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38歳、ぽんこつ処女道 ~初夜編②~

ちなみに、押し倒されるに至る前にも、激しい葛藤があった。
 
 
カミングアウトで気力を使い果たし、ライフがほぼ0になった私にとって、
 
この上、初めてのあれやこれやするなんて、完全にキャパオーバー。
 
 
カミングアウトの決意はしてきたけど、そっちの決意はまだ50%ぐらい…。
 
いやいや、いい大人が彼氏の家に初めて行くんだから、やることやるだろ!と思うかもしれないが、そこが処女の面倒なところである。
 

それはそれ、これはこれ。
 

カミングアウトするまで、と決めていたのなら、本日の仕事はそこまでなのだ。
 
一応、彼氏の家に行くんだし、なくはないかもしれん…ぐらいの気持ちはあったものの、
 
いざ目の前にすると、完全に怖気づいていた。
 
 
 
帰るか否か葛藤する私を、必死に引き留めるトリさん。
 
 
帰りたい気持ち半分、こんなに引き留めてもらえるのは嬉しい乙女心半分。
 
頭の中では漫画『脳内ポイズンベリー』みたいに、複数の私が激論を繰り広げていた。
 
 
 
怖気づく私A「ムリムリ!今日はムリっす!」
  
 
叱咤する私B「家まで来といて、今さら何カマトトぶってんだ!」 
 
 
煽るEXIT兼近「いいじゃん、いいじゃん、やっちゃいなよ~」
  
 

ぬううぅぅ…!!


 
 
苦悶していると、脳内兼近が言った。
 
 
  
「踏み出すのは、一度に一歩だけって決まってないっしょ。
この勢いで、二歩目も三歩目もいっちゃいなよ~」

 
 
……
 
 
確かに。
 
 
ここで逃げ帰っては、また元の木阿弥になるかもしれん。
 
 
考えるのはもう十分過ぎるほどやったわけで。
(それで38歳まできてしまったわけで)
 
 
もうごちゃごちゃ考えるのはやめよう! 
 
 
ノリと勢いじゃ~!!
 
 
というわけで、心に兼近を携え、一大決心をして飛び込んでみたのだった。
 
 
なのに、事件は起きた…泣

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