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レポート:Booked: HongKong Art Book Fair 2020


真冬の早朝に日本を発ったので超厚着だった。バッグには限界まで本を詰めたために荷物が入らなくなってしまい、着替えを着る、という元も子もない作戦をとったが、いざ香港に着いて外に出ると気温20℃近くあり「本当に冬か。しまった」と思った。

今回香港に来たのは、1/16~1/19 に開催されたアートブックフェア BOOKED: に参加するためだ。交流のある香港のアーティストに以前から「香港に来ないのか?」と聞かれていたので、現地のアートブックフェアを教えてくれと頼んだところこれを教えてくれたのがキッカケ。最近はだいたいひとりなのだが、珍しく現地に知り合い(会ったことはない)がいるパターンになった。

text & photo / 大滝( crevasse

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香港国際空港は想像していたよりも空いていて、スムーズに動けた。情勢的なことの影響もあるのかもしれない。空港から市内までは約20kmあるがエアポートエクスプレスが通っており30分弱で着くことができる。非常に快適。

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ブックフェアの会場である 大館 TAI KWUN は、

『19世紀の旧セントラル警察署をリノベーションした建物で、歴史と文化、アートの複合施設。広い敷地内には、旧中央警察署・中央裁判所・ビクトリア監獄などの歴史的建築があり、施設見学やアートの展示を見ることができます。また、カフェやビストロなどもあり、中でもかつての武器庫や牢獄を使用したバーが人気です。』

だそうです。

それはそうとこの会場、駅から歩いていける距離にあるのだが、香港島は道が狭く坂が多い。しかも階段。

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キャリーケース2個(合計30kg)とパンパンのリュックを背負ってこの道を登るという苦行。すぐに滝のような汗が。着替えを着るというバカな作戦は裏目に出た。会場に着き荷物だけ置いてご飯を食べに行った帰り、僕と同じようにコロコロを持って必死に階段を登る女性がいたので助けたら、同じ出展者のひとりだった。みんな同じだな。

翌朝には帰りに備えて急いで階段の少ないルートを探した。

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会場内は、部屋の外周を取り囲むように[出版社/書店/非営利組織テーブル]が並び、内側には写真のように脚立によって立てられた[アーティスト/アーティストグループブース]が並ぶ。これが2部屋ある。それと別に小さなエリアがあったり展示スペースがある感じ。合計60ブースくらいかな。会場の広さと出展数のバランスがいい。

脚立のエリアは主に個人で出しているのが多く、去年も参加した人に聞くと去年はこの脚立のエリアがなかったらしく「セレクトされた出版社が来ている」という雰囲気と格式が今年よりあったらしい。そういうセレクトされたのかされていないのか分からないやつらの中に僕らcrevasseも混じっていた。

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写真写りはいいけどこの脚立のせいでディスプレイには苦労した。ただ、後ろに壁面を持つ出版社ブースと比べてこのエリアはブース代がとんでもなく安い。5分の1だ。横幅としては変わらないくらいとれるので超破格。参加者から不満が出そうだ。来年には値上がりしてるかもしれない。

僕らの周りは、向かいはニューヨークの printed matter、左前がベルリンの motto で「おいおい。なんちゅうクジ運だ」と流石に呪った。

「いいじゃん。ひと集まりそうじゃん」

と思う方々。いるかもしれない。確かにその面もある。でも長い時間多くの客に背を向けられている苦痛はイヤにもなる。そもそも脚立エリアは去年なかったのだから、ただでさえこれをスルーするひとも少なくないのだ。

プレッシャー高い布陣。


まあ、ふつうに考えて違う部屋であるべき彼らと競おうと考えている時点でおかしいのかもしれない。実際初日も隣のブースのアーティストに何冊売ったか聞かれたから答えたら「まじか!そんなに?」と驚かれたのでzineを売る感覚が狂ってるのかもしれない。しかしこっちは日本から来ている。売らなきゃやってられないのだ。


