができます。
一方でオンラインイベントにおいては「周囲の人と話す」ということが極めて困難であり、「スムーズに進行」することが最重要課題となります。

今回における「スムーズな進行」の方針としては以下の2つでした。

・参加者が戸惑う時間を作らない
・トラブル発生時に迅速に対応ができる

そして、上記を満たすために重要なポイントは次の3つです。

①明確なルール
②明確な権限
③明確なホスト

ルールは「守るべき事柄」、権限は「できる事柄」という意味合いで使っているので、分けて記載しています。

それでは一つずつ説明していきます

①明確なルール
今回のイベントでは以下のルールを徹底させました。

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ルールを明確にすることで、「あれ、これはどうすればいいんだ?」という疑問を事前に解消することが出来るからです。
また、ルールは4~5個以内に設定し、イベント前に共有することで、ルールを意識して参加してもらえます。

各ルールの説明としては、以下の通りです。

▼周囲が静かな環境でご参加ください
「1対多」のイベントで参加者が聞く側の場合、基本的にミュートにしてもらえれば問題ありません。
しかし、今回のような「1対1」「多対多」のコミュニケーションが発生するイベントの場合、誰か1人がうるさい環境にいると「聞き取るコスト」が発生します。

例えば、周囲の話し声が聞こえるカフェにてAさんが参加した場合、他の参加者の人は「Aさんの声」と「周囲の声」を聞き分けた上で、「Aさんの話の内容」を理解する手順を踏む必要が出てくるのです。

オンラインMTGをしている時に同じような状況に出くわした人もいると思いますが、無駄に頭を使ってしまうために集中して話を聞くことが出来ません

そのため、「周囲が静かな環境」にて参加してもらう必要がありました。


▼ビデオは必ず「オン」/イヤホンマイク推奨
こちらは機器の設定に関するルールです。

ビデオをオンにすることで、「自分も参加している/他人から見られている」という緊張感が生まれ、イベントに集中してもらいやすくなります。

また、イヤホンマイクを使用してもらうことで、反響を抑制することが出来ます。
スピーカーから出る音をマイクが拾うことで反響が発生する可能性があるので、イヤホンマイクを推奨としました。


▼チャットは積極的にご活用ください
オンラインイベントならではの問題として、「場の空気を作りにくい」という点が挙げられます。

リアルであれば司会が笑わせることも出来ますが、オンラインイベントでは基本的に音声ミュートにしているタイミングが多く、皆で笑っている感覚を得ることが出来ません
逆に空気を作ろうとして全員ミュート解除にすると、司会の声に笑い声がかぶさって話の内容が伝わりません。

そのため、「チャット」機能を活用することで場を擬似的に盛り上げることが可能となります。
また、司会の方がラジオDJのようにチャットの内容を拾ってあげることで、さらなるリアルタイム性が生まれるでしょう。


▼Zoomの表示名は「学生_〇〇」に変更してください
Zoomの表示名は自分で決めることが出来ます。
それゆえに、「ハンドルネーム」や「名字だけ」など、表記ゆれが発生する可能性が非常に高いです。

普通の「1対多」のイベントであれば問題ありませんが、今回は「1on1」や「グループワーク」を実施するため、「誰が参加しているのか」を明確にする必要がありました。

また、前述した「ブレイクアウトルーム」作成の際にも、「名前で検索をして参加者を割り振り」する作業が発生するため、名前表記は統一することをオススメいたします。

※今回はやりませんでしたが、事前に参加者に番号を振り、その番号を表示名冒頭に入れてもらうと「ブレイクアウトルーム」割り振りの際に便利です


②明確な権限
オンラインイベントでは「誰」が「何」をできる状態なのかを明確にしておく必要があります。
参加者が「自分は何が出来るのか」を理解することはもちろんのこと、「運営が何をしてくれるのか」も把握してもらうことで、スムーズな運営が可能になります。

今回は3つの役割に分け、それぞれに別の権限を付与しました。

ホスト:参加者の音声を管理できる、トラブル対応が出来る
司会 :常に画面/音声を共有できる、参加者に発言をさせることが出来る
参加者:チャットを使用することが出来る、特定のタイミングでのみ発言ができる

基本的に「ホスト > 司会 > 参加者」の順に権限を持つように設定しています。
※Zoomで設定することは出来ないので、あくまで運用上の権限です

また、司会がホスト権限を持つことは基本的にオススメしません。(共同ホストはアリ)
理由としては、司会が説明している際に、同時並行でホストが仕事できなくなるためです。

