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学習塾のバイトの分際で中学生相手に社会を語る留年生(載せ直し)

                by どろどろ

___中学校は社会の縮図。貧乏大家族から社長の一人息子、足し算も出来ない子から未来の東大生、学力も価値観も生活水準も何一つ噛み合わない人達。それがただ「近所に住んでるから」という理由だけで同じ空間に閉じ込められ、日々の大半を過ごす。気づいたら九九も出来ないヤンキーが教室の中心で声を荒げ場を支配し、それに目をつけられないように僕らは密々と勉強する。そんな理不尽な世界。社会もそんなもんだよ。でも一つだけ違う。社会の中で、そんなヤンキーの声に耳を傾ける大人はいなかった。今僕があなたに数学を教えてお金を貰えるのも、あの時学校から逃げずに勉強してたから。お父さんやお母さんが高いお金を払ってあなたを塾に通わせることが出来るのも、学校でちゃんと勉強してたから。今この社会を支配してるのは、あの時密々と勉強していた僕たちなんです。だから今逃げちゃいけない。ここで頑張れたら、あなたもきっと社会を支配できるよ。___

そう言ったら生徒は涙を堪えながら、「明日は学校行く」と力強く言ってくれた。

翌日、起きたら昼だった。「あの子はちゃんと学校に行けたかな」と考えていたら、大学の講義の開始時間をとっくに過ぎていた。また授業出れなかったわ。それでも大学へ行き、いつもの友達に会う。皆センター試験は同じ位の点数、皆同じ話題しか話さない、皆無駄に金持ち、勿論全員留年してる、これが僕の社会だ。社会なんてそんなもんだよ。今こうやってダラダラ変な文章書けるのも、あの時逃げずに勉強してたからだ…。

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