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実際のところ売上は帰って計算したところ悪くなかった。イベント規模を考えたら相当いい結果。読みを外したり自分で課したハードルが高かったので「おい。ヤバい。足りんぞ。もっと来い」と勝手に焦っていた。黙々と売っていたので周りの出展者に悪い印象を与えてなければいいが。

最初にも書いた通り、今回は以前から本の取り扱いを通じて付き合いのあるメンツが来ていた。chow san は僕の斜め後ろで自分のブースを出していたし、chung chung cheung は僕らのブースで新作「Agnes」を発表した。


chung chung cheung は見た目通りの少しシャイな好青年って感じだし、chow san はぷにぷにのチンコのおもちゃを振り回してて終始明るい人だった。また、隣の Hang Tam や後ろの chan wai kwong ともみんな知り合いだったようだ。隣の Hang Tam は色々物を貸してくれただけじゃなく帰りの香港空港に着いたときに「デモ危険だから。ちゃんと空港着いたか?」と連絡をくれ、みんなとてもやさしい男だった。僕が勝手に焦って彼らの目に不愛想に映っていたら謝りたい。

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かわいい /陳偉江 chan wai kwong
published in Jan 2020




ちなみにみんな気になるデモの影響だが、最終日の昼間は駅から会場に向かうときに通る大通りで大規模なデモがあったよう。

もちろんその時間はフェアで建物内にいたのだが「今、外でデモをやっている」という話は聞いていた。来場者の足には影響したと思うが安全上の問題は特に感じることはなかった。




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会場周辺情報だが、あれはおそらく土地が高いエリアだと思う。歩いているひとの服装やレストランの値段でそう感じた。ブランドショップが多い。もちろん懐に優しい店もあるにはある。外国人も多いエリアで、夜になると多人種がごった返し大声が聞こえてきたりする。もともと昼間から車がクラクション鳴らしまくる街なのですこしうるさいくらいの印象がある。ホテルのそばにはライブハウスが立っていて夜中に音漏れしまくっていた。

そのホテルは4泊で13,000円くらいで、たぶん会場周辺の底値だと思う。会場へ歩いて5~10分なので出展者も多く宿泊していた。便利だし希望に過不足なし。僕からすればドミトリーじゃないだけで豪遊した気分だ。

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期間中には中国・南京の 不熟 Bonjour art book shop が僕らのブースに「Ray /井上みなみ」「window 5 /山下望」を買い付けにきてくれた。不熟 Bonjour art book shop は、去年新設された 南京art book fair を主催するチームが南京作った実店舗で、最近オープンしたばかり。併せて彼らのフェアへの招待も受けているので、今年彼らが開催する「杭州 Art Book Fair (5月)」「南京 Art Book Fair (10月)」のどちらかに行こうかと検討している。

chung chung cheungの「We Might Be Dead By Tomorrow」も気に入ってくれていたが、去年僕がこれを持って上海に入ったところ空港で捕まり取り上げられたことがあるのでこちらはどうなるかは分からない。


各アートブックフェアの開催日程についてはこちらに詳しい情報を載せています。



こうやって無事に日本に帰ってきた今、売上だ次がなんだと言っているけど、本当は香港に行くことに迷っていた。危なくないか?そもそも今年開催できるのか?と思っていた。それでも行こうと思ったのは香港に住むメンバーが「おいでよ」と言ってくれたからだし、主催者からの開催のメールに熱い想いを感じたからだ。

「ジンスタのひとりとして同じカルチャーを生きる香港のアーティストとの連帯を標榜してくる」その責任がcrevasseにはあると思った。

無事にこの BOOKED: を開催させてやりとげた彼らと、世界各地から集まりイベントを成立させたすべての出展者、それを見に来てくれた来場者に心から感謝しています。

そして約束通り来年もまた香港で会えますように。


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【 New Arrival 】

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Independent nano publisher of photography and zines. - 茨城を拠点にするオンラインブックストア及び出版やってます。 https://www.crevasse.info/
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