わかりやすい例として「ブレイクアウトルームの作成」が挙げられます。
ブレイクアウトルームはホストにしか作成できません。
そのため、もし司会がホスト権限を持ってしまうと、一度説明が終了した後に割り振りをする必要が出てきます。

ホストと司会を分けることで、「司会」が説明している裏側で「ホスト」がブレイクアウトルームを割り振りでき、説明終了後すぐに移行することが出来ます。


③明確なホスト
「誰がZoomホスト」なのかを明らかにすることはとても重要です。
理由としては、トラブル対応の時に誰に頼ればいいのかがすぐに分かるからです。

また、ホストはなるべく「PCやZoomに詳しい人」が担当するべきです。
ネットの接続不良や音声トラブルなどはもちろん、PC初心者の方からの質問対応などが発生するので、
ホスト自身がPC/Zoom詳しくないと適切な対応ができません。

そしてホストを明確にした上で、「ホストの仕事に徹底する」ことも忘れてはいけません。
他の作業はなるべく他の人に任せて、とにかく「参加者の対応がすぐにできる状態」でいることが非常に大事です。


③ブレイクアウトルームを活用する

オンラインイベントで参加者同士のコミュニケーションを行う場合、ブレイクアウトルームは必須の機能です。

1on1」はもちろん「グループワーク」や「懇親会」も可能になるので、活用の幅は非常に広いです。

☆使い方
ブレイクアウトルームの使い方は簡単です。
https://zoom.us/profile/setting
上記URLにアクセスし「ブレイクアウトルーム」をオンにすれば、設定は完了です。

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その後Zoomにアクセスし、右下の「ブレイクアウトルーム」をクリックして部屋を作成し、参加者を割り振るだけです

☆ポイント☆
ブレイクアウトルーム活用のポイントは3つです。

①「表示名」の変更をする
②タイムスケジュールにて「割り振り時間」を考慮する
③ホストは常に「全体ルーム」にいる

それぞれ説明いたします。

①表示名の変更をする
これは地味に見えますが、非常に重要なので絶対にやりましょう。

ブレイクアウトルームに割り振る際は以下のような画面が表示されます

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そして、割り振り方は「リストから名前を探し出してチェック」「検索してチェック」の2つ方法があります。

参加人数が多いと必然的に後者となるのですが、その際は「表示名」で検索を行うので、
表記方法がバラバラだと検索の際に非常に面倒なことになります。

例えば、表記方法を指定せずに「田中太郎」さんを探す時、「田中」「tarou」「たろー」のように記載される可能性があるため、検索コストが非常に高いです。

「漢字フルネーム」のように全員の表記方法を指定しておけば、検索の際に「田中太郎」と打つだけで該当人物をチェックできるので、検索時間の短縮に繋がります。

また、表示名冒頭に受付番号を入力してもらうと、漢字変換の時間がなくなるので更に検索の手間が省けます
例) 1_田中太郎、2_鈴木一郎

②タイムスケジュールにて「割り振り時間」を考慮する
ブレイクアウトルームを割り振る際、人数が多くなると非常に時間がかかります。

割り振りの時間を考慮せずにスケジュールを組んでしまうと、思わぬところで足止めをくらうことになるので、予め数分の「割り振り時間」を入れておくことをオススメします。

目安としては、「10人ごとに1分~1分半」位を想定するといいです。

③ホストは常に全体ルームにいる
ホストはトラブル対応が頻繁に発生するため、全体ルームに常駐することをオススメします。

ブレイクアウトルームには「ホストを呼び出す」ボタンが表示され、トラブル発生の際はそちらを押されるので、いつでも対応できるようにしておくことが大事です。


▼プログラムについて

これまでの内容はオンラインイベント全般に言えるHow toを書いてきましたが、それ以外にもイベントを通した気づき反省点がありました。

運営の役割分担は重要

オフラインイベントに慣れているメンバーであったということもありますが最小人数での運営することができました。

ホスト:Zoomの操作を一元管理する。
司会:進行役。参加者と積極的にコミュニケーションを取る。
ユーザーサポート:Zoomに慣れていない人に個別で対応をする。空いている時間はチャットでガヤをする。
責任者:全体を見て、ケアした方がいい点をすぐに各者へ指示する。

事前連絡はLINEを使って

今回は途中から参加する方や事前にZoom利用の案内もあったたため、リアルタイム連絡用として参加者全員のLINEグループを作成しました。
事前連絡など既読数がついたり、ノートに「いいね」をつけてもらうことで周知の徹底ができました。(Facebookでも良いと思います)

