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suppl.2 新春恒例 新人ICUナースの推薦図書 "呼吸編"


春の新人ICUナースへ贈るおすすめ書籍

 春ですね。皆様のICUには何人の新人ナースが来たでしょうか?まだまだ業務に慣れるどころか、院内で迷子になるぐらいのところではあると思います。それでもちょっとずつICUの一員として、患者さんのケアにあたっていかなければなりません。
 そこで医学書マニアで、自宅に医学書専門の部屋がある私が新人のナースにおすすめの本を紹介していくシリーズがこちらです。同期に差をつけるなら、勉強するチャンスはまさに今です。まずは呼吸などなどに関わる書籍から紹介してまいります。

ICUナース"呼吸"の勉強の仕方

 まずICUで呼吸の勉強しようと思って一番最初に目につくものが、「人工呼吸器」ですよね。設定もいっぱいあって、アラームも鳴っているし、存在感ありありなのがこれです。人工呼吸器にかかわるナース本も読みきれないほど沢山発売しています。機種やモードやグラフィックがどうとか、人工呼吸器なんちゃらとか。。。そのような本も綺麗で写真も素敵でいいのですが、人工呼吸器の表面の設定やモードを学んでも呼吸障害の患者さんのアセスメントやケアが出来るようにはなりません。
 ・患者さんの状態を把握するための診察、検査、モニター
 ・人工呼吸器とは何なのか?何をしてくれるのか?なぜ必要なのか?の理論
 ・患者さんごとの呼吸障害の原因、すなわち「病態」

を学ばなければいけません。表面上の機械のことだけ勉強していてもダメです。呼吸障害の患者さんのアセスメントやケアが出来るようになるためには、理論とそれから患者さんの状態を知ることが第一です。

古川力丸(著):世界でいちばん愉快に人工呼吸管理がわかる本

 まず最初に圧倒的第1位はこちらです。古川力丸先生の、世界でいちばんシリーズ。こちらは嘘偽りなく、本当に世界でいちばんわかりやすい人工呼吸管理の本です(さすがの私でも世界中の人工呼吸器の本を読んだわけではないので、少なくとも日本語で書かれている本の中では)。
 「機種やモードに振り回されるな」って表紙に書いてあります。これはその通りで、人工呼吸器のモードで100以上あるって言われているんですが、日常使用するのはせいぜい5つ以内ぐらいです。本当の基本的なモードって2つしかありません(自発呼吸モードと強制換気モード)。2つなら簡単に覚えられますよね。
 でもそんなこともお構いない。この本には、実は基本的な病態のことがちゃんと丁寧に書いてあるんです。しかも本当に簡単に。間違いありません。

古川力丸(著):世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本

 いやー来ちゃいましたね。またまた古川力丸「大」先生です。でもしょうがないんです。だって本当にわかりやすいんだもん。
 絶対に最初から、呼吸器の「使い方」を学び始めてはいけません。たいてい挫折します。最初に勉強すべきはやはり患者さんの病態であり、検査(血液ガス)です。これらがわからないと、なぜ目の前の患者さんに人工呼吸器が必要かはわかりません。まず最初にこの2冊をさらりと読んでしまいましょう。
 本当に世界でいちばん簡単で分かりやすいです。

早川桂(著):2年目からのICU看護 気道・呼吸・鎮静ケア

 手前味噌ですいません。でも呼吸について学んでいくには、それだけではダメで、あわせて気道や鎮静ケアについても学ぶ必要があります。例えば、気管挿管に必要な準備物品は何で、手順はどうか、挿管した後の鎮静剤は?など。ここでは人工呼吸器だけでなく、鎮静、気道、呼吸にまつわるケア全般が書いてありますので、導入として読むにはちょうどいい1冊です。
 「これを読んでからベッドサイドでケアに入ったら、まさにこの本に書いてあるとおりで、本当に実践的でよく意味や根拠が分かりました」という現場ナースのお声を多数頂戴しております。

W.Owens(著)田中竜馬(訳)人工呼吸器の本 エッセンス

 こちらは看護本ではありませんが、医学書としてはかなり分かりやすく書いてあります。少し呼吸器の勉強を進めたナースが、さらにステップアップして学ぶのには最高の1冊です。人工呼吸管理で本当に大事な大事なことが書いてあります。特に「人工呼吸器の11戒」はICUに関わるものの全てが心に留めておくことだと思います。この本にある「患者は自分と同じ人間であることを忘れない」というフレーズも大好きです。

Today's note

 ・ICUで呼吸を学ぶ上で、最初にいきなり人工呼吸器ハウツー本を買って読んではいけない。そこには機械のことはあるが、人間のことについては書いていない。

・モードを学ぶのではなく、人工呼吸器が目の前の患者さんに何をしてくれるのかを学ぶべき


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