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夜の山道にて。

今日は久々に友達と県外へドライブに行ってきた。

ドライブに行く。この日本語は正しいのか。

まあ良しとしようじゃないか。

細かいことを考える気分ではないのだ。

その帰路で二台の車が僕らの後ろに小一時間ほどぴったりくっついてきた。

苛立ちと焦燥感がこみあげる。



20:00になる手前だっただろうか。

夕食にほうとうを平らげドライブを存分に楽しんだ僕たちは帰路に就く。

ちなみに「ほうとう」という料理を知らないにもかかわらず、友人の前で知った風な口を利いたのはここだけの話である。

日中はかなり体を動かしたので疲労が溜まっていた。

だが、帰り道を自分が運転すると宣言したからにはハンドルを握らざるを得ない。

それに夜のドライブはいい。風情がある。


帰り道の一般道はその道のりの7割ほどが山道であった。

ちなみに目的地までは100kmぐらいある。

緩やかなカーブや急カーブが果てしなく続く山道。

おまけに街灯が一つもなく外は完全に闇に包まれていたのだから、視界も悪い。

どのくらい悪いかって、たまにカーブがどっちに曲がっているのか目視で確認できないほど悪い。優秀なナビがあって良かった。


山道に入って間もなく車が二台ほど僕らの後ろに張り付いた。

助手席の友人いわくスポーツカーらしい。

走り屋だろうか。

そんな人種に実際出くわしたことはないのだが、アニメで見た走り屋をイメージして自分の発した言葉に現実味をもたす。

僕は時速50~60kmで車を走らせていたと思う。

ドライブの経験は別段多くもないし、高度なドラテクを有していたわけでもないのでこれが僕の限界だった。

夜の山道という状況を考えれば奮闘したほうである。

それなのに長時間やつらは張り付いてきた。



同じ車に長い時間張り付かれるというのは存外ストレスを感じるものである。

今までにも同じようなことがあったが、このじれったさを払拭することはできない。

後ろのドライバーの気持ちをついつい想像してしまうのだ。


「おっせーな」

「ノロマが」


こんな風にイラつかれてはないだろうかと考えるとその運転手に対して申し訳なさを感じるし、後ろの車を突き放せない現状にいらだちも感じる。

同時に法定速度を守っているのになんでこっちがこんな気持ちにならなきゃいけないんだとむかむかする。


あれ、車に張り付かれただけでどうしてここまで色んな感情が溢れてくるんだろう。

苛立ち、申し訳なさ、じれったさ。

見ず知らずの後ろの車が僕の心を大きく揺さぶる。

他人であってもそれが人である限り人は嫌われることを極度に恐れるらしい。



でもまあ申し訳なく感じる必要はないはずだ。

法定速度を守っているのなら、うしろめたさを感じる必要はない。


後ろの車が異常なのだ。

ルールを遵守してればマイペースでいいのだ。

自分の運転技術をベースに安全運転を心がけていればいいのだ。


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