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職場研修からの学び ーシェアド・リーダーシップー

個別ヒアリングから研修当日まで

先日、職場の中間層を対象にしたリーダーシップ研修が開かれた。
私が所属する組織は中小規模の財団法人で、これまでの職員研修では対象者が外部研修会に派遣されるスタイルであった。今回は職場の該当職員十数名集められ、丸一日の研修会が開催された。初めてのことだった。

噂によると、中間層の活気が無く組織に停滞感や閉塞感が漂っていることをマネジメント層が危惧し、開催することとなったようである。

リーダーシップ研修を受講してくださいと言われると、恐らく誰もが、私は期待されているというポジティブフィードバックではなく、むしろ身構えるのではないだろうか。私も、リーダーシップが足りないと間接的にネガティブフィードバックを投げられているような、何とも言えない微妙な気持ちになったことを鮮明に覚えている。

まずは、研修当日の2週間ほど前に、対象職員に対する個別ヒアリング行われた。1人当たり40~50分の比較的長い時間、自身のキャリアや現状についての話を1on1でしたのだ。講師は1名。ヒアリングと研修当日の両方を担当しており、経歴や実績などの事前情報からは硬いイメージを受けていた。しかし、話してみると思いのほか柔らかく、初対面にもかかわらず、結構いろいろな事を包み隠さず話すことになったのである。
他の同僚の状況も同じような感想を言っており、この傾聴技術、やはりプロだなと後から思った次第である。

そして、研修当日。
心構え的な精神面の話をされるのだろうな、ワークショップをやらされるんだろうな等・・・かなり身構えて参加したのだが、意外にも理論的な研修だったのだ。

当日は、リーダーシップ論の歴史的変遷を辿りながら代表的な理論について紹介されたほか、パーソナリティ簡易診断などを使いながら自分自身を客観的に見る時間が設けられる等、かなり淡々と個別ワーク多めで進められていった。

そして、このリーダシップ論がとても興味深かった。
実は、マネジメント関連については入門書等を読んだ経験もあるのだが、リーダーシップについては不思議に関心を持ったことが無く、全く知らなかったのだ。いわゆるカリスマ型リーダーシップを勝手に思い浮かべて、私には無関係と思い込んでいたのかもしれない。

そして研修の途中で焦点を当てて紹介されたのが、「シェアド・リーダーシップ」である。私たちに合う可能性があるとのことだ。

私たちの組織は、構成メンバーの年齢構成に偏りがあり、中間層が厚すぎるという構造上の課題がある。そのため、いわゆるピラミッド型の意思決定においては、中間層のモチベーションが上がりにくいという問題が出てきていたのだ。講師は、各メンバーからのヒアリングを通してこの課題を特定し、対応策として研修内容に取り入れたのであろう。

「シェアド・リーダーシップ」とは

職場のメンバーが必要なときに必要なリーダーシップを発揮し、誰かがリーダーシップを発揮しているときには、他のメンバーはフォロワーシップに徹するような職場の状態

『シェアド・リーダーシップ チーム全員の影響力が職場を強くする』(p44)

役職などによって決められた公式的なリーダーシップではなく、ポジションに関わらずリーダーシップを発揮できる状態の人が担うもの。

確かに、私の所属する組織の場合は、メンバーが有する能力が様々であり、必ずしも公式的なリーダーがいつもリードできてはいない。そして、メンバーの持つ固有の能力も十分生かされていないように見える。

シェアド・リーダーシップが機能するかどうかは、下記の状況に依存するようだ。

1)職場を取り巻く環境(技術環境・競争環境など)の曖昧さ
2)職場の成果として創造性が求められる度合い
3)職場の対応として素早さが求められる度合い
4)職場のメンバーの専門性の高さ

『シェアド・リーダーシップ チーム全員の影響力が職場を強くする』(p87)

公益法人のため基本的に競争意識は低い、観光・MICEなど動きの速い業界のため創造性も求められる。素早く動くことももちろん大切。そして外国語も含めた専門性の違いが大きい組織である。

まさにぴったり!? 本を読み進めるほどに、シェアド・リーダーシップを取り入れてみたい気持ちが高まってきている。他の研修を受けたメンバーはどう感じているのだろうか。今後の組織内の変化に期待していきたい。