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ごりまる母さんインド・ラダック登山旅Kang Yatse2(6250m)


今夏6月から2週間。
インドラダック地方にあるKang Yatse 2 に登ってきました。
私にとってずっと憧れで、1度は訪れてみたかったラダック。
そのうえ大好きな登山もできるという、夢のような地へ。

出発2か月前でまさかの股関節痛発症


トレーニングは主に週2回の山登りとジムでのランニング。
毎回登山旅のためのトレーニング。
どれだけやれば充分であるかの見極めがいまだに掴めず、出発2か月を切ったところで股関節痛発症。
歩くだけでも股関節に痛みや違和感あり。
「出発までに治らなかったら…どうしよう」
焦りと不安を抱えながらの準備・調整となりました。

その後はジムには一切行かずに、週2回の登山と家での筋トレやヨガに切り替え。

「なるようになる」と念仏を唱えるように出発の朝を迎えました。

子供達も毎年1度はこうして出ていく母親にも慣れてきたのでしょうか。
出発の土曜日はそれぞれサッカーの試合や自分たちの習い事に出かけてしまい、3人の子供達の誰にも見送られずにバス停へ。
「寂しいよ。行かんといて!」と泣かれるよりまだマシか…成長してくれたんやな。と良いほうへ考えることにしました。

トレーニングで週2回通った山(Corn Du-Pen y Fan-Cribyn往復)


いよいよ出発の朝

家からバスでヒースロー空港へ。
一抹の不安を抱えながらも、これから出会う人々や景色を想像するとワクワク。
約4時間のバスの旅も短く感じます。

ヒースロー空港ターミナル3
Virgin Atlantic航空でインディラ・ガンディー(デリー)空港へ

無事、初めてのインドに到着

無事インドに到着。
空港で、今回一緒に登ることになるメンバーと初対面。
いつもこの瞬間はドキドキします。
メンバーは6名。
スコットランド、イングランド、ウェールズから参加の男性3名、女性3名。年齢層は40代ー60代のチームとなります。
空港からバスでホテルへ移動。
バスで移動中に軽く自己紹介をしあうのですが、なんせ私は皆さんの名前を覚えるのにひと苦労…
いつも完璧に名前と顔が一致するまでに数日かかります。

ホテル到着

モンスーン季節ともあって、外は土砂降り。
メンバーの皆さんは、何度もインドを訪れたことがあり、私は今回が初めてのインド。
出発前にはRRRというインド映画を5回(!)観ていたので、インド(といってもホテルの周辺ですが)を肌で感じたい!と他のメンバーがホテルでゆっくり休んでいる間にバスで国会や官庁、ガンジー記念博物館を見学へ。
ビームやラーマには会えませんでしたがインドの熱気と雰囲気は十分に感じることができました。

いよいよ憧れの地ラダックへ


レーに到着

入国審査を終えて、空港から拠点となる市内のホテルへ。
初めてみるラダック。
茶色い岩肌の山々。
「これがインドヒマラヤなんだなぁ」と車窓から見える風景にため息、その美しさに旅の疲れも吹っ飛びます。

レー空港からホテルへ

レーで高所順応のため3日間滞在

Guphuks View Point
風に揺れるタルチョ
Basgo Catle
僧侶の方とお会いできるのを楽しみにしていたのですが、隣町に行っておられ留守でした。残念
Sangam View Point (Zanskar river meets Indus river)
自然の雄大さ、スケールの大きさ、美しさにため息
レーの街並みを見渡せる高台にある
Shanti Stupa

いよいよKang Yatseベースキャンプまでのトレッキングがスタート

Day 1 : Leh - Lhato (4000m)
Day 2 : Lhatho - Rigyul Smdo (4600m)
Day 3 : 高所順応日
Day 4 : Rigyul Smdo - Lhalung Camp (4838m) via Chagstang La (5200m)
Day 5 : Lhalung Camp - Nimaling (4837m) - Kang Yatse Basecamp (4860m)
Day 6 : 高所順応日・最終ギアチェック・打合せ
Day 7 : Kang Yatse2 (6250m) 登頂日

実は、あれだけ口にする食べ物や水には十分すぎるほど気を付けていたにもかかわらず、レーでの3日間滞在では腹痛(腹下し)でトイレとベッドの往復で悶絶状態でした。
他のメンバーは生野菜サラダやカットされた果物をモリモリ食べています。美味しそうに食べる皆を横目に私は一切、手をつけなかったにもかかわらず、一人だけ悲惨な状態に。
股関節痛と腹下しのダブルパンチで、登頂は無理…かも。という悲しい思考が現実味を帯びてきました。

