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中毒 【ショートショート】

「お前またゲームやってんの?」

講義中、僕がスマホの画面に夢中になっていると隣の席から茶化すような声であいつは囁いてきた。

「お前もほんと飽きないよな、そうやって時間を無駄にしても意味ないぜ?本でも読めよ、本でも。」

「うるさいな。俺の勝手だろ。」

「はあ、お前は全然わかってねえ。いいか?お前はゲームに依存してるんだ。早くやめないとどんどんゲームに自分の時間を奪われるぞ。」

「ああそうだね。ゲームは控えるよ。」

口答えするのが面倒になった僕は、投げやり気味にそう答えた。

と同時に教授が講義終了の合図を告げる。


翌日あいつを大学の食堂で見かけた。

横に3列並んでいるカウンター席の最前列右端で僕の友人でもあるRと座ってあいつは昼食をとっていた。

「お前、まだタバコ吸ってんの?マジで時代遅れだわ、それ。」

「そういう悪い習慣はやめとこうよ?中毒性高いんだから、まったくバカだよお前は。」

そういってあいつはRを諭す風に小馬鹿にしていた。


また翌日僕はあいつを通学中の電車内で見かけた。

「おいおい、また二日酔いか?ほんとにお前は懲りないよな。」

「少しは学習したらどうなんだ。飲酒は体に毒だぜ。そんなもん小学生でも知ってんのにお前ってやつは…本当に情けないよ。」


僕はあいつのことをよく人を小馬鹿にするやつだと思っていたが、今気づいた。

「あぁ、あいつも中毒なんだな」

人を小馬鹿にすることに快感を得てその行為の中毒になっているようだ。

確かに他人を小馬鹿にすることで優越感は得られるかもしれない。

しかし、この悪弊は上記の友人らのそれよりも深刻なものじゃないか?

他人を小馬鹿にすることで周りの人間はあいつから離れていくに違いない。

そういう弊害や自分が中毒になっていることに気づいていないあいつの存在こそかなり滑稽だ。


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