見出し画像

『嫌われる勇気』 読書感想文

友達とzoomで話したり、やりたいことをやっていたらあっという間に時間が過ぎた。この本を読破するのにも中々時間をかけてしまった。

『嫌われる勇気』はダイヤモンド社からでたベストセラー本の一つ。noteをみているとこの本を引用した記事がよく見られる。有名な本なんだなとつくづく実感する。これを読むのは二度目である。なかなか情報量が多く本の内容をまとめるのが大変なのだが、うまく簡潔にまとめていきたい。


❐概要

『嫌われる勇気』には何が記されているのか。端的に言えば人間はどのように生きれば幸せになれるのか、その方法論が説かれている。アドラー心理学を活用した幸福論だ。こう聞くとどこか宗教じみたものに思えるかもしれないが、案外論理的で腑に落ちる内容だ。

人は変われないと豪語する青年と誰だって自分を変えることは可能で、幸せな人生を送ることができると主張する哲学者が対話する形で本文は綴られていいる。


哲学者が考える人が幸せになる方法は以下の通りである。

目的論に立つことで人は変わることができる。さらに人間は何かしらの社会に所属しなければ生きられないので社会に参画しなければならない。そこで生まれる対人関係の悩みにうまく対処することが幸せへの道なのである。その対処方法は課題の分離というものだ。課題の分離を達成することが幸せな人生を送る鍵である。

ざっくり本書の内容をまとめたので、理解しがたい部分があると思が、そこを下記で解説していきたい。


○目的論

「過去のいじめが原因で私は対人恐怖症となり人とうまく人間関係を築くことができない」

これは原因論的な考えである。この考えに則るならタイムマシンに乗って過去を変えでもしない限り今の自分を変革することはできない。

しかし目的論的な考え方をすると、「私は人に傷つけられることを恐れて人と関わることを拒否している」という風な考えになる。自分が傷つかないことを目的に定め自身の行動を抑制しているという解釈になる。傷つくことを恐れず立ち向かうことでこの人物が抱える問題は解消されうる。

ではどのようにしてこの困難に立ち向かうのか。それは勇気をもつことであるらしい。この勇気は他者に貢献し、感謝されることで身につく。それは行為でなくてもかまわない。存在しているそれ自体に感謝されることで勇気を獲得することができる。


○課題の分離について

課題の分離について語る前に、なぜ人は社会で生きる必要があるのかについて説明しよう。人は他者が存在する限り、集団に属さなければ孤独を感じてしまう。もし、あなたが生まれた時から宇宙に住み、他者の存在を生まれた時から認識していないという状態であれば孤独という感情は端から生まれることはない。だが現実的に考えてこうした状況はありえない。孤独を感じてしまうことは苦しく、それを払拭することが幸福に生きることへの一歩だと本書は綴る。

では課題の分離とは一体なんなのか。難しい話ではない。他者と自分に境界線を引くということだ。他者の考えに従って自分の行動を規定することなく、また他者をコントロールしようとしないということである。

親に有名大学への進学を希望されるから毎日机に向かうのではなく、自分の意志で勉強する。他者の望みに従うのではなく、自分がどうしたいかを中心に生きるべきなのだ。これが理解できれば他者が思い通りに動いてくれないと嘆く必要もない。

課題の分離を実践すれば人間関係もより円滑になるだろう。人の悩みの全ては人間関係から生まれるとも本書は述べており、それを解決する課題の分離という方法はとても価値のある考え方なのだ。



❐感想

本書を読むのは二度目だが、一つ一つの主張に深く納得してしまう。どれも説得力のある考え方だなと思う。

初めて課題の分離を説明した箇所を読んだとき、僕はその考えに強く共感した。なぜなら自分も似たような考え方を本を読む前からもっていたからだ。自分の生き方、考え方はよりよい人生を歩むことにおいて正しことなんだなとこの本を読むことで確認することができた。


大方の主張は理解できるのだが、一つだけ少し納得できない部分がある。それは本書の最後の章で語られる今を生きるという考え方だ。

この考えによると未来や過去は今ここに存在していないのだから、人は今この時を全力で生きなければならないらしい。だから努力して目標を達成することを目的とするのではなく、その努力自体を目的にしていいんだと、そういうことを言っている。

確かにそういう生き方の方が気楽なのかもしれない。目標を達成することを目的に生きていたら、もしその目標を達成できなかった時強い挫折感を味わうことになるからだ。

目標を明確に定めずに今取り組んでいることに全力を尽くす。本当にそれでいいのか。やはり何かしらの目標をもって物事に取り組んだ方がいい気がする。目標を達成することが全てであってはいけないと思う。しかし目標があるとモチベーションが上がったり、その過程に意義が見いだせてやりがいが生まれたりと、色々メリットがあるのではないか。

ただ、過程自体を楽しめるというのは案外理想的なことなのかもしれないとも思う。今に没頭する方がシンプルで楽しそうだ。したがって、目標は定めるが飽くまで今に焦点を当てる生き方が一番望ましいのだろうか、と思った。




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?