大自然でのテント生活
どんな豪華ホテルよりも大好きです
テントでの幸せなひと時
ベースキャンプまでの道のりは川を何度も渡っていく
ペクマが手を握って誘導してくれているにも関わらず
川に落ちるという失態
見渡す限りの美しいインドヒマラヤ山脈
’何も考えず、無心で歩く‘
大好きなひと時です
Views from Chagtsang La (5200m)
この地点で、やっとKang Yatseが
素晴らしい山々の景色が見渡せます


Kang Yatse ベースキャンプ(4860m)に無事到着

無事にベースキャンプに到着。
ここでの初日は高所順応や主に休息日となり、各々が好きなようにリラックスして過ごします。
私にとって6000m峰は昨年のメラピークに次いで、まだ2度目です。
股関節の痛みは少しマシになってはいたものの、明らかにトレーニング不足であることは感じていました。
「登頂よりも、今ここに居れることを楽しんで」と考えを切り替えました。

ベースキャンプから見上げるKang Yatse
想像以上に大きく高く、圧倒されます
怖さに飲み込まれないよう大きく深呼吸
登頂前日、急に天候悪化
強風、雪となり出発できるかどうか様子を見ることに
インド登山隊は登頂は無理だろうと、キャンプをたたんで帰路に

登頂に向けて心の準備

登頂に向けて深夜1時、キッチンテントに集合。
軽く食事を済ませます。
雪と風は強まり、予定通り出発できるかどうか… 沈黙の中、クライミングガイドのぺクマの判断を静かに待ちます。

ぺクマから「出発しましょう!」との声が。

キッチンテント内の空気が緊張でピーンと張りつめます。
大きく深呼吸し、荷物を背負う。
ヘッドランプを点灯し、私たち6人は3人のクライミングガイドと共に3人ずつの3チームに別れてベースキャンプを出発しました。

クライミングガイドのぺクマと私
ベースキャンプからクランポンポイントまで
道のりは5時間、標高差591m

クランポンポイントから体調悪化によりチームの4人がベースキャンプへ引き返すことに

ここからはクライミングガイドのぺクマとピーターそして私の3人で頂上を目指すことに。
引き返していく4人の後ろ姿に、後ろ髪を引かれる思いを抱えながら。
「今、この瞬間に心を集中させよう」と最後の力を振り絞って、いけるところまで登ろうと一歩一歩、足を前に出すことだけを考えていました。

所どころ雪が柔らかく、足をとられてしまう。ものすごく体力が奪われる雪の状態
真っ白い雪面に真っ赤な血が!
とおもったら自分の鼻血や…
あっ!
やっと頂上が見えてきた!
頂上が見えているのになかなか近づかない…
ほとんど気力だけで登ってます

7月6日 午前10時21分 Kang Yatse2 登頂

クランポンポイントから頂上まで4時間半。
ベースキャンプを出発してから実に9時間半が経過していました。

山頂では10分ほど滞在し、下山を開始。
日が高くなってきたことで、登りの時よりも雪が柔らかくなり足をとられる回数も多くなってきました。
この雪の状態は私のあまり残っていなかった体力を奪いとり、ゾンビのような歩き方で(多分、顔もゾンビのようであったと思います)ただただ「足を交互に前に出す」とい動作を繰り返している状態でした。
ベースキャンプが遥か下に見えた時には心底ほっとしたものの、歩いても歩いてもベースキャンプまでの道のりは遠く、ガイドのぺクマとピーターよりも1時間ほど遅れて満身創痍でベースキャンプに到着しました。

無事登頂。
ぺクマの弾ける笑顔で疲れもどこかへ。
自分でも「ようやったなぁ…」とほっとした瞬間です。
今回とったルート

Kang Yatseをバックに
クライミングガイド・キッチンスタッフ
サポートスタッフの皆さま
彼らの素晴らしいサポートには感謝しかありません

まとめ

急ぎ足でしたがKang Yatse 2の山旅を少しでも多くの方に感じてもらえれば嬉しいです。
そして、これからKang Yatse 2 を登ってみたいと考えておられる方々には少しでも参考になれば幸いです。
山としては 6000m 峰ですが技術的にも易しい山で、ネパールのメラピークに登った経験のある方や体力のある方であれば十分、登頂できる山だと思います。
メラピークは3週間の旅程が必要ですが、Kang Yatse 2 は同じ6000m峰でも2週間の旅程で良いので、時間的にも余裕がない方にはおすすめの山です。
出発前には挨拶程度のラダック語を覚えて行ったのですが、クライミングガイドやキッチンスタッフそしてレーでお世話になったホテルの従業員さん、皆さんネパールの方々でした。
ジュレーは使わず、ナマステで。
山の表記ですが、Kang Yatze となっている文献もありますが、ここではKang Yatseとさせていただきました。
初登は1981年、日本人登山家の Inaba Seigo さん。(The Himalayan Journalより)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

皆様も良い旅、楽しい登山を。