▶️ユーザーサポート
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▶️タイムスケジュールが変更になった時の連絡
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改善点は「自由度の高い余白時間がないこと」

当たり前ではありますが、zoomのようなオンラインツール上では複数人が同時に話すと、コミュニケーションが成立しません。
そのため、進行中は司会以外ミュートにする必要があり、参加者同士で自由度の高い会話(雑談)ができる機会提供は難しいと言えます。また、休憩中はほとんどの人がPCから離席するため基本個人の時間となります。
オフラインのイベントでは休憩や終了後の懇親会などで、プログラムとはまた少し違った学生・社会人の気軽さのある対話が行われています。
今回も全体満足自体は高かったものの、普段のイベントと比較し学生側の「社会人との出会い」の評価は下回る結果となりました。

▶️今回アンケート画像8

▶️通常イベントのアンケート「(例)Cross Mentorship14期」
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今後はプログラム中の休憩時間内で、少数での待機用雑談グループを作成するなどコミュニケーションを促す対応を検討していきたいと思っています。


オンラインのメリットは「手軽さ」「リラックスして集中」

アンケートより、運営としても予想外だったことは、「リアルでのイベント開催とオンライン開始を比較して、満足度評価がほぼ同等だった。」ことです。(下記のグラフ参照)

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オンラインを評価された方の声として、

「オンラインならではの参加コストの低さがあるので、対面に比べてメリデメ相殺されている印象」
「オンラインになって少し悲しい気持ちもありましたが対面より緊張せずに話せて良い点もたくさんありました!!」
「対面の時よりもスムーズにイベントが進んでいると感じ、やりやすかったです。
自宅でやるので程よくリラックスして臨める上に、移動の必要性がないので、終わった後の疲労感が少ないのともメリットだと思いました。
発言者が限定されているため、その内容を集中して聞くことができました。」

といった、「自分の慣れた場所から参加できることによるリラックス感」や「ミュート操作により発話する人が明確になっていたことで話に集中できる」といったメリットがありました。

上記の工夫点などによるスムーズな運営ができれば、気軽に各地方の学生とコミュニケーションができるオンラインイベントに価値があると実感できるイベントとなりました。

また、特に懸念していた各自のネット環境についても当日までに「ネット環境良好」且つ「静かな環境」での参加を繰り返しアナウンスすることで、7割以上が問題なく対話できていました。

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多彩で情熱的な参加学生が多くて盛り上がった

今回応募総数は30名以上となっており、その全員がとても優秀で魅力的な学生たちでした。

CroMenではイベントを企画する際、「魅力的な人の友達は魅力的である」という仮説の元、面白くて情熱的な学生が集まっています。

今回も例にもれず、特に人間力と行動力に長けた優秀な九大生/APU生を運営メンバーとして集客に協力してもらった結果、
1on1で対話した社会人も「学生との出会い」を評価し、非常に高く、今後の学生さんたちの活躍を皆が期待していました。

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オンライン懇親会はこんな風に盛り上げた!

オンライン懇親会が楽しく実施できたポイントは、ブレイクアウトルームで定期的(40分〜60分毎)に「テーブル分け」をした点です。
感覚値ではありますが、全員が定期に話せるのは、4名〜5名が良いかと思いました。
(6名以上だと1時間のうちに話せない人も出てくる印象でした。)

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最後には「オンライン一本締め」を挑戦しました。笑

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以上となります。

オンラインでプログラムを行なったことでますます九州で皆さんに直接会える日が来ることが楽しみになりました。

また、改善を重ねて、より「世界を彩る化学反応」のきっかけとなる場づくりをしていくことを目指します。


「Cross Mentorship」とは

世界を彩る化学反応を」というミッションを掲げ、2012年より大学生向けキャリア形成支援プログラム「Cross Mentorship」を定期的に開催。
自分らしいキャリアを歩む方々が交流するコミュニティ運営を行ない、これまで約800人以上の学生・社会人にご参加いただきました。

プログラムでは内省ワークと1on1セッションをメインコンテンツに学生が「自分は何に情熱を傾けて生きていきたいのか?」の仮説を立てることをゴールにしています。

昨年度より、長崎県平戸市高校生、筑波大学(茨城)、立命館アジア太平洋大学(大分)、近畿大学(大阪)で1dayプログラムも積極的に開始しています。

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